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聖女の冒険  作者: 星野 奏


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105.どちらの気持ちもわかります。

胸元のまだ咲ききっていない花の模様の色味は黒というよりチャコールグレーのような少しボケたような黒色をしていた。



「模様の色が薄くなってますわ……」



シャノン様のその言葉を聞いて、ラファエル様はすぐに模様を確認した。



「解呪してくださったのですか!?」

「浄化の力はあるんですけど、その力が呪いを解けるようなものなのかは分からないので、どなたか分かる方にシャノン様の体の状態を確認していただいた方がいいかと思います」

「クライド、すぐに神殿と王太子殿下に連絡をしてくれ」

「かしこまりました」



クライドさんが部屋から出て行き、ふーっと肩の力を抜いた時手をギュッと握られた。ベッドに座っているシャノン様は私の手を握りしめ肩を震わせ泣いていた。



「ありがとうございます__っ」

「あ、いえ、あの……お礼を言っていただくようなことは何も……私の力で治せてるかもわからないのですし……」

「いいえ! こんなふうに苦痛もなく普通に息ができたのは久しぶりです。 胸の痛みも和らいで、苦痛な時間しかなく……生きていることももう、辛くてしょうがなかったんです。 私も最期はお父様とお母様のようになってしまうんだと……っ、本当にっ……、ありがとうございます」



お父様とお母様のようにって?視線をラファエル様に向けると、その瞳は悲しみと悔しさを宿しているようだった。



「父と母、そして妹の三人が呪いをかけられたのです。 父と母はひと月前に亡くなりました」



呪いは身体を蝕み、最終的に呼吸もうまくできなくなりもがき苦しむことになる。そして全身から血が噴き出し死に至るという事を教えてくれた。そんな結末が待っていると知ったら、私は耐えられるだろうか。



「シャノンに……何度も殺してくれとっ、頼まれたんです。 ですが、できなかった……私は諦めきれなかった……ですから、ミオさん……本当にありがとうございます。 今シャノンの体の状態がどうなっているか分からないけれど、こうして少しでも状態が良くなっていることが嬉しいのです」



ラファエル様はベッドの上でシャノン様を抱きしめ一粒の涙を流した。

シャノン様の立場になれば酷い結末を知っているならこれ以上苦しむ前にいっそのこと殺してくれと頼む気持ちもわかる。でもラファエル様の立場になってみれば、少しでも助かる望みがあるならお願いだから最後まで諦めずに生きていてくれと思うだろう。


シャノン様は泣きながら「ごめんなさい」と呟いた。目の前で互いを大切にしている兄妹を見て二人に幸せになってほしいと思った。ご両親を失ってたった二人だけの家族。ご両親も二人が不幸になることはきっと望んでいない。私にできることがあるなら協力したいと強く思った。





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