116.報告会です。
”「大丈夫か?」”
「凪!」
慌てて口を押えた。視線を感じて凪と一緒に祈りの間を後にした。出てくすぐのところにバートさんが控えていた。
「凪を連れてきてくれてありがとうございます」
「とんでもありません大司祭様にお会いになりますか?」
「えっと……また次の機会にお会いさせていただきたいんですが、それでも大丈夫ですか?」
「かしこまりました。 では馬車までお送りします」
凪の視線が痛い。どうなっているんだと言いたい顔してる。凪も頑張ってきてくれたのは分かってるんだけど、私だって私なりに頑張ったんだよ……だからそんな目で見ないで。怒られるだろうな……とは思いつつ、凪と合えた安心感の方が大きかった。
馬車に乗り、凪と二人になった。
”「宿に戻ったら全部話すからそんな目で見ないで……それより、怪我とかしてないよね?」”
”「あぁ、怪我はしていない。 俺も話したいことがある」”
立ち上がって凪の隣に座りなおして首元を撫でた。ふわふわの毛並みが気持ちいい。そしてあったかい。この数日で凪の存在感を再確認できた。
宿の部屋についてまず一番にしたことは凪に抱き着くことだった。
「帰ってきてくれてよかった」
「お前という奴は……いつまでたっても心配症は治らないな」
「凪はたった一人の家族だもん。 心配するに決まってる」
私が満足するまでじっとしていてくれた。身体を離して笑うと、凪も笑っていた。久しぶりの心の底から落ち着く時間。
「よし! 報告し合おう!」
「では俺から報告しよう。 ポロック伯爵家で確かに瘴気を感じた。 部屋まで突き止めたが、厳重に結界が張られていて中に入るには危険が大きくいったん引くことにした。 何が瘴気に侵されているのかまではつかめなかったが、近々開かれるオークションに出品されるようだ」
「オークション!? それって闇オークションの事じゃない!?」
「闇、かどうかは分からないが、オークションという言葉は間違いない」
そしたらオークションで落札するか、もしくは出品される前に浄化しちゃえばいいってことじゃない?闇オークションに出品されるってことは高額商品だよね……落札は無理かもしれない。お金がない。
私は凪がいなかった間の事を全部包み隠さず話した。部屋の隅々にいきわたるかのような、凪の今まで聞いたことないくらい大きなため息。身体がどんどん小さくなっていくような錯覚を起こしそう。
「不可抗力というか……なんというか……どうしよ?」
「あはは」と笑うと凪は頭を抱えた。トラブルメーカーな娘に悩まされてる父親みたいだ。
「……船の男に連絡しろ。 俺が話す」
「凪が!? 普通の従魔じゃないってバレちゃうよ!?」
「もう美桜が聖女だと知っているんだ。 俺が話せることを知っても驚きもしないだろう」
そういうもん?
確かに凪が一緒にいる時に話しをした方がいいだろうから、昼食後公爵家を訪ねてみることにした。本来であれば事前に連絡した方がいいんだろうけど、電話もないし手紙を出すにも住所が分からないしで失礼は承知で直接訪ねることにした。




