表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

最低だな。おまえ

作者: 眠ネム

なんで俺が、こんな目に遭わなくちゃならないんだ…


俺はここに連れてこられた時点ですでに意識は朦朧とし、全身血まみれであった。


好きな男の手によって…



1週間前まで俺はごく普通のサラリーマンをやっていた。夢もなく、将来に希望もない。周りがどんどん結婚していく中ですら、焦りも生まれず、家族が欲しいと思った事は一度も無かった。

元々そういう人間なんだと思う。

愛に飢えている訳でもなく、誰かと繋がりたいとも思っている訳でもなく…。

自分のしたい事が分からなかった。

今更誰かと…周りの人間達と同じようにはなれないのだろう。

一度だけ中学生の頃に見たアニメの影響で、自分の人生に対して、もっと熱くなりたいと思った事もあったが、自分に期待する分、何もやらない自分に心底あきれた。

そんな俺は他人にも興味がなかった。

自分を産んでくれた両親にも特に情はない。

だから、外出の誘いも全て断った。

今では音信不通の仲だ。

自分が高校生の時、いわゆるカツアゲにあった時に、助けてくれた人がいた。格闘技をやっているらしい彼は、困った時はお互い様と言って去っていった。

俺はただその背中を見送った。

後々、助けてくれた彼が同じ高校の先輩とわかった。

だが、ただそれだけだった。

恩なんて微塵も感じていないようだな思った。

自分の事がわからない。

他人の気持ちの方がまだわかりやすい。

俺の行動、発言に対して不愉快だという他人の気持ち。


あー、〇〇お疲れー!

今日同期で飲みに行くからお前も来るだろ?


悪い、さっき仕事が増えてしばらく帰れそうにないんだ。また、次誘ってよ。


お前何ミスしたの?俺で手伝える事あるなら手伝おうか?


いやいや、そんなんじゃないから。新しい取引先の書店の店長、色々注文多くて大変なだけ。


そうなの?なんか、お前いつ誘っても仕事仕事で全然来ないから、大変なら他のやつにも回してもらうなりしろよ?


あは、ごめんな。

でも俺、この仕事好きだから。それにこうやってお前が気にかけて話しに来てくれるだけで、十分ストレス発散になってるからさ。


なら、良いんだけど。

何か悩みがあったらいつでも相談しろよ!


ははっ、その時はたのむよ。


じゃあな!


俺の同期の市原だ。

よく話しかけてくるし、飲みに誘ってくるので面倒だが、会社での評判は悪くない。

変に荒波を立てる必要もないが、親しくなるのも面倒くさいので、俺は毎回このように市原の誘いを断っていた。

彼も恐らく俺が断るとわかっていながら誘いに来てる。

俺は基本、人とは必要最低限のことしか話さないので、こうやって笑いながら誰かと話すのはこういうプライベートな誘いの時だけだ。

上司のくだらない冗談にも苦笑い一択の俺だ。


こうやって普通に話すのが物珍しいのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