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イビル・ガーディアンズ  作者: 朝倉新五郎
8/20

#8 戦の前に

 シルビアの体調が良くなったと言うことで、サヴァイヴから連絡が来た。

 アイリス達は2週間程看護していたようだが、その後は助手であるサヴァイヴ達に任せて帰っていた。


 「作ったものが有るので誰か至急来い」と言うシルビアからの命令でリュウが島に向かった。

 ガイとシンシアは南米でサンサ達と組んで仕事をしている最中なのでナビィと共に。


 シルビアの研究島に着くと、ケープタウンからバスターも来ていた。

 「リュウとバスターか、丁度良い。ナビィとリデルなら完全にサイズが合うな」

 研究室の方へと連れて行かれ「ここだ、サヴァイヴ用のアーマーを作ってみた」


 見ると、人形に防具のような物が装着されていた。


 「これってなんですか?」

 バスターが訊くと、シルビアが

 「リュウは前に来てもらってノーネーム、いやアルファベット用のパワードスーツを見てるだろう?」

 「サヴァイヴ用にも何か防御力の上がるものをと考えてな、作ってみた」

 そう言われてよく見ると、たしかにナビィやシンシア、リデル、ショウタロウの様なJ型用に見える。


 サヴァイヴ達は基本的に小型の順からJP型、JN型とMP型、MN型、それにLP型が有る。

 JP型は少女型、JN型は少年型であり、ナビィやショウタロウのような10歳程度の大きさである。

 MP型とMN型はヘンリーのリーディアやリサのスマイスのような16歳程度の体格。

 LP型はオランドのアルティナしか居ないが、成人女性型である。


 基本性能は最新型であるナビィのJP7型が優れているが、戦闘力はほぼ変わらない。

 大型になるほど内蔵兵器が多くなるが、重量がかさむためオランド以外はJ型やM型にしている。

 ナビィでさえ重量は100キロに近い。これはフレームであるサイコニウムが重いためだ。

 エテルニウムやサイメタルはチタニウム程度の重さだが、サイコニウムには銅と鉛が含まれている。


 「ナビィもリデルも近接戦闘用にセッティングされているだろう?異生物と戦うには防具が有ったほうが良い」

 「二人共装備してみてくれないか?」

 シルビアが形状の違う防具を一式ずつナビィとリデルに渡した。


 ガシャガシャと頭、肩、腕、胸、背中、腰、脚と装備するとかなりの重装備になった。

 シルビアはそれを見て

 「うーん、これだと動きの邪魔になるな、上腕、腰と大腿部はいらないか。頭部も最小限にしよう」

 一旦装備した二人の装備を外していった。

 「ナビィ、リデル、これで動きはどうなる?」

 シルビアが訊くと

 「動きに制約はほとんどありませんが、肩当てがスラスターに、背中の装甲がバーニアに影響しますね。脚部は確認が必要です」

 ナビィが言うと、リデルも「私もそう考えます」と頷いた。


 しかし、二人のサヴァイヴを見ていたバスターとリュウは

 「確かに防御の弱い部分、特に関節部分が覆われるのは良いですね」

 「近接戦闘で使うには丁度これくらいが良いと思います」

 とそれぞれが答えた。


 「そうか、スラスターとバーニアの位置、それに固定武装の部分も改良が必要だな」

 ナビィとリデルをくるくると回して再計算していた。

 そしてマジックを取り出して、二人のサヴァイヴの装甲に印をつけていった。


 「重さはどうだ?試作なので重いプラチナで作っているが、完成品は超々強化サイコニウムで作るから半分程度になるはずだ」

 ナビィとリデルに訊くと

 「この程度なら運動性能に影響は出ません、サイコニウム製になればほとんど重量は感じないと考えられます」

 リデルが言った。

 シルビアはそれを聞いて

 「そうか、ではデザインだけだな?少し地上で動いてみてくれるか?」

 と、全員で地上へ出た。


 「具体的にバーニアやスラスター、固定武装への影響を見てみたい、そのままで全てを試してみてくれ」

 「リデルとナビィ、模擬戦闘だ」

 シルビアが指示を出すと二人はすぐに地上から飛んで、まずは空中戦を行った。

 ある程度空中戦が終わると、地上付近でスラスターを吹かしながら固定武装で接近戦と少し離れて銃撃戦をした。


 10分程の模擬戦で

 「よし、戻ってきてくれ」

 シルビアが二人を呼び戻した。


 じっくりとナビィとリデルを見て

