第二章2
一年ぶりの更新...、楽しんで読んでいただけると幸いです。
「現在、部隊『戦闘科1、2、5』と『機能科』が一人以外全員到着したようです。報告以上」
一八時二六分二七秒現在。ビルに突撃する部隊はほぼ出揃った。五重能力者は二人、次席と主席である。成績トップを変わらず維持していく二人、彼らを呼び出すほどの大事であった。
「アレが何なのか分かるか?千里」
「主席こそ分かるんですか?」
「いや分かんねぇ。まだ確認されてない方が出るなんてなぁ」
「仕方ないですよ。分からないこと、解明されてないことなんて、山ほどありますから。今現在、確認されている機凱種を処理しただけでも褒めてもらいたいものです」
機凱種の型を決めるのも防衛都市『機能科』の仕事である。そして、全てのネーミングを決めているのも千里。『戦闘科』でなくてもこれほどの実績を上げているから、千里は次席なのである。
一方、その頃空は、目的地まであと二〇〇〇Mのところまで来ていた。最高でも一分四〇秒、小回りを利かせると、何分かかるか分からない。
「(...だけど、ようやく慣れてきた。ラグも二秒減ってる!!)」
彼の能力、それは『完全再現』一度肌で感じたもの、見たもの聞いたもの感じたこと、それを能力として発現できる。いわば、模倣である。それゆえに、彼は自分の体を、その体で経験することを絶対に忘れることがないように調整していた。
「追いついてみせる、必ず。俺の能力なら気付かれず助けることができるはずなんだ!!」
目線の先には今にも突撃しようとする部隊が見える。『重力』によって作られた斥力球を踏み台にし隣のビル、隣のビルへと飛び移る。時間までに何とか侵入できそうだと、空は思う。あと足りないのは、ミリアの居場所。四〇階まであるビルのどこのフロアにいるかだ。だがしかし、それも今解決した。『創造』によって、『透視』の能力を付与したレンズ。ただし、効果があるのは約四〇M前後、だからこそビルの中を走る必要があった。
時間はもうない。あと一分一八秒。彼はビルの中へと吸い込まれていった。
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飛んだ、たどり着いた。しかし、ビルの中に入ったことは、すぐさま部隊に伝わった。少年は気付いておくべきだった。この戦闘には『機能科』も関わっていることを。『透視』の能力を誰から得たのかを。冬見 結月「視分析」と「透視」を持つ『機能科』二重能力者は、千里にこう告げた。
「次席、遅刻常習犯の空君が、遅刻したと思ったらしく勝手に中に入り込んじゃいましたよ」
仮に、空のレンズが約四〇Mほどしか見れないとすると、彼女はその二〇倍八〇〇M先のものまで透過して視ることができるのだ。だから、人にとってそのビルは障害物と成り得るが、彼女にとっては取るに足らないものなのであった。
千里はやれやれといった調子で、『機能科』の無線通信を使うが、空がいっこうに出ないので、さらに、やれやれといった感じで、こう命令した。
「『機能科』のバカが一人勝手に乗り込んでいったから、『機能科』が回収してくるぞ。戦闘科には悪いが、少しここで待っていてくれ。くれぐれも敵と接敵した場合は、撤退すること。いいな」
千里が言うだけ言うと『機能科』だけが虚空に消えた。残された戦闘科はこぞって、自分達も、俺たちもと手を挙げるがその場を主席が鎮め、彼は不敵に笑った。
「まぁまぁ、成績を残したいっていうのはわかるけどよ、あいつらが帰って来るまで待ってようぜ。防衛都市第二階位『機能科』の戦ってるところなんて滅多に見られないんだからな」
一年は言い過ぎだったみたいです。一年と半年でした。すみませんすみません、どんな感じで進めようかなと考えていたら、もうこんなに経ってしまいました。また、再開できたらいいなと思いますので、その時はぜひ読んでいただけると嬉しいです。