19.ランクについてです。
案内されたテーブルの椅子に腰掛けた。凪は私の直ぐ隣で床にお尻をつけた。
“「なんだ」”
“「あ、ごめん、つい……」”
思わず凪の頭を撫でると怪訝そうな顔をされたので、パッと手を離した。距離が近付いた様な気がするけど、こういう触れ合いはまだ許してくれない。
凪はペットとは違うけど、昔からペットに憧れていた身としては、そばに居ると撫でたい衝動に駆られる。
「冒険者ギルドに登録された方は皆さま全員最初はFランクからとなります。 ランクは基本はFからAランクです。 王家に認められた冒険者のみSランクとなる事ができます」
おー……なんかファンタジー小説っぽい。私が聖女じゃなくて、勇者だったらどんどんランクを上げて魔物退治で世界を平和にするストーリーだったかもしれない。魔王討伐的な?
「まずご注意頂きたいのは、ご登録頂いた日から1ヶ月以内に依頼を受けて頂かないと、冒険者ギルドの証明を剥奪されてしまいます」
「え!? 登録してもお仕事しないと剥奪されちゃうんですか!?」
「はい。 冒険者ギルドが常に登録者の状況を把握、管理する為に定期的に依頼を受けて頂く様なシステムになっております。 ですが、1ヶ月に1度必ずお仕事をして頂く必要はございません。 最初のみ、冒険者になる意思確認として1ヶ月以内に依頼を受けて頂く事になっております。 最初の依頼を無事遂行できましたら、FランクからEランクへと一つランクが上がります。 Eランク以上の方は最低でも1年に1度お仕事をして頂ければ結構です」
免許の更新でさえ忘れそうになるのに、1年に1度とか……気付いたら冒険者ギルド追放とかになってそう。不安だ。
「ランクが変わると、カードに表示されている文字も変わります」
「ランクって何回依頼を受けたら上がるとか、何か基準みたいなものはあるんですか?」
「依頼はFからAランクのものがあります。 受けられる依頼はご自身のランク以下のものとなります。 例えばミオ様がCランクとなられた場合、FからCランクの依頼を受ける事ができるという事です。 ですので、人によって依頼内容の難易度が変わってきます。 その為依頼の回数よりも質を優先されます。 ギルド内で定められた基準を元に、ランクは上がっていく事になります」
「そのギルド内の基準は冒険者には分からないって事ですか?」
「はい。 冒険者には基準は一切公開しておりません」
「つまりランクが上がる仕組みは私たちにはハッキリとは分からないって事ですね」
「そうなりますね」
アナベルさんはニコッと笑った。これ以上聞いても本当に何もわからなさそうな笑顔。もう聞いてくれるなって顔を見て、私も仕事の時はこんな顔をしてたのかもしれないって思った。
それでもしつこく聞いてくる人っていたけどね。そういう人をウザったく思ってたので、私は話を進める事にした。
「Eランクに上がる為には依頼を1度受けるだけでいいっていう事ですよね?」
「はい、そうです。 依頼を受けるにあたり一つ注意をして頂きたいのですが、依頼を受けて任務遂行できなかった場合、罰金が発生いたします」
「罰金ですか?」
「Eランクに上がるときの依頼に関しては罰金はもうけておりませんが、Eランク以上のご依頼に関しては任務完了出来なかった場合、ペナルティーとして任務完了時に支払われる報酬の半分を罰金として頂いております」
金額が高いからって安易に受けちゃダメって事ね。
「何故かと言いますと、誰かが依頼を受けているものに関しては他の冒険者はその依頼を受ける事ができません。 その為報酬金額に釣られて受けたはいいが任務失敗に終われば、またそこから依頼を出さなければならなくなりますので、任務の完了が遠のいてしまいます。 そうなれば依頼主は困ってしまいますので、無闇矢鱈と依頼を受ける冒険者が出ないように罰金という方法を取らせていただいております」
「確かにそれは困りますね」
冒険者として生きていくつもりはないし、ギルド証明を剥奪されない程度にやっていこう。
無理は禁物。
「3回続けて任務に失敗されたら、ランクが一つ下がってしまいますのでお気をつけ下さい」
車の免許みたい。
「その場合講習とかもあったり……」
「しますよ」
講習なんて面倒くさい。ランクが下がらない様に気を付けよう。




