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ランチタイム (優)


「あー、幸せだ」


俺は食べかけの最高の弁当を前につぶやいていた。

今なら死んでもいいかもしれない。



「あー、腹減った」

と言ったのが10分前。


「やばいっ、弁当わすれた!!」

と気づいたのが8分前。


「あ、ありがとう。マジ神!!」

と弁当を余分に作ったからと貰ったのが、5分前。


「す、すげぇ……」

と蓋を開いて感嘆の声をあげたのが3分前。


そして、男子にがっしりと胃袋を掴まれてしまった現在。



「なに、無言で泣いてるんスか〜?ユウ。って、その弁当すごッ!!」

「お前にはやらん」


俺は物欲しそうに見る幼馴染から弁当を守るように隠した。

まだ、一口しか食べていないのだ。誰にもあげたくない。


すると、聖は諦めたのか自分で買ってきた購買のパンを机の上に広げた。

てか、しれっと俺の机で食べ始めてんじゃねえ。


「それ、誰が作ったんスか〜?ハルっスか?」

「いや、アイツでもここまでのクオリティのは作れねえよ」


弁当には卵焼きやきんぴらなど、メニューは定番のものばかり。でも、味が違う。


卵焼きは二種類あって、丁度いい甘さのやつと、チーズが一緒に巻いてあるもの。弾力のある、フワフワの卵焼きは俺の心を暖かく包む。


きんぴらは、噛めば噛むほど旨みが出てくる。甘めの味つけだが、隠し味に七味が加えられていてとても良いアクセントになっていた。


唐揚げは作ってから時間がたっているというのに、食べた瞬間口の中に広がる肉汁。

外はサックり、中は柔らかい。もう、お袋が作った唐揚げとは大違いである。


そして、ご飯は食べやすいようにおにぎりにしてあり、一つは程よく塩が効いている。もう一つは、おかかが入っていた。


見た目は地味なのに、味はプロ級。


この弁当を作ったのが――、


「ムクなんだよなあ……」


そうなのだ。この弁当を作ったのは友人の佐藤ムク。れっきとした男子高校生である。


「やっぱり、ムクの手作りっスか〜」

「知ってたのかよ」

「いや、いつも部室で弁当食べてるじゃないっスか」

「ああ、それが?」

「それって、本人曰く視線が集まりすぎるから食べれないんだと。ほら、実際に……」


聖が苦笑いしながら周りを見る。俺もクラスメイトたちに目を向けると――、


全ての視線が俺の手元にある弁当に注がれていた。


彼らの目付きは獲物を狙う豹のように、ギラギラと輝いている。


「あは、はは……」


俺は乾いた笑いを発しながら、弁当をかきこんだ。

その瞬間、クラスメイトたちの視線は俺に移った。ていっても、それは羨望と嫉妬の入り交じっていて、とにかく痛い。


それでも、俺は 弁当を食べ続けた。味わいながら。


そして、食べ終わった俺は笑顔で――、


「ごちそうさまでした!!」


と両手を合わせたのだった。


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