第一章4
第一章が三分の二くらいまで、書くことができました。力足らずですが、これからも読んでいただけると、うれしいです。
次話は、ようやく、空の能力が書けそうです。頑張って、投稿できるようにします。
「あ、すみません。お食事中申し訳ないんですが、ミリアさん。僕のことを、空と呼ぶのは、確定なんですか?」
ハンバーグを食べている時に口に付いたトマトケチャップを人差し指で払うミリアは、首をかしげてこう聞いた。
「ダメなの??」
正直、女子には、黒城と呼ばれるのが、普通だったので、あまり分からないが、名前で呼び合うというのは、彼氏彼女の関係になってからというのを聞いたことがあるのだ。
その考え方自体、古いのかもしれないが.....。
「いや、なんとも思ってないならいいんだ。特に気にすることも俺自身にはないわけだし」
慌てた様子で、空はそう言った。
学校で聞いたそれは、デマであろうということにして、心にしまうことにした。まぁ、当分の間は、恋愛に割いてる時間もないので、気にはしないだろう、と。
だが、そんな空に、ミリアは、正座して、空の正面でお辞儀をして、こう言う。
「空、これから先も、末永くよろしくお願いします」
「そう思ってたけど、やっぱりそうなるの?俺の未来まで決定しっちゃってるの??」
機凱種と結婚.....想定できる自分もやっぱり変なのかと思う空。
あと、お食事タイムとか言ってたけど、機凱種って人間のもの食べれるんだな、と空はひとりげに感心していた。
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「いや、機凱種でも寝るっていうのはさ、昨日で分かってたけどさ。なんで、俺のベッドで待ち構えてるの?」
「空も一緒に寝てくれても、かまわないんだよ。ついでに、夜のおつとめを果たし.....
「あァーあぁーあぁー聞こえない聞こえない。エロい方向に持っていくのは、やめましょうねッ!?」
二階にある寝室の空のベッドに居座るミリアは、空の用意した料理を二回おかわりして動けない状態だった。単純にいうと、眠気に誘われていたのだ。
空は風呂に入らずに寝室に来るのは、これが初めてで、自分自身に嫌悪感も湧くがそれ以上に、ミリアがこのまま寝てしまう事を恐れていた。
両者の意地のぶつかり合いが始まるのか、と思われたが、ミリアの「お風呂に入りたい」の一言で、それは、行われなかった。
風呂に入る前に、家の案内でもしようということになって、彼らは家を回った。
空白の多い部屋。誰が来るというわけでもないのに、無駄にスペースだけが空くその家を全て見て回った空達はようやくお風呂場に到着した。
「お風呂だ、お風呂。初めて実物を見る!」
子供のようにはしゃぐミリア。それを見て、空はまた、笑っていた。それと同時に嫌な予感が頭の中をよぎったが、空は、それを無視する。
「空、一緒に入ろうよ」
「さっき、誓ったばっかなのに、なんでそうやってご破算にしてくるの?やめてよ、そういうのには、乗らないって。さっきから、どこのチャンネルと繋いでるんだよッ!?会った時から、ずいぶん変わってきてるぞッ」
「何言ってるかよく分かんないけど...。じゃあ、私が先入るね」
「だからッ、.....へ、あ、うん。いいよ」
よく、考えたら自分も入ろうとしていたことを空は思い出す。
ミリアに先を越されたんだと、ここに来てようやく理解したが、いまさらもう遅い。
ミリアの鼻歌とシャワーの音で、彼の悲痛の叫びも、完全に打ち消された。
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「いや、見..ないで.....。はず....か...しい.....」
「そういうのなら、なぜ裸で出てきたんだよ!?というか、また、チャンネル変えたのか?俺的には、前のよりもこっちの方があってる気もするけど....」
肌にタオルを巻いて、顔を赤くするミリア。空は、この姿に一瞬、心を揺さぶられるが、ミリアに、寝間着を一着預けると、とっととバスルームに入ってゆく。
残されたミリアは、与えられた寝間着を前とは比べ物にならない早さで着替え、ベッドでうずくまるのであった。
ちなみに、この時、『カテゴリー:気弱な少女』に、ミリアは接続していた。
よって、空のイメージの中では、ミリアのような少女=気弱な少女というの妄想があったと言える。
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風呂を出て、そのままベッドに向かおうとする空だったが、ベッドに人が入っているのを確認して、ベッドには入らず、近くまで寄って、様子を観察しようと考えた。
「................すやー..........」
寝てる姿は、本物の少女そっくりだなぁと率直な感想を漏らす空。
たとえ、機凱種であっても、寝ている間は、人間と同じように素の顔を見せるんだな、ということを初めてこの時理解した気がした。
そして、空のスマホに一つのメッセージが届くと、空は、うんざりした様子で、静かにその家を出ていった。夜はまだ明けない中、ミリアの髪飾りに似た何かを持って空は、戦地に足を運ぶ。