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イビル・ガーディアンズ  作者: 朝倉新五郎
6/20

#6 異生物対人類と捨てられた者達

 「くそっ!徹甲弾もミサイルも通用しねぇ!サイコニウムを装備した特殊部隊はまだか?持ちこたえられないぞ!」

 陸と空合わせて20万人規模の軍団が異生物の進行を押し戻そうとしていた。

 「ここを抜かれると後ろはもう部隊が居ないぞ!踏ん張れ!」

 通常弾頭では異生物の装甲にも似た外殻を破壊するのは難しい。

 同じ箇所に戦車の徹甲弾を2~3発打ち込んで初めて亀裂が入る程度だった。


 コアを直接狙えれば、20mm対物ライフルで壊せるのだが、外殻はサイコニウム弾や硬化エテルニウム弾でしかほぼ破壊できない。

 逆に言えばそれさえあれば1撃で倒すことが可能といえる。

 数百両の戦車がその重量に任せて踏み潰すがそれも限界がある。

 既に相当の被害が出ていた。


 「挟撃したはずだぞ?航空部隊は何をしてるんだ!」

 爆撃や重機関砲で空から攻撃は続けられていたが、足止め程度にしかなっていなかった。

 「防御力はともかく攻撃力が足りねえ」

 異生物の攻撃力は大したことはない。BランクやAランクの戦闘種はともかくDランクやCランク相手なら戦車が破壊されることは少ない。

 しかし決定打に欠けていた。


 人類の敵を駆逐するには生成されたサイコニウム弾等を使うしか無い。

 世界各国の共同軍は全力で戦っていた。

 核の攻撃でかろうじてしのいでいる状態だ。

 幸か不幸か異生物の外殻はサイコニウムや硬化エテルニウムの強度には劣る。

 一進一退の攻防が世界中の大陸で行われていた。


 「援軍はまだか?」

 皆が一筋の希望を持ちながら戦い続けていた。

 「奴らが打ち出したエテルニウムを集めておけ!」


 その頃、シルビア・ファレーゼと言う天才科学者によって戦況の打開が成されようとしていた。

 彼女と彼女の率いるチームは異生物に対抗できる武器を開発しながら、人型の決戦兵器を作っていた。


 「シルビア特務主任、Bチームが量産に成功した弾薬が異生物に効果があるとのことです」

 それを聞きシルビアは

 「そうか、サイコニウムの量産が可能になったか。では私は本来の研究に戻る」

 そう言って、戦地から送られてきた瀕死の兵士をサイボーグとして蘇らせていた。

 反応速度、パワー共に兵器と呼ぶにふさわしい者達である。

 シルビアの開発した素材をふんだんに組み込まれた最強の自律兵器、しかし呼び名は無くただノーネームと呼ばれていた。


 人類の反抗作戦が始まった頃には数百万の兵士が命を落としていた。

 そこから2年でやっと勢力図が反転しだし、最終的に5年をかけて各大陸に穿った巨大で深い穴に異生物を封じ込めることに成功した。

 約5000万人が戦い、4割の戦死者を出しつつも人類は勝利をおさめた。


 その直前にシルビアが持てる知識と技術を全てつぎ込んだ”最強の兵器”であるノーネーム達が完成した。

 しかし、そのノーネーム達は駆逐すべき敵を、目的を失ってしまった。


 その後はシルビアによる命令違反とノーネーム達の力で自らの自由を手に入れることとなった。

 シルビアは国際犯罪者とされたが、それを覆すためにノーネーム達が働き、誰もが手出しできない存在としてシルビアは孤島に研究所を作った。



 「博士、流石に働きすぎですよ」

 シルビアが突然倒れたと助手用に作られたサヴァイヴからアルファベット達に連絡が入り、手の空いている者全てが島に集まっていた。

 「そうだな、自分も一応の改造はしているのだが、まだ人間である部分が多い。お前達のように無理は出来ない様だ」

 機械に囲まれた寝室で22人のアルファベット達が様子を確認していた。

 「しばらくは休んでいてください」

 皆を代表してアイリスが言う。

 「ああ、わかっている、私の看護は助手のサヴァイヴがやってくれるので皆は帰っても良いぞ、すまんな」

 シルビアはそう言ったが、アイリスを含め数人が残ることになった。



