第二章6
「発炎付与、弾丸ッ!」
空は相手に触れると着火して超至近距離からの高速弾を放つ弾丸を機凱種に対し二、三発打つ。それを糸のように体を細めて完全に避ける機凱種。両者の動きに一つの迷いはなく、空にとっては隙一つでさえ致命的な戦闘になっていた。
相手の力量は未知数、こちらが行える手数は限られている。基本、戦闘不向きな能力しかコピーしてこなかった弊害が今になって現れた。
空や千里のような特殊能力者の中でも一際珍しい能力を持つ人は、空の使っている「ブレードガン」や千里の「孤月と鋼糸」のような特殊な武器は能力伝達系武器と言われる武器が支給されている。それは量産型ではなく特注の武器で普通の能力者は使ってもほとんど意味は無いが使う人によって最大限の能力を引き出せ、能力を最適に武器に伝えられるという優れものだ。
だが、それは同時に本来空達が一般に使われているような武器を使用できないといった弊害を重ねて持つということなのだ。
すなわち、いくら多くの能力を再現できる「創造」と言えど弾丸やブレードと相性が悪い能力は戦闘において使えない。すなわち必然的に、手数が少なくなってしまうわけである。
「氷結付与、弾丸ッ!!」
空は機凱種の下に弾丸を打ち込み、その弾丸の数発が金属を凍らせるほどの冷気で機凱種の一部を凍らし、動きを鈍らせることに成功した。上手く変形も出来ないらしい。これはチャンスだ!!
超低温からの超高温上手くいくかわかんないけど、これしか俺がこいつに勝てる方法はない!
即座に数発の超高温を施した弾丸を発射する。それが機凱種に着弾する前にものすごい爆風に巻き込まれ、空自身も壁に叩きつけられた。
口の中から赤黒い物体が飛び散る。痛いどころの話ではないが倒れそうになる自分の体をしっかりと足を地面に貼り付けて耐える。黒い霧のせいで全然前が見えないが、霧が動いている様子もない。倒したのか?空が少しだけ安堵した直後、言葉では言い表せない最悪の音を聞いた。
「gdd#thfthgfティf*いぃぃぃぃhgンガルルルルルルルhhjj「sf」dfukgdi####」
瞬間、体は自然に宙を舞い、体は七階フロアから真っ逆さまに落ちていく。もちろん、立っているのもやっとな空はこれに抗うことはできない。
最後に見えたのは半壊していたフロアどころか、落ちていく自分の体が六階にもとどまらず、降り注ぐ止まない瓦礫の雨だった。
(「力を貸してほしいか?君一人では勝てないと分かったんじゃないか」
「私はいつでも構わないが、早く決断をしないと君の体は面白、いや血みどろオブジェに変わるだろう?」
「正直それは私としても困るんだよ」
………………………分かった。言い返せないのが悔しいけどしのごの言ってられないし、あんたの言う通りだった。どうやら、また助けが必要らしい。力を貸してくれるか、アルタナ?
「承知した。では、また少し君の体を借りることにしようか」
……古の契約を、我はアルタナ。四大元素の一つ火の王……)
唇と唇がそっと触れ合う。その儀式は空の残っていた意識を完全に乗っ取り、新たなものがその体に鎮座する。
力なく落ちていく空の瞳はオレンジとブルーのオッドアイへと変化する。それはかつて別の世界で精霊種と呼ばれる存在の特徴的な瞳であった。
お久しぶりです!!モブ生活もそろそろ書き始めれそうです。良かったらそちらも見に行ってやって下さい(切実)頑張って書いていくぞー!!