23.間違えました。
ジーッと見られてる凪本人は全く気にしていない。呑気に欠伸してる。1ミリも動じない精神力、私も欲しい。
「名前は?」
「あ、凪です」
凪の頭を撫でながら答えたら、黒耳さんに笑われた。
「いや、従魔じゃなくて、あんたの名前」
「え、あ、わ、私!? すみません……美桜です」
凪の話ししてたらてっきり凪の事だとばっかり思ってた。ちょっと恥ずかしい。
「俺はラウル。 んで、こいつらは同じパーティのシモン、テオ、マルティナだ」
頭をペコっと下げると、シモンさんは無表情のまま軽く頭を下げ、テオさんはニコッと笑い、マルティナさんは笑いながら手を振ってくれた。
シモンさんは立派な髭と大きくて逞しい感じがライオンっぽい。ケモ耳もあるけどライオンがどんな耳をしてたかまではよく覚えてないから、定かではないけど私の中ではライオンに決定。
テオさんはまん丸お耳で男の人にしては小柄で可愛らしいからきっとネズミ。
マルティナさんは丸いお耳に少し吊り上がった目尻で猫っぽい。でも耳には斑点模様があるからきっとチーター。
「獣人を見るのは初めて?」
マルティナさんにそう聞かれて焦った。不躾だったよね。
「すみません! じろじろ見ちゃって……初めてでつい……」
「あはは、そんなキラキラした目で見られるもんだから、ちょっと恥ずかしかっただけよ。 私たちがなんの動物か分かる?」
マルティナさんってなんだか小悪魔っぽい雰囲気。
「シモンさんはライオン!」
そう言うと、シモンさんは無言で頷いた。どうやら正解だったみたい。
「テオさんはネズミ!」
「正解です!」
ニコッと笑うテオさんは癒し系男子。今の私と同じ歳くらいかな?
「マルティナさんはチーター!」
「正解よ」
やっぱり!
それにしても……こっちの世界の動物と日本にいる動物は大差ないのかもしれない。
「ラウルさんは黒猫!」
「…………」
「ブフッ……」
「「あははははははっ!!」」
シモンさんは小さく吹き出し、テオさんとマルティナさんは大笑い。ラウルさんは驚いた顔のまま固まってる。
あれ?
「オイ……」
「は、はい!」
さっきよりも低い声のラウルさんに身構えた。勝手に背筋がピンとなる。
「黒猫ってなんだよ……」
「耳が黒いので……」
「黒い猫なんていねーだろ!!!!」
「え!? 嘘!? そうなんですか!?」
「「あははははははっ!!!!」」
またもやテオさんとマルティナさんの笑い声が店内に響き渡る。
「じゃあ黒豹ですね!」
「普通それ以外ねーだろ!」
「「あはははははははっ!!!!」」
「てめーら笑いすぎなんだよ!!」
「だって、だってぇー!! ミオってば面白い!」
「あはは、ラウルさんが猫だなんて可愛らしい動物なわけないじゃないですか」
なんだか物凄く申し訳ない。そして黒い猫がいないことに驚き。
ラウルさんは頬杖をついてブスくれた顔をしてる。目が合わせられない。こんな時は話を逸らすのが一番。
「すみませーん!!」
手を挙げて元気よく店員さんを呼んだ。さらに笑い声が大きくなったけどそんな事は気にしない。