 「博士大丈夫かな?」

 リュウがガイに言うと

 「フレームはともかく内臓器官や循環器は改造してある、大丈夫だろう。エネルギーの使いすぎだ」

 ガイにそう言われてリュウは安心した。

 「しかし自分をサヴァイヴ達に改造させるってのは博士らしいやり方だな、最終的には俺達みたいになるんだろうよ」

 リュウの運転で羽田から新宿に戻る車内で二人は話していた。


 「博士も歳を取らなくなるなるのか、異生物を駆逐するのかなあ?」

 リュウはシルビアの行動がわからなかった。

 「そうだな、俺達にミッションを押し付けてるみたいに思ってるんじゃないか?あの人は責任感の強い人だからな」

 ガイは恩人に対して畏敬の念を抱いていた。

 もちろん他のアルファベット達も同じ考えだ。

 「アイリス達がついていれば万が一も起きないだろうよ、残った奴らの面子から考えて安心していいと俺は思うぞ」

 ガイもリュウも看護の知識はなかったが、元衛生兵で途中から特殊部隊へ転属したアイリスなら問題は起きないはずである。

 他にもエースやエミリ、クイーザが残っている。皆医療知識を持つものたちだ。

 「確か最終型だったはずだしな、俺達より余程役にたつ」


 リュウは「そっか」とだけ答えてアパートの近くのガレージに車を停めて、4人で部屋へ戻った。



 数日後、アイリスから全アルファベットに連絡が来て、シルビアはもう心配いらないとの報告を受けた。

 ただし島に残ったメンバーは引き続き様子を見るとのことだった。


 そうこうしている時にミッションが数件入った。

 この場合初期の交渉もシルビアにしてもらう訳にはいかない。

 メンバーの内、交渉能力のある者がその任に着く。

 リュウには難しいため、ガイやエース、キャル、エミリ、オランドが適任とされている。


 「オイ、リュウ仕事だ。メキシコで元軍人の奴らが人々を誘拐してテロ要員にしてるらしい、潰すぞ」

 ガイがシルビアについているエースの代わりに仕事を受けたらしい。


 「麻薬組織じゃねーのか?サンサは動かねえの?」

 リュウの知る限り中南米の麻薬組織はサンサが潰している。

 「今回のは違うみたいだな、武力集団だ。警察署や地方政府が自爆テロでやられてるらしい」

 ガイが依頼内容をじっと読んでいた。

 「3勢力あるらしいが、全部壊滅させて2億ドルだ、行くぞ」

 早速メキシコに飛んでリュウ、ガイ、シンシア、ナビィはぶらぶらと歩きながら警察署へついた。

 既に半壊状態だったが一応の説明を受けて、車を1台借りることにした。返すつもりはないのだが。


 「よし、こいつで走ってりゃ銃撃くらいしてくるだろ?場所を見つけねーとな」

 リュウは楽しんでいた。

 戦後、スラムが多くなったメキシコでも特に危ない地区をゆっくり走っていると、案の定複数の方向から銃撃された。


 「来たな、降りて相手するか。一人は生かしとけよ?」

 ガイが言うとまずシンシアとナビィが戦闘モードで出ていった。

 「おーい、手足くらいは切り落としてもいいけど生かしておけよー」とリュウが言い

 「俺も行ってくるわ」とMP7とスコーピオンを持って「車見といてくれ」と言い残して出ていった。


 ガイは剣を抜いたままボンネットに座り込んでいた。

 「俺が要るなら声かけろよー」とのんきに3人の戦いを見守っていた。

 10数人程度だったので1分も掛からずに片付いたのだが、思った通り生きている者がほとんど居ない。

 片足と片腕をナビィに切り落とされた男を問い詰めることにした。


 「どうせ死ぬんだから吐いとけよ、お前の動きからすると元特殊部隊だったんじゃないの?」

 リュウがロープで一応の止血をした。

 「何者なの?ねぇ、なにものーって訊いてるの俺、分かる?俺探すの嫌いなんだよね、これホント」

 と言いながら首元に光るドッグタグを見つけ

 「リカルド・バンディ?へえ、名前分かったしお前の家族全員殺すぞ?」と脅すと渋々喋りだした。


 全部聞き終わると

 「シンシア、コイツ撃ち殺しといて。俺はガイに場所伝えてくる」とリュウは車へと歩いていった。


 「地図って有ったっけ?ダッシュボードかな?」

