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聖女の冒険  作者: 星野 奏


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17.バレない様に気を付けます。

 森を抜けるのはあっという間だったけど、ナスルまでは中々遠い道のりだった。凪は大きくならないままでも走ればこんなに時間はかからなかっただろう。



 獣王国の首都ナスルの入り口は入国する人の列ができていた。


 私みたいに歩きの人もいれば、馬に乗ってる人、馬車に乗ってる人、様々だ。馬車に乗ってる人は商人かな?



“「耳がついてるのって……」”


“「獣人族だ」”


“「やっぱり! 生の獣人だ! 感動!」”


“「人間の国と獣人の国は平和条約を結んでいるとは言え、皆が友好的なわけではない。 気は引き締めておけよ」”



 にやける顔をなんとか引き締めた。


 逞しい身体に獣耳はなんとも言えないギャップがあるし、子供の獣耳は愛くるしさが増してる。



“「平和条約結んだって事は戦争してた事があるって事!?」”


“「300年ほど前に戦争をしていた」”


“「え!? 原因は?」”


“「……聖女だ」”



 凪がもの凄く渋い顔をした意味がわかった。原因が聖女なんて私には言いにくいよね。



“「理由はなんだったの?」”


“「聖女の所有権をどの国が持つかで揉めに揉めてな……」”


“「って事は、他の国とも戦争になってたって事?」”


“「竜王国以外の国全てだ」”



 なんて恐ろしい……。


 絶対聖女ってバレないようにしよう。



“「結局どこの国が聖女を保護する事になったの?」”


“「どの国も聖女を得る事は出来なかった」”


「え? 何で?」



 思わず口に出してしまい、前に並んでいた獣人の子供が振り返った。笑って誤魔化すと、その子もニコッと笑ってくれた。その子の手を引いている保護者らしき人には不審な目を向けられたけど……。



“「馬鹿者」”


“「あはは……で? 何で?」”


“「自分が原因で大きな争いが起きた事で聖女の心が壊れたんだ。 その聖女も美桜と同じで争い事で人が死ぬようなことに慣れていなかった。 耐えられず自ら命を絶ったんだ」”


“「…………」”



 その時の聖女だった子の事を考えると、胸が痛んだ。


 人が死ぬなんて身近な事じゃないうえに、自分のせいで戦争が起こるなんて私もきっと耐えられない。せっかく世界を良くするために来たのに、自分のせいで世界が崩れる事に耐えられなくなったんだろうな……考えただけで怖い。



「次!」


「あ、はい!」



 守衛に呼ばれ慌ててしまった。



「身分証は?」


「あ、まだなくて……ここでギルドに登録しようと思って来たんです」


「じゃあここに手を置いてくれ」



 出された丸い水晶玉みたいな上に手を置いた。すると真っ白にポワーっと光った。



「これ…何ですか?」


「これは犯罪歴などがないか確認するためのものだよ」


「へー……凄い」


「その子も一緒かい?」


「は、はい! 」


「初めて見る魔獣だが、従魔かい?」


「そうなんです!」



 そりゃ聖獣だもんね……よくいる魔獣だったらビックリ……。でもそんなに珍しいんだったら疑われないかな?



“「祖父がどこぞの山で拾ってきたとでも言っておけ」”



 凪の言葉のまま伝えると、守衛の人も笑って「そうなのか。 お嬢ちゃんは運が良かったな」と言ってくれた。



「それなら従魔だと分かるようにしていた方がいい。 その方が街の人も不安にならないし、珍しい魔獣だから盗ろうとする輩もいるかもしれないからね」


「分かる様にってどうしたらいいんですか?」


「持っている布やリボン、アクセサリーでもいいから身につけさせるんだよ」



 あ!そういえば……



「あった! あった!」



 バッグの中からアクセサリーボックスを出した。開けると文字が浮かび出てきた。

 【大きさは身に付ける者に合わせて変わる。 同じシリーズのアクセサリーを身に付けている者はお互いの位置が分かる】


 何のために追加してくれてたんだろうって思ったけど、こういう時の為だったのかも。


 輪っかになったブレスレットを凪の右の前脚に通すと、脚の太さに合わせて縮んだ。


 おー凄い。


 そして私は左手の人差し指にお揃いのデザインの指輪をはめた。これも指に合わせてキュッと縮まった。



「これで大丈夫ですか?」


「あぁ、問題ない。 入国料は従魔の分も入れて1500ルピだ」



 バッグの中からお財布を出してお金を渡した。バッグの中から直接現金を出すのはあんまりだと思ったので、お財布はオクタヴィアンさんにお願いして入れておいてもらった。



「入ってずっと真っ直ぐ行くと右と左に大きな建物が見えて来る。 右が冒険者ギルド、左が商人ギルドだ」


「ありがとうございます!」



 ドキドキする気持ちを抑え、首都ナスルに足を一歩踏み入れた。







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