102.小出しはやめてください。
「望みは何ですか?」
グジグジ考えていてもしょうがないから単刀直入に聞くことにした。
「私と一緒にオークションに参加していただけませんか」
「オークション、ですか?」
え!?そんなこと?確かに出会っていきなりそんなこと言われたらもっと驚いただろうけど、凪が怒るような内容でなないんじゃないだろうか?オークションなんて買い物みたいなもんでしょ?たぶん。
「ただのオークションではなく、闇オークションです」
「……闇?」
ちょっと待って……雲行きが怪しくなってきたぞ。
「ずっと探していた代物が出品されるという情報が入ってきました。 その代物が本物かどうか見ていただきたいのです」
「ラファエル様は鑑定が使えるんですよね? でしたら私が一緒に参加する必要はないのでは?」
「私が鑑定できるのは人間だけです。 そして今回本物かどうか見極めていただきたいのは聖物です。 聖物が本物かどうか見極められるのは聖女だけなのです」
「そう、なんですか?」
初めて聞く情報で当人ですら分からない。これはオクタヴィアンさんに確認する案件だわ。
「知らないふりしてるとかじゃないんです。 本当に知らなくて……」
「召喚された時に詳しい説明はなかったのですか?」
「凄く混乱してたので覚えてないだけかもしれないです」
「……そうですか」
「召喚の時何者かに妨害されて予定の国に召喚されてないので、聖女についての詳しい説明は一切うけておりません」とは言えない。
「ところで! どうして聖物が闇オークションなんかに出品されることになったんですか? そういう物って普通は厳重に保管されているんじゃないんですか?」
これ以上深堀されるとぼろが出そうなので話題を変えてみた。
「この国は海に囲まれ海産物がとても有名です。 ですが、数年前までそれ以上に有名だったことがあります。 神の加護を受けた国。 そう呼ばれていたのは、唯一呪いを解く聖水を作り出すことができる国だったからです」
「数年前に何があったんですか?」
「神殿に保管されていた聖物が盗まれたんです」
「ラファエル様は聖職者なんですか?」
名前からして天使の名前だしって思ったけど、この世界にはラファエルっていう天使は存在しないのかな?
「私は聖職者ではありません。 ただの公爵です」
「え!? 公爵様なんですか!?」
心臓に悪いからそういう大事な情報は小出しにしないでほしい。
「お伝えしてませんでしたか?」
「初耳です……聖職者でもない公爵様がどうして聖物を?」
「…………」
ラファエル様は口を噤み、視線を落とした。
「あ、あの……言いたくなければいいんです……」
沈黙に耐えられなくて、気づけばそう口から言葉が漏れていた。いきなり連れてこられていきなりのお願いだから理由を聞く権利はあると思うけど、ラファエル様の酷く沈んだ表情を見ていたら無理に聞くのも申し訳ない気持ちになってしまった。
ロザンナとも似たようなことがあったなと思った。ロザンナたちと過ごした日々を思い出すと少し不安な気持ちが和らいだ。