 ゴソゴソと調べるとドアポケットに地図が有った。

 リュウはそれをボンネットの上に広げて

 「このあたりがあいつらの縄張りらしい、んでもう一箇所、ここの勢力と争ってるんだとよ。これで2つわかったな、あと1つだねー」


 そして、リュウ達は2箇所の地区を住民ごとほぼ皆殺しにして残り1つの勢力のアジトも聞き出した。

 「銃持たなきゃ死なずに済んだやつも居たのになぁ、なんで10歳程度のガキにカラシニコフなんか持たせるかなあ?」

 「ナビィ、シンシア、この辺一体の建物全部ぶっ壊しといてくれ」

 ガイが言いながら地図を見ていた。

 「ここから少し遠いな?勢力争いはしてないって言ってたし完全に単独の集団かな?ガイ」

 リュウが訊くと

 「どっちにしてもぶっ壊すことに変わり無いだろ?とりあえず行くぞ」

 と、銃痕だらけの警察車両のガラスを全部砕き、走り出した。

 「さっきの組織、銃も車も良いの無かったな、次に期待するか。メキシコってこれだから嫌なんだよな」

 リュウがボヤきながら運転して1時間ほど走らせると目的の場所についた。


 小さな街の郊外に農場が広がっているどこにでもあるようなところだったが

 「こんな小さい街が根城か?まあ、いいや。この車で走ってれば撃ってくるか」

 そう言って走っていたが全く動きがなかった。


 一旦街の入口に車を停めて

 「歩きで探すか?めんどくせーなあ、なんで探さなきゃなんないんだよー」

 リュウが言うと、ガイは

 「待ってりゃ良いんじゃねーか?」と助手席に戻った。


 リュウはトランクを引きちぎって、さっきの戦闘で入手した銃を取り出した。

 「街に向かって撃ってみるねー」と言って見える建物を壊さない程度に銃撃していった。

 「弾薬はたっぷり有るし、ミニミもあるし適当に撃ってりゃ誰か出てくるだろう」

 一般住民のことなど考えずに数千発の銃弾をずっと撃ち続けていた。


 しばらくすると4輪駆動車が2台とバスが近寄ってきて少し離れた場所で止まった。

 「ありゃ?どっか行ってた帰りか?なんだよー無駄撃ちかよ」

 リュウがミニミを持って、その集団へ近づいていった。


 途端に車とバスから20人ほどの武装した男が降りてきてリュウに銃を向けてきた。

 「お前ら警官か?ボロボロの車じゃねーか」

 と言われ

 「あ、やっぱりお前らがテロリストなんだ?」

 リュウは男達に銃口を向けたが

 「ああ?俺達はこの街を守ってる自警団だ、南のテロリスト達のところへ行ってきた帰りだ」

 ガイも車から降りてきてカタナを抜いていた。

 「なんだ?シンシア、ナビィ、待機してろ、なにかおかしい」

 「リュウ、自警団って聞こえたがどうなってる?」ガイがリュウに尋ねると

 「俺もわかんね、こいつらじゃねーのかなあ?」

 リュウが理解できていなさそうだったのでガイが

 「何者だ?俺達は3つのテロ集団を殲滅しにきたんだけどよ、お前らは違うのか?」

 と相手に問いただした。


 「テロ集団の殲滅?じゃああれはお前らの仕業か?全滅してたが」

 その言葉でガイはわけがわからなくなった。

 「お前らが警察や自治体を襲ってたテロリストじゃねーのか?」

 ガイが訊くと

 「それはエルロイの奴らとジャディの集団だろ?俺らは武装してこの街を守ってただけだ、警察があてにならないんでな」

 相手は答えた

 「あー、それってお前らはクソ虫じゃねーってことか?じゃあもう一つのテロ集団ってどこに居るんだよ?」

 「言えねぇならお前らをクソ虫認定してあの街ごと全滅させる。ほら、教えろ」

 ガイは相手の言葉を全く信用せずに強要した。


 「もう一つのテロ集団?ガルシアのとこの麻薬組織じゃねーのか?あそこはこないだ警察に自爆テロ仕掛けやがったが?」

 それでガイは理解した。

 2つのテロ集団と1つの麻薬組織による自爆テロ。大体の全容がつかめた。


 「そっかそっか、疑って悪かったな。で、そのガルシアって奴はどこに居る?」

 ガイが訊くと

 「ガルシア本人は監獄の中だが連絡を密に取ってるはずだ」

