第二章4
朦朧とする意識の中で空の瞳は少女の形をした何かを捉えていた。しかし、それは少年を病院に運んでいる冬燕や蛍ではない。
「(...なんだこれ...幻覚...なのか?)」
「攻守交代しよう。我が名はアルタナ。君の中に眠る概念...悪魔や天使みたいなものっと言った方が伝わるかな?」
「(攻守交代ってどういうことだよ)」
相変わらず、声は出ないが、空は心の中で叫んだ。
「簡単な話だよ、こうするのさ」
そう言うとオレンジとブルーのオッドアイの瞳を持つアルタナは白一色の世界を歩き、空の真正面まで近づく。空の体は何かに縛られているかのように全く動かなかった。
ただアルタナが近づくのを待つだけ。そして、彼女は空の顔が触れそうなくらいすぐ近くまで来て、アルタナは耳元でこう告げた。
「ファーストキス、もらうね」
空とアルタナの唇が少し触れた。瞬間、空の頭は真っ白になり....ガコンと音がなり意識が切り替わった。
「ありがとう、冬燕、夏目さん。もう大丈夫そうだ」
「はァ、大丈夫な訳..」
「冬燕ちゃん」
夏目に言われ冬燕は空を見た。
病院から一KMの位置で、少年の傷は完治までとはいかないものの圧倒的に回復しており、血が止まっていた。
「え、空?一体どうなって...??傷が...」
「空さん、おかしい...。こんな回復できないはずなのに...」
ビルの上に立つ三人。瞬間移動で足場を設けると空は二人の少女にこう頼んだ。
「きっと、次は次席がやられる。だから、二人には次席が戦闘離脱するのを助けてやってほしい」
「空は?......もしかして、その体でッ...!?」
「あぁ、あいつを倒しに行く。人の心の弱さに溶け込むあの機凱種を。それに特例には特別が対処しないとダメだろう?」
そう言って、彼女達にお願いをして、空は来た道を帰ろうとした。が、少し用事を思い出して、冬燕に
「あとちょっと頼みたいことがあるんだけど」
「え、何?」
「 」
と小さく耳うちした。その後、空は瞬間移動を使い、あのビルに向かう。冬燕達も慌てて空に続いた。
彼の目がオレンジとブルーのオッドアイの瞳に変わっていることに、少女達は気付かない。
大きな違いと言えば空の創り出した髪飾りからほんの小さな光の魔法陣のようなものが浮かび上がっていることだけだった。
少しずつ書いていきます。
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