3日目
____“ア”に濁点を付けたような
嗄れた鳴き声。
そしてその喧しさに目が覚める。
どうやらカラスが近くに居るようだ。
そう思って起き上がると驚きの光景につい大声を出してしまう。
「おい、テメェら巫山戯んな!!!!!離れろよオイ!!!!!」
こいつら、リュックに群がっていたのだ。
そしてなんとか追い払ったはいいが、
更にムカつくことに丁寧にも食糧のみを啄んでいきやがった。
怒りのあまりカラになった食糧の残骸を地面に叩きつけるものの、
途方に暮れる訳にはいかない。
“まだ大丈夫と思っていた食糧が消えた。”
これが由々しき事態なのは変わらないのだから、
食糧を確保する手段とその道具の作製のために頭を捻らなければならない。
それに今回の件には俺の“油断”もある。
『ドアがあるから大丈夫』だなんて甘かったのだ。
油断大敵。ここまで身に沁みて実感したのは初めてだ。
何か…何か案は浮かばないだろうか。
____悶々と考える事2時間。
思えば昨晩から何も口にしていない、
そんな状態で何か名案が浮かぶだろうか。
答えは勿論ノーだ。
何も浮かばないまま、空腹感と無駄な時間が積もっていくだけである。
「やべぇ…腹減った。」
そう。何をするにもまず1番初めが1番辛い。
もう何日も断食をしているような気分になる。
生憎この周りの木は建築材には使えそうだが、食べられる実が成りそうなものは無い。
しかし、状況打開の為には何か行動を起こさなければならない。
だが、ノープランで動くのは愚。
なにか考えなければなるまい。
何か…何か。
まあ、残念ながら数時間後にこうして立ち止まることこそが最も愚だと知るのだが。
____数時間後。
日が暮れかけてきた。
腹のなる音が谺する。
人間食べなくてもなんとかなるとは言うが
キツいものはキツい。
もう動きたくない。
こんな事なら、まだ空腹感の薄い間に動いていればよかった。
取り敢えず水だけ摂取して生命をつなぐ。
恐らく今が1番辛い時なのでそれを越えたら動き出そう。
今日のところは寝る。
____最悪の寝つきだ。