ある少女A
「ふーん」
「へー」
リアクション薄くないですか?
面白くないかもしれませんが、少しは興味を持ってください。
君たちが始めたことですよ?
やる気はありませんでしたが――いえ、やる気が無いからこそ、モチベーションとかテンションをアップする為に何か欲しかったですよ。
変な空気を変えるべきではないので、僕も何も言わずに座りましたとも。ええ。
僕の事は無かったように彼女は話し始めた。
「私は人造人間なの、ほら」と言って腕をまくる。
そこには、歪な溝があった。
掌のしわより深く、傷跡というにはあまりに人工的で、不自然で、どこか不気味なものだった。
「以上」
……それだけですか? もっと、こう、何か。無いですか。はい。
だけど短い事が、それをとても濃く感じさせる。
一言で全部語ったからこそのインパクトは絶大でした。
――この流れで次はきつくないですか?
「僕は――」
自己紹介を今更ながらやろうといった本人はといえば、いつだか聞いたような内容プラスアルファ、ベータ、ガンマ――さながらマーライオンでした。
自分語りがお好きなようです。
やや不幸自慢寄りなところがどう盛り上げていいのかわからないところが困りましたが、今までの理不尽が役立ちました。
相手はさほど思っていないように、自分もさほどな返しをすればいいのです。
会話ってそんなものですよね。きっと。
こうして、全てにおいて反応が薄い自己紹介は終わりました。
なんですかこれ?
あー、個性はまだ見ぬものがあるってことですかね?
自分で言っておいて訳が分からなくなりました。
こういった雰囲気でこれからやっていくのですね。
多分、そういうことです。
「うん。まあ、お互いほどほどに頑張っていきましょうという事で、よろしく」
この二人の事は書面上で見ており、大体の事も前もって知っていた。
活動時間は短いにしても身を預かる立場です。
万が一があっても良いように。
その人はとても軽くて、すぐに壊れてしまいそうなくらいに軽かった。
僕もそんなに重い方じゃないですが、僕より身長は小さくて……心にくるものがあります。
「あ。起きた? 今、医務室まで運んでいる」
「……ん、そこでいい」
近くのベンチを指さした。
彼女は道端で倒れていた。
ほっておくわけにもいかず、僕はおぶった。
やはり軽い。
「膝、なんだかごつごつします。もう少し肉ついていた方が寝やすいです」
「もう少しこうしいてろ。非常事態でなくてよかったよ」
大人しくなって膝の上で三十分ほど眠った。
「そのまま、寝ていればになっていれば、良くなったのでほっておいてもよかったんですよ?」
「ほっとけるか、ばーか」
「こういった事はここでは間々ありますし、一人を助けたらきりがないですよ?」
「そうか」
「そうですよ。だから――」
いつも以上に話す彼女を僕は、うん、うんと適当にあしらう。
気遣っているのは分かるが、やはり自分の根本となる意見が違ったからで、そこは曲げられなかった。
誰であろうと、きっと自分は手を差し伸べた。
そう考えながら話しを聞いていた。
「そろそろ、退いてくれないでしょうか? 足がしびれてきたのですが……」
「体調不良の私に対してその態度ですか? 呆れました。ですが、まあ、私もよさげになってきたので普通に座ります。寝心地はあまりよろしくなかったので」
「さいですか」
「さいです」
膝枕慣れしている人なんているとは思えませんが、自分にとって中々に苦行でした。出来れば二度とやりたくないですし、やってもらう事もないでしょう。すごく気を使いそうで、何か嫌です。
「あのっ。これから時間ありますか? もう少しだけ私に付き合ってください」
そう言って彼女は立ち上がり、僕の手を引き歩き出すのだ。




