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聖女の冒険  作者: 星野 奏


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114/118

112.ずっと友達です。

待って……今経営してるって言った?言ったよね?



「旦那さんって……ポロック伯爵様?」

「いいえ、まだ爵位は継いでいないから伯爵ではないの」



まさかの……旦那様が次期伯爵様!それなら戻ってきたらどうにかセレーナさんの友人としてお屋敷に招いてもらえないかな……。



「そしたらセレーナさんは未来の伯爵夫人なんですね」

「……いいえ、主人が伯爵位を継いだら正式な伯爵夫人を迎えることを条件に私は子供を産むことを許されてるの」

「え……っと……どういう事なんでしょうか? 貴族社会のことに疎くてよく分からないんですけど……」



一夫多妻制ってこと?



「この国の貴族社会では珍しくないそうよ。 ちゃんとした身分の女性を本妻として迎えて、貴族の中でも下級貴族もしくは身分が高くない人は側室として迎え入れられるの。 私の父はずっと生涯愛するのは母だけだと言っていた。 その父を見て育ったから父のような人と結婚したいと夢見てきたけど、私が愛した人は違う文化の中で育った人……彼は悪くないのだと……しょうがない事だと思ってるわ」

「セレーナさんがそう思ってることを旦那さんは知ってるんですか?」

「知ってるわ。 だからどうにか私を本妻として迎えられないか最後まで諦めないと言ってくれてる。 出産のことで悩ませ、結婚のことで悩ませ……申し訳なくてしょうがないの」



この国の貴族社会ではってことは、貴族でも国によってはまた違うのかな?

旦那さんもセレーナさんの事だけを愛しているからこそ頑張ってるんだろうな。こういう悩みはきっと時間がどうにかしてくれる悩みじゃない。先手先手を打たないと手遅れになる。



「セレーナさんが今家族のためにできることは出産のためにしっかり体力をつけることだと思います。 出産は命がけだと聞きます。 旦那さんと生まれてくる子供のために、しっかり食べて、幸せな未来を思い描いてください」

「ありがとう。 私ってば駄目ね……後ろ向きなことばかり考えちゃって……」

「妊娠中は心と体が不安定になるので、嫌な想像しちゃったり怖くなるのはしょうがないんですよ。 セレーナさんが悪いわけじゃないです」

「ふふ、ありがとう。 実はね、家族とは絶縁状態で、友達にも気軽に会えなくなっちゃって……こうして話せる相手がいなかったの。 ミオと出会えて良かった。 ずっと友達でいてくれる?」

「勿論です! 私もセレーナさんと友達になれて嬉しいです」



この世界に来て行く国々で友達ができる。そんな経験ができるなんて思ってなかった。こんなに人に恵まれるなんて思ってなかった。

どうか、セレーナさんの悩みが少しでも早く解決して、無事に出産できますように。





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