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聖女の冒険  作者: 星野 奏


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29/118

29.珍しい買い物の仕方です。

 商人ギルドを出て地図を見た。ギルドは大きいから地図上でも分かりやすい。


 地図を見て、前を見ての繰り返し。人通りの多さと所々に露店もあって、道が見えづらい。曲がる場所を間違えないようにしないと迷子になる。


 マップ出しながら歩けたら自分の位置も動くから分かりやすいんだけど……こんなに人が多いところで使えないし……あるのに使えないってストレス半端ない。



「ん?」



 今の……。


 立ち止まって振り返った。見上げると入口には大きな看板が掛かっていて、【アントニーニ道具店】と書かれていた。


 無事に着いてよかった。


 此処まで一生懸命歩き過ぎて道を全く覚えてない。帰りは地図を見ながらもう少しゆっくり周りを見渡しながら帰った方が良さそう。


 道覚えるの苦手なんだよねー。


 お店の木製のドアを開けると、チリチリンと可愛らしい鈴の音が鳴った。



「いらっしゃいませー」



 ふんわりパーマの雰囲気もふんわりした女の人が、優しい笑顔で出迎えてくれた。その奥のカウンターには大きくて堅いのいい熊みたいな男の人がいる。ってかあの男の人は熊の獣人だと思う。女の人は見た感じ私と同じ人間に見える。



「従魔も一緒に入ってもいいですか?」


「えぇ、勿論よ」



 この国はどのお店も従魔同伴はオッケーなのかもしれない。



「あら、その紙! ギルドの紹介で来てくれたのかしら?」


「はい! ポーションを作る道具が欲しくて、こちらを紹介して頂きました」


「ゆっくり道具との相性を見てくださいね」


「相性?」


「あら、道具を買うのは初めてかしら?」


「はい、初めてです」


「そうとは知らずごめんなさい。 あそこの棚に置いている器がポーションを精製する時に使う物よ。 その隣に置いているマドラーも精製する時に使ったりするんだけど、マドラーは人によって使ったり使わなかったりかしらね」


「使っても使わなくてもポーションは作れるんですか?」


「マドラーを使った方が魔力を注入しやすいっていう人は使ってるわ。 まだ持っていないのなら、試しに買ってどちらのやり方が自分に合っているのかを知るのがいいと思うわよ」


「色々教えて下さってありがとうございます!」


「ふふっ、礼儀正しいのね。 ではごゆっくりどうぞ」



 女の人に頭を下げて教えてもらった棚へ向かった。


 棚には色んなタイプの器が並んでいる。金魚鉢、角型、筒形、お椀型などなど。大きさも色も様々。ガラスもあり、陶器もあり、木製の物まである。


 気になったものを色々と手に取って見てみるけど、相性の良し悪しなんて全く分からない。相性という名の好みでいいんだろうか?



「大切なこと言うのを忘れてたわ!」



 首を傾げていると、店員さんがパタパタと小走りで近づいてきた。



「気になる器が見つかったら、手に取って少し魔力を注いでね」


「魔力を?」


「魔力を注いで相性が良ければ、器が光るのよ。 その人が持つ属性の色に光るんだけど、その色が濃ければ濃いほど相性は更にいいの」


「へーそうなんですね」


「マドラーも一緒だから、同じように試してみてね」



 説明が終わると、店員さんはまた商品の整理に戻った。


 普通に説明されたから当たり前のことなんだろうけど、魔力を注ぐってどうやんの!?


 ファンタジーって適応するまで大変過ぎる。私はいったいいつこの世界に慣れるんだろう。当たり前のように生活ができるようになるんだろう。


 こんな状態がいつまで続くか分からないし、若返らせてもらって正解だった。婚活するのが遅くなるってことは、結婚する歳も遅くなるって事だもんね。てか予定では1000年くらいは生きるんだよね?見た目たいして変わらないんだったら若返らせてもらう必要なかったんじゃない?


 ダメダメ、考えたってよく分かんないんだから、今は道具選びに集中しよう。






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