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聖女の冒険  作者: 星野 奏


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110/121

108.前途多難です。

私は希望が見えたと思ってテンションが上がってしまったが、私以外の人はそれほどでもなかった。何故?と首を傾げた。



「闇オークションで聖物が出品されると言いましたが、あくまで可能性があるという事で確実ではないのです。 そして、もう一つ実は必要な素材があります。 人魚の涙です」

「人魚の涙、ですか?」

「名前の通り人魚が流した涙の事です」

「この世界に人魚が存在するんですか!?」

「人魚は存在します」



獣人族もいれば魔族もドワーフもいるから、人魚がいてもおかしくないんだろうけど、存在してるとは思わなかった。人魚姫って一度は憧れる存在じゃない?会ってみたい。



「人魚の涙は手に入れるのが難しいんですか?」

「人魚族と王族は友好関係にありいい関係を築いてきたが、ここ数年その関係が悪化しているんです。 そのせいで人魚の涙が入手困難になっています」



王太子殿下は眉間に皺を寄せた。



「ということは……人魚の涙は今王家にないんでしょうか?」

「そうです」

「何故、関係が悪くなってしまったんですか?」

「……人魚が数名行方知らずになっています。 王家では第一優先で調査をしていますが、まだ一人も見つけられていないのです。 人魚族の王は我が国の人間が人魚を連れ去ったのではないかと疑っています。 その疑いを晴らさない限り、人魚の涙は手に入らないでしょう」



これは前途多難と言ってもいいんじゃないだろうか。



「ちなみに人魚の涙はどういう物ですか? 色とか何か特徴があれば教えていただけませんか」

「人魚の涙とは宝石です。 地上で涙を流すと滴が宝石に変わるのです。 海のように鮮やかな青や深い青、緑のようにも見える不思議な色をしています」



普通の宝石よりも価値が高そう。そして地上でできる宝石ってことは確かに拉致されてどこかでつかまってる可能性は高い。どこにでも悪党っている。



「まずは聖物を取り戻すことを考えましょう」



ハンネス様の言葉にみんな渋い顔で頷いた。



「人魚の涙は私の方でも探してみます。 それとこの国の方だとお話しするのも難しいということでしたら、聖女が話をしたいと伝えていただけませんか? 私とならもしかしたら話しをしてくれるかも、ですし……」

「聖女殿、何から何まで感謝いたします」

「……できる限りの事をしたいと思ってます。 ですが、私も今は浄化の旅の途中です。 瘴気が濃くなれば世界がどうなるか分からないので、いつまでこの国にとどまれるか分からないんです」



こんなこと言うのは心苦しい。本当はシャノン様が助かるまでここに居たい。そう思ってはいても、瘴気のことも放っておくことはできない。いつか、辛い決断を強いられる可能性があるかもしれない。そう考えるだけで胸が潰されるような苦しい感覚がした。





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