 「No,2は用心深いやつでな、姿は現さねぇし名前も顔もわからねぇ。けど組織の村はここから北西に150キロ位のところだ」

 納得できる答えだったが、やはり訊いておく必要がある。

 「お前らは自衛してるだけなんだな?この街を守るために」

 確かめるためにもう一度言うと

 「そうだ、今日はエルロイを攻めようとしてたが、さっきも言った通り全滅してたんでな。街も無くなってたし軍も動いたんだろう?」

 リュウは笑いながらガイの肩にもたれかかり

 「俺らがやったことは内緒にしとこうぜ、その方が面白い」

 何が面白いのかガイには分からないが、手柄など欲しいとは思わない。そうすることにした。


 ガイは地図を持って 

 「ちょっと場所を教えてくれないか?その村と、あとはガルシアってのが入ってる監獄の場所を」

 それを聞いて自警団のリーダーのような人間が

 「お前ら2人で何かするつもりか?まあ、戦力を削ってくれれば俺達も助かるが、一体お前らは誰なんだ?」

 そんな質問に答える必要は無かったが

 「掃除屋だよーん。今回はね」

 リュウが勝手に答えた。


 ガイは

 「まあ、そんなところだ、情報ありがとうな。出来るだけ殺しておくことにする」

 未だリュウとガイを不審に思っているようだが、この場から去るのであれば止める必要は無いと考えたのだろう

 「気をつけてな」とだけ言われて集団は街へ戻っていった。


 「さーて、行くか」

 ガイが助手席に乗り込むと、シンシアとナビィが後部座席に、リュウが運転席に乗り走り出した。


 3時間で村に着くと明らかに雰囲気が違っていた。

 「シンシア、ナビィ、戦闘モード準備。ジェノサイドモードだ、向こうが攻撃してくるまで待て」

 と言うが早いか銃弾があらゆる方向から飛んできた。

 「全員ぶっ殺せ!」

 リュウはMP7とスコーピオン、グロック18を装備してミニミを持って走り出した。


 戦闘は30分と掛からず終わったが、まだ全滅させていない。

 「シンシア、ナビィ、周辺の畑も村も全部燃やしつくせ。人が居たら全員殺せ」

 そしてリュウとガイも加わって完全に燃やし尽くした。

 唯一無事な建物があったが、広い敷地の中に入ると銃撃された。

 「なんだあ?まだ居やがるみたいだねー?ナンバー2とかが居るのか?」

 と、リュウが飛び込んで全員射殺した。

 「コンクリートの部屋?倉庫か?」と開けると大量のドル紙幣が出てきた。

 「おいおい、これ何億ドルってレベルじゃねーぞ、ガイ来てくれ!」

 リュウがガイを呼ぶと部屋へ入ってきて

 「何だこれ?100人程度の組織が持てる金額じゃねーな、まだどこかに隠れ家があるのかもな」


 2人はシンシアとナビィに手伝わせ、近くにあったシボレーエクスプレスパッセンジャーに現金を積み込んでいった。

 積み込み終わると別の倉庫に山積みにされていたマリファナとコカインを全て燃やし尽くし、誰かが現れるのを待っていた。


 案の定、煙を見たのか十数台の自動車がやって来た。

 リュウがその車を見て

 「あ、欲しい車が有るから出来るだけ傷つけないで?あと、あの装甲車、ストライカーって言うやつで俺欲しい車ね」

 ガイは呆れながら

 「こんな時でも車かよ、まあ良い。シンシア、ナビィ、車に傷をつけずに何人か残して全員殺せ」

 難しい注文を出したが、サヴァイヴにとっては簡単なことだった。


 「で、どいつがナンバー2なんだ?」

 かろうじて生かしている敵にガイが訊くと

 「あそこに転がってるフェルナンドがそうです、もう死んでます・・・なんでも言います、殺さないで」

 ガイは「そうか、わかった」と言い

 「組織のメンバーはこれだけか?300人程しか居なかったが?」

 質問すると

 「もうボスと街に出てる小物達だけです、仕切っているのはダビッド、ボスの側近です」

 更に「他に畑や倉庫は有るか?」と訊くと

 「この道をまっすぐ行くと小さな村があります、畑があります。そこにある屋敷の地下に倉庫が」


 ガイは聞けるだけの情報を聞き出し

 「じゃあお前だけは助けてやる、嘘だったら戻ってきて殺す」と右の太腿をカタナで突き刺した。

