とある日の日記
私は今、秋に決まった急な引越しの先の大きな町でこれを書いている。
本棚と音楽CDだけはなんとか片付いた、パソコンの配線も、寝るところも、とりあえず料理したり食事するスペースもある。
古いゲームや漫画のコレクションはいずれやろう、私は早速パソコンのメモ帳でキーボードを叩く。
これでひとまず落ち着いて小説を書ける。
前の町で私は静かに暮らしていた。
週に二日ほど施設に通うこと、毎日の料理や絵を描くこと、まれに拙い文を書くぐらいしかやることがなく。音楽をかけようとしなければ、私の部屋に鳥の声以外聞こえるものなどなかったほどだ。
この町ではそうもいかないらしい。
顔見知りを作ろうと訪れたカードゲームショップに行くだけですごく疲れてしまい、喫茶店で甘いケーキを食べることになったのだから。
今度通う場所もその時行った大きな町の中らしい。
前の町より人は多く、私は誰と出会うだろう。
パソコンはまだインターネットに繋がっていない。この町の歴史を図書館で調べる必要もありそうだ。
パソコンがインターネットに繋がっていたとしても私はそうするかもしれないが。
荷物を片づけていて改めて思った、私は古い本が好きだ。
この町で私はどんな本と出会うだろう?
なお、今この文が硬いのはこういう文体で新人賞に応募する作を書いているからだ。