1 堅物な担任が小暮県民だった
お久しぶりでごさいます。似たようなもので申し訳ない···とりあえず他の更新の合間に頑張ります!
「こら、お前ら!学校には漫画の持ち込みは禁止だ!没収する」
「あぁ…俺の漫画がぁ!」
そうして無惨にも目の前で漫画を没収される友人。今時こんなに堅い教師もいないだろうというほどの堅物教師。それが、俺のクラスの担任の高梨恵(40歳独身)だ。めちゃくちゃ生真面目で美人なのに男を寄せ付けないそのオーラ。
生徒どころか教師にも厳しい人なので信頼は厚いが、その分こういうことに対して遊びがなさすぎるとさっきまでは思っていた。
「…あの。先生」
「なんだ?」
「ここにいるってことは…先生も小暮唯ちゃんのファンなんですか?」
場所はライブ会場。そしてそこにグッズのペンライトを2本持って、グッズのタオルを首に巻いて、グッズのTシャツを着たガチ勢の俺と同じ格好をした先生が隣の席にいるので思わずそう聞くと先生は恥ずかしそうに言った。
「ああ、そうだよ!小暮県民だが何か悪いか!?」
小暮県民とは、声優の小暮唯ちゃんのファンの通称。俺、真島竜貴の最推しの声優さんがこの小暮唯ちゃんなのだが、まさか先生が小暮県民だったとは…
「というか、真島1人か?」
「ええ、友達誰も興味がないらしくてぼっち参戦です」
「そ、そうか…」
「先生はどうなんですか?」
「…お前と同じだよ」
「なんかすみません」
互いに悲しくなってから俺は思い出したように言った。
「安心してください。誰にも言いませんから」
「そうか?なら良かった。力づくで従わせるのは得意じゃないからな」
懸命な判断をした自分に心からグッジョブを送りたい。まあ、多分体罰はないだろうけど、怖いものは怖いのだ。
そんな風に話していると、アナウンスが流れてからゆっくりと会場が静かになりそしてーーー我らが天使の小暮唯ちゃんがステージに降臨なされた!
「皆ー!盛り上がっていくよー!」
うおぉぉー!そのその言葉に反応してオタクが発狂する中でーーー俺と先生もまた発狂していた。
「唯ちゃーん!」
「可愛いぞー!」
先程までのことを忘れて2人で同じようなテンションで盛り上がる。最近のライブでは所謂オタ芸は禁止されているので派手なことは出来ないが、ある程度ペンライトを振るタイミングというか、タイミングよく皆でジャンプしたりと一体感があるのだ。
「真島!」
「なんですか!」
「やっぱりライブは最高だな!」
そうして無邪気に笑う先生に俺は少し見惚れてから同じように微笑んでライブを楽しむのだった。これが、俺と先生の始まりだったのかもしれないと、後から思うのだった。