三話
帝国から戻ってきてから十分後
「じゃあそろそろ妖精卿にも行ってくるわ」
「気をつけていってこい、俺たちのようなことになっているかもしれないからな」
「ん?ローグ心配なのか?リィエルが」
リィエルっていうのは、妖精卿の女騎士で、俺の仲間のー人だ
あ、先に行っておくけど、俺は各国から1人ずつ仲間にしたんだよね
だから妖精卿にも仲間がいるってわけ
どちらにせよ全国王と知り合いだから大丈夫だけどね
で、仲間になって少したったあと、なんかローグとリィエルがすごいいい感じのムードになってて、俺が帰るまでには「お前ら付き合えよ!」って言いたくなるくらいになっていた
「んな!?おおお俺は、お前の心配を...」
「わかってるって、で?恋仲になった?」
「ハハハ、オモシロイコトヲイウジャナイカ」
「なったんだな」
「...............はい」
そうか、やっと付き合えたか
てか、動揺しすぎだろ、途中片言じゃねぇか
「よかったな、じゃあ一緒にいくか、どうせすぐに戻ってくるし」
「わかった...リィエル、元気かな...」
「会ってないのか?」
「半年前からな、俺たちは各国の防衛にあたってたんだよ」
「そういうことか、じゃあ行くか」
「おう!」
「よし...て「......さまぁぁぁ!!!」...聞き覚えのある声だな」
こいつはまさか?
「......いさまぁぁぁ!!!」
まさか!?
「お兄様ぁぁぁ!!!」
「フォルテ!?!?!?」
「会いたかったですわぁぁ!!」
「ぐっはぁ!」
という声と同時に仁に抱きついた
速度が速すぎてみぞおちに頭が突き刺さったが、ギリギリ耐えた
「おまっ!どうやってここに!?」
「走ってきましたの!リィエルも後ろに...あれ?いないですわ」
「お前の走る早さについてこれるわけないだろ、俺でも厳しいのに。まぁあと五分もしたら着くだろ。で、どうしたんだ?」
「お兄様の匂いがしたので!!」
「まて、それだけじゃ分からん」
「はぁはぁ...じゃあ私から説明しよう」
「...誰?」
見覚えないやつがめっちゃ息切れしてる
「はぁはぁ...ふぅ、わからないのか?」
「あぁ、俺にはこんな美人の知り合いはいなかったと思うけど」
「わ・た・し・だ!!リィエルだ!」
「リィエル!?もっと小さくなかったっけ?一年でこんなに変わる?」
「なんか妖精族だから結構変わるらしいぞ?ひ、久しぶりだな、リィエル」
「ローグ!?何でここに!?い、い、いきなりなんて恥ずかしいじゃないか...髪も崩れてるし...」
「ローグ、この乙女誰だ?俺の知ってるリィエルはもっと男らしかったんだが」
「男らしいとはなんだ!男らしいとは!」
「いやだって戦闘スタイルが大剣か双剣でひたすら切るだけだったから」
「確かにそうだが...そうだ、ジン、久々に手合わせしないか?」
「やだ、まだ感覚戻ってないし」
「まぁまぁそう言わずに...戦おうぜ?」
出たよこいつの悪い癖
リィエルは元々闘技場の剣闘士で、しかも戦闘狂だった
前の時に闘技場でこいつに出会って、俺は剣闘士じゃないけど、特別枠ってことで、こいつと勝負した
結果は俺の圧勝、その時になにかに目覚めたのか、俺達の旅についてくることになった
そして、ことある事に俺と戦おうとしていた
「いいから口調戻せ、それどころじゃないんだよ」
「む...それならしょうがない。で、なんでローグがここにいるんだ?」
「それがな?かくかくしかじかなんだよ」
「なにっ!?かくかくうまうまだと!?ローグ、シャルテ皇帝は無事なのか!?」
「なんでお前もそれで...ってまぁいいか、とりあえずは無事だ。ジンに助けてもらったからな」
「そうか、それは良かった。で、ジンたちは先程転移しようとしていたように見えたが...」
「あぁ、あれはお前達に会うために転移しようとしてたんだよ。お前らの国が今何をやってるか知りたくてな」
「あぁ、すまない、ラウル王国には後で伝える予定だったのでな。我々は、エルフたちと共にアイテム作りをしている。主にポーション以外のものだな」
「そうか、わかった、ありがとう」
「いや、こちらも不手際だったな」
「じゃあお前ら二人を転移させ「いーやーでーすー!」...どうしたフォルテ」
急に駄々こねてきたな
俺とリィエルが話してる時は静かだったのに
あ、ちなみにフォルテは妖精卿の長
正式に名前を言うと、フォルテ・T・クレッセ
Tはティターニアの略だ
「私もお兄様と一緒にいたいですわ!」
「いや、長だろ?こんなところにいちゃダメだろ?」
「むぅ、それを引き合いに出されたら引かざるを得ませんわ」
「分かってくれたか」
「だか断るですわ!」
なんでそのネタ知ってんだよ!
皆さんあれですからね!〇ョ〇ョとかじゃないですからね?
「お兄様のいる所に私ありですわ!」
「そんな言葉ねぇだろ!」
「今作りましたわ!」
「とりあえず帰れ!」
「イヤですわ!帰るくらいなら妖精卿をこっちに持ってきますわ!」
「そんな手軽に...って出来るじゃん」
「あ、そういえば出来ましたわ。圧縮魔法がありましたわね」
「いや!それ中の人死ぬから!じゃなくて、空間魔法でいいだろ、俺のマジックボックス使っていいから、持ってこい」
そう言って俺は少し大きめの箱を渡す
マジックボックスって言うのは、中のものの時間を止める
空間魔法と時魔法の複合魔法によって作られた箱だ
この中に出来立ての料理とか入れても、次に出した時は、出来立ての状態で出てくる
「いいのですか!やったぁですわ!早速行ってくるのですわ!」
「じゃあ転移で「待っててくださいねぇぇぇ!!!...」...あいつまた速くなったか?」
「確か妖精卿からこのラウル王国まで十分かからないとか」
「うわぁ...速すぎだろ、往復二十分とか」
速さに関しては化物クラスだな
俺が全力で走っても片道二十分はかかるぞ
あ、ちなみに馬車だと三日かかる
まぁそのうち帰ってくるだろ
それよりも...
「今何時?」
「今は...午後の12時だな」
「...寝ていいかな」
「あぁ、そうか。お前来たばっかだったな。そりゃ眠いか。フォルテ様は俺たちで待ってるから、お前は先に寝ていいぞ」
「助かる...」
この後俺は自分の部屋に行ってベッドに入った瞬間に意識を奪われた
こうして黒崎仁の長い長い一日が終了した
前回より短いけど切りがいいので