世界設定
この物語は、一つの巨大な世界樹の上に人々が住んでいる世界。
世界樹の枝に大地が付いており、合計で十の層がある。
頂上から順に一層、二層と呼ばれている。
それぞれの層は幹以外に数多の枝が支えている。この枝はらせん状に伸びており、人が上れるぐらい緩やかな坂道になっている。
一層から三層は聖地と呼ばれ、人が入ってはいけない聖域とされている。
標高が高くなり酸素が薄くなるため人が住むのに適さない土地でもある。
四層から七層は人の生活圏となる。
人口はおよそ100万人。
四層から七層までの高低差は二十キロ以上あるが、世界樹が生成する酸素と、住む生物の総数などが奇跡的に均衡し酸素濃度に大きな差はない。そのためこの四つの層はどこでも人が住むことができる。
七層に下級国民、六層に上級国民、五層に貴族、四層に王族が住む。
下級国民と上級国民の違いは治める税金により、下級国民は六層に行くのに通行証が必要。また住居を六層にするためには、それ相応の税金を毎月治める必要がある。
貴族はそれ相応の税金を納めると成ることができる。
王族は四家存在し、それぞれ四層の東西南北に建てられた城に住む。
この王族は最大で二十年王族として政治を行った後、王族から降ろされ貴族になる。その後、降ろされた貴族を含めた貴族の中から新しい王族が選ばれる。この選考は上級国民による投票によって行われる。
最も強い権利を持つのは王族だが、王族による絶対王政をさせないために、様々な権利が貴族にある。
その一つに王族の政治、不正を咎める権利があり、これを行使した場合、貴族内の可決によって王族は即座にその座から降ろされることがある。
八層より下は数多の魔獣が住む階層となる。
この魔獣とは八層より下に生息地がある生物の総称となる。唯一洞海亀のみ七層にも生息地がある。たまに八層から魔獣が七層に上がることもあり、襲われる町がいくつかある。
八層は全域を開拓されている。
中央の幹を囲むように巨大な山脈が二つ、二重の円を描いている。外側の山脈は三千メートル級、内側の山脈は五千メートル級になる。この山脈を境目に、山脈の外側は「八層の外」、一つ山脈を超えると「八層の中」、二つ山脈を超えた先を「八層の内」と呼ぶ。
八層の外は太陽の光が届くため、昼間は明るい。八層の中は山脈が光を遮るが、発光する植物の存在で夜でも周囲を見ることができる。八層の内は光がほぼ山脈によって遮られ、なおかつ発行する植物が生息しないため、暗黒の世界になっている。
中心に近づくほど、生息する魔獣は凶悪になる傾向がある。
九層は半分近く開拓されている。ここまで人は降りても問題ないとされる土地。
住む魔獣は八層とは比べ物にならないほど、大きい種族が多い。これは酸素濃度が多くなるため。
開拓は九層の外側がほとんどであり、内側はほぼ開拓されておらず、どのような魔獣が生息するのかも判明していない。
最高峰の冒険者たちが開拓を試みているが、九層の半ば辺りに生息する魔獣に苦戦し、開拓はここ十年進んでいない。
十層はほぼすべて開拓が行われていない。
十層は酸素濃度が九層よりも濃くなり、人にとって毒になるため、まず降りることができない。
九層の端から十層の一部を見ることができるが、地形が分かる程度で、一体を除き、どんな魔獣がいるか判明していない。
その一体は九層からでも確認できるほど巨大。