114.聖女の仕事の一つらしいです。
祈りの間に案内され、手を組み瞼を閉じた。
「やぁ、いらっしゃい。 今日は何にする?」
「オクタヴィアンさん、こんにちは。 今日はクリームたっぷりのホットココアください」
「どうぞ、かけて」
ココアが見えないくらいクリームたっぷり乗せてくれたカップの前に座った。温かくて程よい甘さが口の中に広がっていく。ホッとする。そしてオクタヴィアンさんの顔を見てさらにホッとする。
「お疲れみたいだね」
「そう見えますか?」
「疲れと心配かな」
「凪と一緒に旅をするようになってこんなに離れて過ごすのは初めてなので、落ち着かなくて……」
「今はお互いが大切な存在になっているんだね。 凄く良い事だよ」
「私もそう思います。 でも凪に依存しちゃってるんじゃないかって不安にもなります」
「まぁ、凪はああ見えて頼られるの嫌いじゃないからいいんじゃないかな」
「あはは、あまりに甘えすぎると喝入れられますけどね」
「それは凪なりの親心のようなものだろうね」
こうして話の内容に気を付ける必要がないから、オクタヴィアンさんと話をする時間は私にとって心休まるひと時でもある。凪と二人でいる時間もね。
「今日は聖物について教えていただきたくてきました」
「聖物について何が知りたいのかな?」
「聖物っていくつか存在するんですか? それともここの神殿で管理されていたもの一つだけですか?」
「聖物はいくつか存在するよ。 大事に保管されているものもあれば、まだ見つけられていないものもある」
「聖物かどうか見分けられるのは聖女だけなんですか?」
「そうだよ。 神聖力が強い者は聖物を扱うことができるけど、見分けられるのは聖女だけ。 だから聖女を召喚した国は浄化をしながら聖物を探すことが多いかな」
聖物を見つけられるのは聖女だけってことは、聖女ってバレたらそれ目的で拉致られることもあるんじゃ……と不安になった。
「あの……それともし教えてもらえればなんですけど、人魚族と接触するのは難しいですか?」
「人魚族は元々警戒心が強い種族だからねー……海の中では最強と謳われる種族だけど、地上では人間と変わらないから地上に上がることは基本ないんだ。 だから人魚族と交流を持つのはこの国の王族だけじゃないかな」
そんなに警戒心が強いのか……海に行って呼び掛けても顔なんて出してくれそうにないし、仲違いしてしまっている王族に声をかけてもらっても顔を出すどころか攻撃されそう。でもどうにか人魚の涙を手に入れないとシャノンさんを救うことができない。




