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聖女の冒険  作者: 星野 奏


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16.説明書を活用しましょう。

 翌朝目を覚ますと、グゥゥゥ……とお腹が鳴った。



「元気になったようだな」


「そうみたい」



 ちょっと恥ずかしかった。



「おはよう、凪」


「あぁ、おはよう」



 ベッドに寝っ転がったまま笑い合った。なんて目覚めのいい朝なんだろう。


 仕事に追われて過ごす日々だった。朝早くに出かけて帰りは夜遅く、まともに食事を摂る事も寝ることもできていなかった。そんな生活をしているせいで寝ても疲れは取れず、朝が辛くて堪らなかった。



「凪、看病してくれてありがとう」



 凪の首に腕を回して抱きついた。凪ってお日様のいい匂いがする。



「世話の焼けるやつだよ」



 呆れ声で言われた。けどそれは本気じゃないって直ぐに分かった。だって凪が少し笑ったから。



「もっとちゃんと勉強する。 そして気をつける」


「あぁ、そうしてくれ。 じゃないと俺の心臓が持ちそうにない」



 歴代の彼氏たちより彼氏っぽい。凪が人間の男の人だったらとてつもないイケメンだと思う。その上この性格なら絶え間なくモテるだろう。


 ギュッとして凪の体から離れた。



「さ! 朝ごはん食べよう!」



 凪と一緒に部屋を出て、顔を洗ってリビングへ向かった。カーテンを開けると日差しが部屋の中まで差し込んできた。思わず目をすぼめる。

 窓を開けると心地の良い風が吹き込んだ。



“「元気になって良かった」”



 頭の中に知らない声が響いた。窓の外を見渡しても誰もいない。首を傾げていると、凪が隣へやってきた。



「今の声はあの大樹だ」


「え!? 大樹!?」


「あの大樹が美桜の事を心配して病態回復のポーションを作ってくれたんだ。 森の仲間たちに声をかけて、必要な材料を集めてくれた」


「ちょっと行ってくる」



 庭に出る為のサンダルまで再現してくれていたお陰で、外へすんなり出ることができた。


 シャワーも浴びていない、ボサボサの頭のまま大樹のところへ向かった。私が腕を回しても届かないくらい大きな大樹の木に触れた。



「薬を作ってくれてありがとう。 おかげでもうすっかり元気! お腹がなるくらい!」


“「ふふっ、それは良かったわ。 それと、お礼を言わなければいけないのは私の方よ。 あのまま穢れてしまっていたらこの森は大変な事になっていたわ。 森を救ってくれてありがとう」”



 ずっと聴いていたら眠ってしまいそうなほど穏やかで透き通った声。癒される。


 枝が伸びてきて、その上には色んな実や草がのっていた。



“「これは病態回復ポーションを作るのに必要な薬草よ。 良かったら使ってちょうだい」”


「いいの?」


“「勿論よ」”


「ありがとう」



 病態回復ポーションの材料を受け取り、私はお家の中に戻った。


 材料は直ぐにマジックバッグの中に保管した。マジックバッグのいいところは、そのまま入れてもグシャグシャになる事なく保存してくれるところ。わざわざ袋や箱に入れる必要がないから助かる。


 朝食を作る前に暫くは見たくもないススキノコをゴミ箱に捨てた。


 朝食を食べ終えた後は急いでシャワーを浴びて、出る準備をした。

 シャワーを浴びている時にコンタクトをつけたままだったと気付き慌てたけど、そういえば保存液とかは無かったなと思って説明書でカラコンを検索すると、ずっとつけっぱなしで問題ないと書いていた。日本にもそんなコンタクトがあればきっとバカ売れだったに違いない。


 支度を済ませ、外に出てお家を小さな模型に戻した。心の中で「戻れ」って思うだけでこんなにちっさくなるなんてビックリ。マジックバッグにしっかりしまった。


 大樹のところへ行き、抱きしめるように抱きついた。



「元気でね」


“「はい。 ミオもどうかお元気で」”



 そう言葉を交わし合い、私たちはお別れした。


 凪の背中に乗って森の中を駆ける。穢れが酷かった時よりも魔獣はいないとはいえ、遭遇はする。凪を見た瞬間逃げる魔獣もいれば、襲いかかってくる魔獣もいる。


 人間の適応能力とは凄いもので、昨日よりも余裕のある私は凪の背中の上で説明書を読んでいた。


 鑑定のスキルは人間以外には使えるみたい。これからは森で採取したりする時には必ず使おう。動物や魔獣も鑑定を使えば危険なのかそうじゃないのか分かるだろう。



「人は鑑定できないって事は、私も下手な事しなければ聖女だってバレないって事だよね?」


「基本はな。 だが各国に1人もしくは2人くらいの確率で鑑定士という者が存在する。 その者に鑑定を使われれば聖女だという事がバレるだろう」


「え!? それは困ったね……気を付けようがないし……」


「己の運を信じるしかないだろうな」


「だよねー」



 鑑定士って凄く希少な職業って事は分かった。国に1人か2人しかいないのに会っちゃったら相当運が無かったんだなって、逆に諦めつくかも。


 もう一つのスキルである異種共鳴についても説明書を読んだ。これは動物や魔物、植物とも話が出来るというスキルだった。ただし、相手が念話を使えない場合は、会話は成立しない。けど、私が話す事は相手に伝わるようだ。


 オクタヴィアンさんってば、便利な道具だけじゃなくてスキルまで付けてくれたんだな……。


 オクタヴィアンさんにはメッセージを送れる機能があったので、初めてメッセージを送ることにした。リクエストメッセージじゃなくて、お礼メール。



“便利な道具、スキルをありがとうございます。 もうすぐナスルに着きます。 またご連絡します”



と送った。



「まもなく森を抜ける」


「了解!」



 まだまだ旅は始まったばかり。首都ナスルがどんなところなのか分からない。気合いを入れ直して頑張ろう。






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