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評価と一つだけ普通じゃない物語(終)

インターホンが鳴り「こんにちは」の声と共に二人のドアップがモニターに映る。

「今開けます。どうぞ」と僕は解錠した。

「いらっしゃい」と玄関に迎えると共に懐かしい香りがした。

「おめでとうございます。良かったらこれ」

男一人で買うのが難しそうな袋を差し出した。

「まあ、可愛い袋。ありがとうございます」

僕はもう一人とアイコンタクトをして、苦笑いをした。

「ここでは何ですから、どうぞ」

「お邪魔します」

一人が僕の横に並んだので「遠いところありがとうね」と言うと「あの二人が並ぶとドキドキしませんか?」と返してきた。

呆れたように「しないよ」と返すが僕の意見に興味は無さそうだった。

「相変わらずでよかった。久しぶりです」

「久しぶり。遠いところ悪いな」

「同窓会みたいなものですし」

「そう、なるか」

「ですよ」


「やっぱり、もう戻ってこないんですか? そしたら私の仕事、楽になるんですけどねー」

「うん。一緒にいるって決めたし」

「うわー。のろけですか? そういうのいいんで」

「祝いに来たんだよね?」

「どうでしょう? 恨み事や不満の一つや二つや三つくらい聞いてもらわないと来た甲斐が無いですよ」

「大変そうだ」

「君はもっと大変な事したんだから、安いくらいですよ。私の親友をひどい振り方したんだよ? 分かってる?」

「あはは……」

「笑ってごまかさない」

「……はい」

「さてと。美味しい料理作りますから待っててくださいね。ひと段落したらエリー連れてきますからちゃんと挨拶してくださいよ。じゃあ、行ってきます」

僕はソファーからひらひらと手を振り返した。


玄関チャイムが壊れそうなくらいの連打は、客人以外の僕たちはもう慣れていた。

「にーちゃ。きたー」

「きたー」

「いらっしゃい。二人も」

元気な二人が突進してくる。

体重がどんどん増えてきて結構効く。

「二人は早いですね。私も奥へ行って手伝ってきますから子供達の事よろしくお願いしますよ。パパ」

「女の子ばっかりで大変だね」

「あはは……」

「にいちゃー。あそぼー」

「あそぼー」

「にいちゃはお客さんの相手をしなきゃだめだから、パパと遊ばないか?」

「いやー」

「ぱぱきらいー」

「大変だね」

そして、少しだけ悲しそうな顔をするのは、いつもの事となりつつある。


「おい、主役。ここでおさぼりですか? 奥さん一人でやってますよ」

「悪い。何か、疲れちゃって」

「早く、戻ってください」

「子供の成長って早いね」

「ねー」

「結婚して子供出来るのも早かったし、ねー」

「私ももう二児のママですよ。年を取るわけですよ」

中身は変わってないなと僕は思った。

「あははっ。転んで焦ってる」

「自分の子だよ」

「芝だしへーき」

「スパルタだね」

「そっちは子供が出来たら、パパ以上に過保護になりそうだね」

「ふふっ」

「ん? どうした?」

「いや。あの時の事思い出して」

「あの時?」

「あの時の君の理想? みたいな」

「んー。覚えとらんな」

「少し違うかもだけど、二つの家族が仲良くて子供たちが遊ぶってやつ」

「君って思っている以上に本当に平凡だねー」

「そう?」

「そう」

「結構、命がけだったけどね」

「いんや、さほどでもない。私なんか旦那が世界を救う手助けを何度も経験したよ。そこで死にかける事なんてざらですよ。ざら」

「悪役も?」

「あれは……若気の至り」

「はいはい」

「でも、それは特殊な例でしょ?」

「誘拐事件も学園占拠事件、テロ、連続殺人事件とか軽く思い出せるだけでも大事になってたじゃないですか。それのどれ一つにも参加してないなんて奇跡としか言いようがありません。むしろそっちの方が特例ですよ」

「まるで事件を起こす側の立場みたいだね」

「巻き込まれ型なんです。その時、何してたんですか?」

「覚えてないけど……。ほら、夜型だから」

「何ですかその言い訳になってない答えは。あっちに転勤してからもそっちで起きていた人身売買とか人体実験の解決したの私たちなんですよ?」

「へー」

「へー。じゃないですよ。もう。君は普通の人生。いや、普通以下の人生しか送ってないの。ドゥー、ユー、アンダスタン?」

「あんだーすたんど」


「そうだなー。君の人生を例えるなら――誘拐される三番手ヒロインかな?」


「三番って。それと男だからヒーローでいいのでは?」

「それぐらい平凡って事です。むしろ平凡以下」

「手厳しいな」

「――でも、彼女にとってはヒーローかもしれませんね」


「いや、彼女の方がヒーローですかね。命がけで助けるくらいだし、それで自信の全魔力を捨ててまで助けたのでやっぱりヒロインですね」

「まだいうか」

「復職しないのは人格操作の件もあるんですか?」

「……」

「完治したんですから大丈夫ですよ。自分で洗脳されたーとかそれが治ったーとか判別できないから仕方がないっちゃ仕方がないですけどね。あとは心の問題ですよ。心。そうだ、竜子ちゃんにも感謝ですよ。暴走したおかげで、おかげじゃないか、あのタイミングで病院に担ぎ込まれたからこそ早期発見できたんですから。幸運である事には違いありません」


「――そうだ。竜子ちゃん頑張ってますよ。この前お見舞い行った時、痛みとまだ戦っていましたよ」

「強いね」

「うん。あそこ魔法禁止域だから直接お話しできれば、元気あげられるんだけどね」

「いつも手紙届けてくれてありがとうね」

「いえ。通り道ですから。おかげですっかり仲良くなってしまいましたけどね」

「そっか。それはそれは」





僕は、笑った。

「何ですか、急に。笑い出して」

それにつられたように、にやけ顔でこちらを向く。

「いや、なんでも」

「なんかあるから笑ったんですよね」

「下らない事。物語では良く成立しない成立しないってよく言う奴」

「えー。なんですか?」



男女の友情は成立するんだなーって

なんですか、それは



二人して、笑った。

この作品はこれにて完結です。


初めて書いたもので、読み返すと至らないところしかなかったです。

読むための小説ではなく自分の為の小説となってしまいお楽しみいただけたのかは分かりませんが、時間つぶし程度にはなっていると嬉しいです。

書き間違いも含めて一つの作品としたいと思うのはだめかもしれませんが、今回はこのまま残しておきたいと思います。


実力が伴ったら主人公達の物語を書いてみたいなぁとは思いますが、遠いです。

最後までお付き合いありがとうございました。

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