28.薬草・薬コーナーです。
“「薬草とか見に行ってもいい?」”
凪が小さく頷いたので、【薬草・薬】コーナーに向かった。
受付窓口の直ぐ側には、扉の付いていない入り口があった。中に入ると、商品が棚に綺麗に陳列されていた。
カウンターの中では、眼鏡をかけた男の人が事務作業をしていた。私を一瞥しただけで、うんともすんとも言わず、事務作業を再開した。にこりともしない。愛想のかけらもない。
下手に話しかけられるよりは気が楽でいいけど。
薬草コーナーには沢山の瓶が並んでいて、その瓶の中に薬草が詰まっている。瓶の前にはおそらく薬草の名前が貼られてるけど、何に使えるとかの説明書きはない。そういうのは自分で調べてから買いに来いよってことなんだろうな。
お薬コーナーには編んだ籠の中に小瓶がいくつも入れられていて、効能によって籠が分けられている。薬草同様、籠の前には何のポーションなのか貼られてる。瓶にも記載があればいざ使う時間違えずに使えそうなのにな。買ったら自分でペンか何かで書けばいいのかな?
薬草も買って帰っても何が何だか分からなくなりそう……あ、そういう時に鑑定使えばいいのか!そう考えるとやっぱり鑑定ってメッチャ便利な能力!
「え!?」
「お客様、どうかしましたか?」
「あ、いえ、すみません」
カウンターから男性に無表情のまま声をかけられて、慌てて返事をした。
驚きすぎて思わず声出ちゃったよ。
“「どうした?」”
“「こ、これ……」”
瓶を持つ手が震える。落としちゃいそうで怖くて両手で持ち直した。
“「病態回復ポーションだな。 上級か」”
“「え? 何で分かったの?」”
“「ポーションはそれぞれ色が違う。 分かりにくい物もあるが、すぐに覚える」”
“「へー……じゃなくて! これ! ヤバイよ! 5000ルピもするんだけど!」”
今泊まってる1日の宿泊費より高いって……ヤバ。
“「ポーション作りに関してはあまり詳しくはないが、効果が上がれば上がるほど薬草は貴重で質がいいと言うからな」”
“「じゃあもらった薬草ってメッチャ貴重な薬草って事!?」”
“「そうだろうな」”
5000ルピで売ってるってことは、作って売りにくれば安くても半額の2500ルピでは売れるよね?でもそんなに量作れるか分からないから、貰ったやつは作ったら自分用に持ってた方がいいのかな?
どうするかは宿に戻ってポーションの作り方とか調べて、実際作ってみて考えるしかないか。
「すみません」
「はい」
「ポーションを作る時に必要な道具ってありますか?」
「道具を揃えるのであれば、こちらのお店に行ってみてはどうですか?」
ハガキ程の大きさの紙を渡された。
【アントニーニ道具店】と書かれていた。ご丁寧に地図も書かれている。
「ありがとうございます。 行ってみます」
やっぱり無表情のまま頭を軽く下げられ、私はその場を後にした。