 「脚部のスラスターと背面のバーニア、肩部分のスラスター周りが溶けてるな?固定武装には影響は無かったか?」

 二人に訊くと

 「エルボーソードが引っかかりました、あとはハンドキャノンが出しにくかったです」

 リデルとナビィは同じことを言った。


 「ああ、腕のこことここか、穴を広げて、肘は少し削るか」

 シルビアは熱心に不良箇所を確かめていた。


 「シルビア博士、26体分の材料って有るんですか?かなりサイコニウムを使うと思うんですが」

 リュウが言うと

 「そうだな、サヴァイヴの分は問題無いが、お前達のパワードスーツ用となると足りなくなるだろうな」

 「しかし急ぐ必要はない、まだしばらくは異生物は封印されたままだろうし、増えれば狩らなければならんが奴らもエネルギーを使い果たしている」

 シルビアは少し考え

 「そもそもお前達を処分しようとした連邦政府の奴らを助けたいと思えんしな、泣きついてきたら考える」

 「ともあれ、備えは必要だな。Dランクを50体程度あれば問題は無くなる。

  その内でいいのでまた狩ってもらうことになるだろう。それまでにサヴァイヴ達のアーマーを仕上げておくよ」

 何か計算をしながら言ったが

 「博士、また倒れられると心配なんで無理しないでくださいよ」

 リュウが言うとバスターも

 「そうですね、博士はまだ人間部分が多いのでエネルギーを使いすぎるとまた倒れます」と気遣った。


 シルビアは笑いながら

 「そうだな、お前達にはよく働いてもらってるのに心配までかけてしまってすまんと思ってるよ」と答えた。


 「俺達は一度死んでるし、頑丈に作ってもらってますからいくらでも働けますよ」

 リュウが言うと

 「お前はちょっと働きすぎかも知れんな、リュウ。私の口座が膨らみすぎてる」

 と、シルビアが笑った。


 するとリュウが

 「あ、そうだ。博士に貰ったカード、俺使えるようになりましたよ、コンビニでかなり使ってます」

 と嬉しそうに言うと、シルビアは

 「コンビニでかなりな、お前は金銭感覚が全く無いからあの程度でも楽しいんだろう?」

 こみ上げる笑いをこらえるように言った。

 「お前が買う車のほうが何千倍も高いんだがな」

 「そうそう、ランボルギーニに特別仕様の世界で1台しか無い車を注文しておいた。その内届くだろうから楽しみにしておけよ、リュウ。私からのプレゼントだ」

 シルビアにそう言われてリュウは

 「世界に1台ですか?嬉しいな、楽しみです博士!」

 と子供のように喜んだ。



 用が終わり、リュウとナビィが東京へ返ってくると、ガイ達も帰ってきていた。

 「あ、南米の件終わったんだ、早かったなあガイ」とリュウが言うとガイが

 「ああ、サンサと麻薬組織の殲滅な。もう、あの野郎無茶苦茶しやがってよ、止めるのに必死だったぜ」

 疲れたように言った。


 「サンサってホントに麻薬嫌いだからなあ、また街を幾つかぶっ壊した?」

 リュウの言葉にガイが

 「ああ、2つな。やりすぎだあいつは。またミサイルまで持ち出しやがった」

 街が幾つ無くなろうとガイもリュウもどうでもいいのだが、距離感が掴めないのが厄介なのである。

 無敵の体だからとサンサはゼロ距離でミサイルを撃つことも多々ある。ロケットで十分なのだが。

 「見境なく撃ちやがるから戦闘服が3着駄目になった、気に入ってたやつもな」

 ガイはまた同じものをシルビアに頼まなければならなくなったようだった。


 「まあいい、今回はさすがの俺も疲れた。出前取ってくれーシンシアー」

 ガイはソファーに体を放り出してシンシアを呼んだ。

 シンシアはピザのチラシを持ってきて

 「いつものLサイズを3種類で良いですか?」と訊き

 ガイが

 「うん、それでいい。あとはリュウの分と一緒にな。あー、俺今現金がドルしかねーんだわ、リュウ、出しといてくれ」

 とシンシアとリュウに頼んだ。


 「じゃあ俺はシーフードとマルゲリータよろしくな、シンシア」

 リュウが「これで足りるだろ?」と財布をシンシアに投げて渡した。


 「あ、そうだ。サイコニウム活性剤とエテルニウム活性剤を博士から貰ってきたんで奥の倉庫に入れとくぞ」

 「ナビィ、車まで一緒に来て運ぶの手伝ってくれ、かなりの量が有るから」

 と言ってリュウとナビィが部屋を出ていった。

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