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彼氏談義〜あるいは女の友情〜

作者: 夜朝

「聞いてよ!

 アイツったらねえ、

 髪型変えても口紅変えても

 全然気づかないのよ!」


部屋に入って来てから

ずっとおかんむり

彼女は彼氏のダメなところ

本人に言わずに

ここでぐちぐち


「そのくせ

 五百グラム太っただけでも

 めざとく指摘してくるしさ

 もう!

 どこ見て生きてるのかしら!」


ぷん!

ようやく言いたいことを

全部吐き出したようで

ずずず

ストローで一気飲み

アイスミルクティー


「言っちゃえばいいのに

 反省するかもよ?

 彼氏さん

 『体ばっか見てないで

 顔のほめられるとこ探しなさいよ』

 とか」


「反省?

 そんな可愛らしい性格

 してないわよー

 ……つか

 さり気なく失礼ね

 探さないと見つかんないわけ?

 アタシの顔のほめポイントは

 アンタのとこは?

 こないだのケンカは?」


言われて

もう一人の彼女が思い出すのは

数週間前の大ゲンカ

バカをたくさん言って

返事も聞かずに飛び出したこと

彼女に洗いざらい話して


「何をされて

 どう嫌だったのか

 彼の目線で説明しないと

 向こうは分かんないわよ

 一ヶ月に一度

 十個だけ売られる

 とっておきのプリン

 勝手に食べちゃったって

 言っても……

 例えばさ

 『一ヶ月前から予約してた

 ますたーぐれーどのぷらもでる

 勝手にヘタクソに組み立てられたら

 どんな気分?』

 って聞くのよ」


さとされたのだ

ふふ

笑って

小さい吐息をひとつ


「おかげさまで

 次のプリン販売日に

 一緒に買いに行こうねって

 デートの約束になったんだー」


語尾にハートが飛んでいる

ふと思い出して

同じことを言ってみた


「そっちこそ

 彼の目線で

 例えてみたらいいのに

 確かボディビルしてるんでしょ彼

 『オイル変えても

 全然気づいてもらえないのに

 ポーズした時に

 角度が三度違っても指摘されたら

 どんな気分?』

 って」


言われた彼女は

真面目な顔をして

吟味するまでもなく

引き気味に却下した


「…………いや

 あんまり

 そのセリフによって

 改心されても

 嬉しくないって言うか」


「えーなんでー」


「いや……もういいわ……

 アタシ

 高望みせずに

 彼のそのままを

 テキトーに受け流して

 上手に付き合っていくし……」


目を逸らされて

名案を言ったつもりが満載だった

もう一人の彼女は

微妙に不服そうにしていた


でも

収まるべきところに

丸く収まるなら

なべて世はこともなし

友情とは

ありがたいものである


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