18.冒険者ギルドへ行きましょう。
歩きながらキョロキョロ辺りを見渡していると、念話で凪に「前を見て歩け!」と怒られた。だってしょうがないじゃーん。この世界でちゃんとした街に来たのって初めてだし、いる人の殆どが獣人なんだもん。
丸っこい耳、尖った耳、クルンっとくるまってる尻尾、細長い尻尾……色んな獣人がいる。これが普通なんだろうけど、私の中ではまだハロウィンって感じ。
普通の人は少ない。
“「あ、あれかな? 冒険者ギルドと商人ギルド!」”
“「恐らくな」”
丸い噴水がある広場の右側には黒い大きな建物。その入り口の側には、教会で見た剣を持った獣人の像がたっている。左側には薄い水色の大きな建物。その入り口には花束を抱えて微笑んでいる女性の獣人の像がたっている。
“「冒険者ギルドから行こっか」”
“「あぁ」”
ドアの目の前まで来て唖然とした。見上げるほど大きなドア。2メートルは余裕でありそう。こんな大きなドア開けられるかな……。取手に手をかけてまたもビックリ。太い……。
「入んねーの?」
「え!? あ、は、入ります!」
振り返ると、後ろに数人の獣人がいた。話しかけてきたのは黒の尖った耳をつけた獣人だった。
黒猫?それとも黒豹?
ドアを思い切り押した。けどびくともしない。やっぱ私の力じゃダメ!?
「ブハッ! 押してもあかねーよ。 引かねーと」
「え?」
あ、本当だ。
その人がドアを引いて開けてくれた。
めっちゃ恥ずかしいやつじゃん。恥ずかしすぎて顔が熱くなった。
「初めて来んの?」
「は、はい!」
「新規の受付は一番右な」
「あ、ありがとうございます!」
性格キツそうな顔してたけど、親切な人だったな。猫目で綺麗な顔をした獣人さん。
一番右の窓口に行くと、クルンっと内側に巻くツノをつけたお姉さんが笑顔で迎えてくれた。このツノは羊かな?
「こんにちは。 本日は新規のご登録でお間違い無いですか?」
「はい!」
「ではこちらの水晶に手をかざしてください」
“「入国する時は素直に手置いちゃったけど、これで聖女ってバレたりしないよね?」”
“「オクタヴィアン様が冒険者ギルドへの登録を勧めて下さったんだ。 バレるような事はないだろ」”
“「じゃあ……」”
“「もしバレたら俺が直ぐにここから連れ出してやる」”
凪から心強い言葉をもらったので、水晶に手を置いた。すると水晶は金色に輝いた。
「あら……珍しい」
「え、え!?」
受付のお姉さんは驚いた顔をしてる。その顔ってどういう意味!?珍しいって何!?これで何が分かるの!?
「ごめんなさい。 光属性はあまりいらっしゃらないので、久しぶりに金色の光を見て驚いてしまいました」
「そんなに珍しいんですか?」
「光属性と闇属性はあまりいらっしゃらないんですよ」
「この水晶って属性以外分かるんですか?」
「この水晶では属性しか分かりません。 水晶に手を当てて頂き、反応がなければ魔力がない、もしくは魔力量が少ないと判断させて頂いております。 その場合は残念ですが冒険者ギルドではご登録頂けない決まりとなっております」
へー……不思議道具がたくさん。属性しか分からないなら良かった。少しだけ緊張が解けた。
「うわ! 凄い!」
「ふふっ、初めての方は皆さま驚かれます」
水晶の中から真っ白なカードが出てきた。素材はプラスチックかな?カードの表には黒字でFと書かれている。
「こちらでカードにお名前をご記入下さい。 お名前は本名でも冒険者名でも構いません」
「冒険者名って何ですか?」
「私の名前はアナベルと言うのですが、愛称のアナで登録してもいいということです。 全く違う名前……例えばクロエという名で登録しても大丈夫という事です」
なる程。ようは芸能人みたいに本当の名前と違ってもいいってことね。お仕事ネーム的な。
「カードのどこに書けばいいんですか?」
「どこでも構いません」
考えるのも面倒くさくて、私はミオとカタカナで書いた。
あれ?そういえば文字って一緒なのかな?そんなことを考えていたら、ミオという文字が全然知らない形に変わり、カードの右下に白字で立体的に記載された。形は変わったのに何故かミオって読める。何で?
「ミオ様ですね。 こちらは身分証明、そしてステータスの確認や報酬を入出金する際に必要ですので紛失にご注意下さい」
「色んな事に使うって事ですね」
「はい。 こちらのカードと冒険者ギルドの仕組みについてご説明させて頂きたいのですが宜しいですか?」
「はい、お願いします」
「ではあちらのお席へお願いいたします」




