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忘れられない俺と変わり者の少女 ーシンティア・コードー  作者: 里道アルト
忘れられない理由
7/14

第一章6

次回、第一章完結予定。


また、見に来てください。

 「今日は転校生が二人来てくれましたよー」


 教卓の前に立つ少女、いや、先生は、中学生に混じっていても、間違いなく気づかれないミニアムな人である。


それでも、一応は大人らしく、大学を出て、教員免許を取得して教師になったそうだ。誰がどう見ても、中学生なのだが...。


 そして、その先生、小山先生はこの街の『特殊活動部隊』に所属している。


 『特殊活動部隊』とは、暴走した生徒の対処にあたる、大人で、唯一学生に対抗できる存在である。


 

 まぁ何はともあれ、昨日、書類を大量に持って騒がしくしていた理由はわかったな、と一人合点していた空。


 周囲の生徒は、転校生というワードで盛り上がっていて、男子生徒は、「かわいい女子がいいな」と呟き、女子生徒は、「イケメンの男子か、話しやすい子がいいなー」と友達同士で話し合う。


 「まず、一人目の子を紹介しまーす」


 先生の甲高い声に反応した黒い影は、教室のドアをそっと開け、中に入ってくる。


 それは、金髪のショートボブの美少女であった。


 その一連の行動だけで、男子生徒は湧き上がり、女子生徒は若干盛り下がる。


 「日向(ひむかい) (あおい)です。よろしく....」


 とても、静かな口調で少女は自己紹介していたが、別に暗いイメージを感じなかった。


 ちなみに、男子軍はやけにテンションが上がっていた。


 そして、二人目が紹介される少し手前、空は、予期せぬ事件に巻き込まれたる。


 「やっほー、空?やっぱ、ここにいたんだ~」


 見知った顔の高い声が、教室に響いた。


***********************************

 

 あの後は散々だった。まず先生に、


 「あの、黒城くん?せんせいは、二人目の転校生を紹介したいんだけど。この子誰かな??」


 と、何もしていない空が責められ、友達、いや、男子生徒全員に


 「おい。黒城、お前いつから、リア充になったんだァ?」


 と、問い詰められ、二人目のドアの前で待機していた転校生が、


 「私、まだ呼び出されないんですか?」


 と聞いてきたのを無視したら、ほっぺを、強くつねられた。


 そして、空は、この一連の流れをこう評す。


 「あぁ、不幸だな」


 と。



 一連の騒動が収まると、空は責任を持ってミリアを連れて帰るように、と、職員室で先生に言われた。


 幸いにも、ミリアが、機凱種(エレメンタル)であることはばれなかったが、自由奔放なその動きに振り回された空は、控室で、ぐったりしていた。


 そこに、ミリアも合流する。


 「な、なぁ、ミリアさん?外へ出ちゃダメって念押したよねぇ」


 「空、私の昼食がないんだよ」


 「ないんだよ、じゃねぇぇぇぇぇぇッッッ。大体、居候だっていうのに、それくらい自分で何とかしてくれよ。っていうか、何ちゃっかり、人並みの生活に慣れてんだよ、俺に、金のことまで心配させるっていうのかッ!?」


 そんなたわいもない(空にとっては死活問題)話をしている間に、時間は過ぎていく。


 空は、『残業』がまた増えることを覚悟したのだった。


***********************************


 家に帰る手段として、空は、『飛翔能力』を使っていた。


 本当は、移動手段として、最も最適なのは瞬間移動(テレポート)なのだが、そうそう簡単に操ることができないようで、彼一人なら、移動に支障をきたさないものの二人以上になると変わってくるようだ。


 まぁ、何はともあれ、いま彼らは、上空を移動している。


 ミリアも、初めわずかに驚いたが、特に気にすることもなくなっていた。


 「そういえば、この街には能力者がいるんだったね」


 「あぁ、俺の場合は、自分の頭の中に思い浮かべたものを現実でも起こす『創造』っていう能力だ」


 感心深そうに、ミリアはコクンコクンと相槌をうち、こう聞いた。


 「例えば、他の能力をその『創造』で操ることってできるの?」


 ミリアの問いの答えに少々悩んだが、空は、手を広げてこう答えることにした。


 「発炎(フレア)電気操作(プラズマ)水操作(ヴェーター)重力(グラビティー)


 空の手の平から、小さな炎が吹き出し、それと高圧電流が混ざり合いきれいな橙色の光が見えたと思ったら、それを覆い隠すように水が、その光を鎮火しその光は、地面へと落ちていった。


 そして、その光が落ちたところにふわっと降りた空は、改めて、こう言った。


 「俺ができるのは、せいぜいこのくらいかな」


 「すごいね、まるで、手品みたいだった」


 好奇心旺盛なミリアの心をばっちりと掴むことができたらしい。


 それに満足して、空は、ニッカっと笑った。












 

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