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女子高生ハゲ照山さん!  作者: 久永道也
絶望のハゲ編
16/50

ボッチ飯

水泳対決に負けてしまった照山さん。

ポロリは無かったけどカツラがポロリしてしまった彼女の人生は一体どうなってしまうのか……その目でしかと見届けろ!

 水泳対決があった翌日の昼休み。

 クラスで俺以外に、一人でお弁当を食べる者がいた。

「………………もぐもぐ」

 照山照美。かつて学園の女王と呼ばれていた美少女だ。

 そんな彼女が隔離されているかのように、クラスの隅っこでボッチ飯を食べている理由。

 それはもちろん、ハゲや本性がバレてしまったからである。


 水泳対決が終わった後、今までハゲを隠していたことや三角に対する卑劣な行為に対して、台風が直撃したように誹謗中傷が吹き荒れた。

 それは人から人へ、ネットからネットへと瞬く間に広がっていき、現在、照山さんを慕うものは誰もいなくなっていた。

 あからさまに人から避けられ、両隣に机を離されるなど、もはやクラスの汚物扱い。

 スクールカーストの頂点にいた照山さんは、リーマンショックも真っ青な急転直下を果たし、みごと地の底へと辿り着いたようである。

 三角の思惑通り、照山王国は崩壊したのであった。


『ハゲ……』


 男子グループの誰かがボソリとつぶやくと、照山さんからギロリと睨まれる。

 しかし、照山さんは一瞥いちべつをくれただけで、すぐにまたお弁当を食べ始めた。

 

『……ちっ、てるてる坊主が。驚かせやがって。……おい、お前。あのズラ取って来いよ』

『い、いやだよ。ワカメ女に近づいたらワカメぶつけられるかもしれないじゃん。昼間から磯臭くなりたくないよ俺』

『いやー、でもさすがに女子高生がハゲってのはないわー』

『おーい、てるてる坊主ー。今日は晴れだし、メシがまずくなるからどっかいけよなー』


 ヒャハッハッハッ! と、耳障りな笑い声が聞こえてくる。

 ……完全に孤立しているな。

 しかし、どんな罵詈雑言に晒されようが、照山さんは土下座して以来ずっと沈黙を貫いている。

 ……なんか言い返せばいいのに。

 黙っている間に、『ハゲ女』や『ワカメ女』、『豆電球ピカリン』や『黒い照山(ブラックライト)』など、続々とハゲにまつわるあだ名が付けられているぞ。……聞いてる感じ、『てるてる坊主』に統一されつつあるようだがな。

 自業自得とはいえ、ここまでされるとさすがに可哀想になってしまう。

 ……ハゲはハゲでも、おっぱいがすごいハゲなんだけどなあ。

 学校生活が終焉している、Good-by(グッバイ) schoolスクール daysデイズ状態になってしまっている。そんな彼女をかばうものなど誰もいないかと思えた。

 そんな中、ハゲに余計な世話を焼いた人間がいる。


「――照子ちゃん! 一緒にご飯食べるばーい!!!」


 そう、一つ隣のクラスで俺の幼馴染、空気を読めないことに定評のある夏野春風である。

 無言でお弁当を食べる照山さんに対し、シュークリームを頬張りながら一方的に話しかける春風。

 昼めしがシュークリーム十個とか……あいつは色んな意味で空気読まないなあ。

 そんな二人の様子を見たクラスメイト達は。


『すごいね春風さん、てるてる坊主に話しかけてる』

『春風、優しいもんね』

『春風ちゃん、おっぱいもでかいしマジ天使だぜ』

『それに比べてあのハゲは……あんなそっけない態度することないだろ』


 ……優しくすることで照山さんの評判を下げているとは、本人も思っていないだろうなあ。

 けどまあ評判とか抜きにして、これでいいのかもしれない。

 罵詈雑言に晒されている照山さんだけど、春風がいればなんとか孤立することはなさそうだ。

 出る杭は打たれるじゃないけど、ここまで叩かれたんだ。

 これからは大人しく、残りの学生生活を送ることだろう……。


 ホッと胸をなでおろし、俺はクラスで唯一のボッチ飯を見られまいと屋上へこっそり移動する。

 この時点での俺はまだ、照山照美という人間をよくわかっていなかった。

 ――照山さんの目が死んでいないことに気づかなかったのだから。

リオオリンピックの女子マラソンを見ながら書いてましたが、どうやらハゲの選手はいないようですね……。

ハゲ目線でマラソンを見ていますが、少し視点を変えるとリオの街並みが見えますね。

偏った個人の意見ですが、ブラジルといえば映画『シティ・オブ・ゴッド』みたいなスラム街のイメージがありました。

しかし、選手が走っている街を見ていると、ある程度道路は整備されているのが分かりますね。

あと、路上からの観客が少ないのもよくわかります(笑)

しかしながら、少数でも見てくれる人がいるってことは、なによりも嬉しいものです。


わたしの作品も観客は少ないのかもしれませんが、見てくれる人がいるってことを大変嬉しく思っています。

一人でも見てくれる人がいるのなら、それが自分の書いている意味になりますから。

読者様にはただただ感謝の一言です。

ハゲている読者様だと、一緒に酒を飲みたくなります。

そういうわけで、どうかこれからも本作をよろしくお願いいたします。

マラソンの給水で捨てられる容器みたいに、本作を(見)捨てないでください( ;∀;)

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