第二章5
空は「瞬間移動」の従来の有効範囲を悠に超えて、第三学区Gー31と呼ばれるビルの一棟に一分足らずで到着した。
鋼糸が貼られている三四五六フロアを超えて七フロア、そこでまだ千里は新型の機凱種と交戦中だった。まだ、外の戦闘科が合流してないのは気になるが、あいつが相手だと被害が拡大するだけだから一人で抑えて、外に伝えてないだけかと一人勝手に結論付けた。
千里の頬、足、腕には小さな傷が無数に浮かび上がり、服もぼろぼろだ。一人の女の子としてはいただけない行動だけど仲間のためにそこまで体を張っている。
それなのに対する機凱種の方は傷らしい外傷もなく、形の変形を繰り返していた。形は剣のように細く鋭いものにも盾のように広がるようだ。
かなり押され気味になっている千里は無理に能力を行使しているが、その能力の追跡から逃れるようにぐにゃりと形を変える。
そこに割り込むようにして空は己の拳を機凱種に突き立てた。変形しかけていた形のまま留まる機凱種と先程まで瀕死だった空を交互に見ながら安心したようにヘタリと千里は倒れる。そんな千里に空はこう言った。さ
「選手交代だ。少し休んでくれ。...ここから先は俺がやる!!」
遅れてやってきた冬燕らは傷の数だけでいえば空よりひどい千里を回収して、ビルの外に出ると、そこには新型機凱種と空だけが残った。
冬燕らが千里を連れて「瞬間移動」するのを見送ると空は敵と向かいあった。
「千里がでるまで待ってくれてありがとう...と言っても通じないんだったなお前には」
第七フロア。そこには大量の鋼糸が張り巡らされていて、千里と機凱種の激しい攻防が伝わってくる。しかし、機動力命の空にとって鋼糸は機動力を削ぐものでしかなく、空は機凱種と向き合いながら片手間で鋼糸を切っていく。
「さすがに多すぎる。ただ、俺には鋼糸趣味はねぇから次席には悪いけどここは切って確実をとるか」
しかし、鋼糸を切るのはいいが、そればかりに集中しているとそれだけ機凱種への対応が難しくなる。瞬間移動と鋼糸とガンモードとは相性が悪いのでブレードモードで切ることを強いられるが、機凱種が逃げずに空に対して攻撃態勢でいることが何よりも幸いなことだった。
「mgtpjmtwgmハガルqqqq」
鋼糸を切るためちょこまかと動いていたためか今までの変形とは違い、変形するというよりは中から破裂する。全面的に金属片に近い物質を高速度で吹き飛ばしているようだ。第七フロアは半壊、近くにある鋼糸陣は完全に機能を失う。
よって、空自身も戦闘に集中できる状態になる。敵の金属片は多少、空の肌を掠めたが、あまり有効打にはならなかった。
「さぁ、始めようか!!」
空は左ポケットに入れていたもう一つのブレードガンを取り出すと、
「ガンモード」
鋼糸を切るためにブレードモードにしていた右手のブレードガンをガンモードにして、戦闘準備に入った。
お久しぶりです。全然書けてなかったけどまた、更新していきます!!よろしくお願いします!