 「リュウ、まだ有るらしい、行くぞ」とガイが言うと

 「ちょっと待って、ナビィとシンシアに運転させても4台しか持っていけないから今選んでる!」

 リュウは呑気に車を選んでいた。


 「お前なあ・・・まあいい、シンシア、ナビィ、コイツ以外の生き残りを見つけて全員殺せ」

 ガイが言うと2人は上空に上がって動いている人間を探した。

 アルファベット達もだが、サヴァイヴの目は赤外線も見える。人間の体温を見つけてはシンシアが撃ち殺していった。

 「全員片付けたか?」

 降りてきたシンシアにガイが言うと

 「はい、その男以外全員」と答えた。

 「コイツは生かしておく約束をしちまったから殺さない。あとはリュウの選んだ車を運転してくれ」

 ガイは現金を積み込んだ大型バンに乗って、リュウはストライカー、シンシアとナビィはフォードエクスプローラーとキャデラック・エスカレードを運転することになった。


 ガイの聞いた目的地に着くと更に数人が出てきたがリュウが瞬殺した。

 「この屋敷か?リュウは待っててくれ、シンシア付いてこい」

 屋敷に二人が入ると、内部を壊す音がしばらく続き、ガイとシンシアがまた大量の札束を持って出てきた。

 「リュウ、まだまだ有る、全部積めるだろうから運び出すぞ」

 ガイはそう言って組織の資金を全て奪い去った。


 「この周りはマリファナとコカの畑だな。シンシア、ナビィ、全部燃やしてきてくれるか?」

 ガイが言うと2人のサヴァイヴは火炎放射で見渡す限りの畑を全て焼き払った。

 その間にガイが屋敷に火を付けて、蓄えられていた麻薬を全て灰に変えた。


 「あとはそのストライカーって装甲車だけどな、エースがメキシコシティだろ?奴の屋敷のガレージに入れといて後でアメリカに持っていこうな」

 リュウの趣味の為にガイは苦労することになった。

 「うん、車はそれで良いけど、武器はどうする?車に積んだままにしとくか」

 リュウは今回の獲物には興味の持てるものが少なかったので、数は少ない。

 ただし、弾薬はありったけ積み込んできていた。

 「それよりこの金だよ、20億ドルは有るぞ?一旦口座に入れとかないとな」

 ガイはエースの屋敷に有るガレージに車を一旦入れて荷物を整理した。


 4人は現地の警察の協力を得て、メキシコシティまで戻ってきた。


 「あとは誰だ?ボスのガルシアと側近のダビッド?それに多分麻薬を捌いてる小物達か」

 ガイは完全に壊滅させるつもりだった。

 まずはガルシアの居る監獄へ飛んで入ると、看守達が何事か、と出てきたが脅して黙らせた。

 看守を殺さなかったのはガイの気まぐれだが、ガルシアの入っている豪華な部屋の鉄格子を引きちぎり、全身に銃弾を浴びせて殺した。


 次に街へ出て麻薬を売っている小物を見つけては痛めつけ、ダビッドと言う男の居場所を吐かせてこれも全身に数十発浴びせて殺した。

 面倒だったが仕事内容のために街で次々と麻薬の密売人達を狩っていった。

 「これで全員ってわけじゃないだろうけど、供給元は断ったし、これが限界か」

 ガイ達は一応のミッションを完遂してみせた。



 「さて、あとは現金だけだが」

 全ての現金、武器、弾薬をバンに積み込み、ミッションの完了を告げて確認の部隊が現地へ向かうことになった。

 しばらくの間エースの屋敷を使い、待っていると確認が終わりシルビアの口座に2億ドルが振り込まれた。

 その時に市長に頼み、奪った現金も一部を残して全て口座へ入金してもらった。


 「やっと身軽になれたな、でこのバンは要るのか?」

 ガイがリュウに尋ねると

 「大型のバンは1台有ったほうが良いし、エースんちのガレージに入れとこう」

 リュウは勝手に決めてしまったが、ガイがエースに連絡を付けて事情を話すとすんなりと受け入れてもらえた。



 「さて、あとは帰るだけか、テクスメクス料理が喰いたいから一旦テキサスに寄ってから日本に」

 ガイ達は仕事を終え、ある程度のんびりと遊び終わると日本へと帰っていった。

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