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遠くの世界と近くの自分

『決まっった――!! 何と一方的な戦いを予想できたか? ここまで無傷! 一切、攻撃を受けることなく、優勝は――』


「うお――!! ねぇ、やった。優勝だよ?」

「う、うん。い、痛いって……」

外まで聞こえて文句の一つや二つ言われてもしょうがない様な大音量です。

周りは誰も居ないので皮肉的ですかね?


そんな小さな画面でよく盛り上がれますねという意味が顔に出るように「楽しそうだね」笑顔で言い放って目の前に飲み物を置いてから見える位置に座った。

にしても、こんな一方的な戦いは面白いのかと問いたい。

ひいきのチームでここの生徒で嬉しくない事はないのだが、嬉しさと面白さは比例しないのです。

勝利者インタビュー中なのでバリバリとお菓子を食べております。


毎年、熱狂している人がいる訳ですがコレもきっとその口です。

友人と盛り上がりたいとスタジアムではなくここで見たいそうです。

チケット取れなかったのでしょうな。きっと。

所で――友人一人しかおられないようですけどどうなっているのでしょうか? 普段だったらこんなこと言いません。お菓子消化できないじゃないですか。聞いていなかった自分も悪いのですけど。取りあえず、日持ちしないのから食べましょうかね。


これは魔法スポーツの祭典といった所、でしょうか? いまいちピンときません。

スポーツに疎いのですが、オリンピック的立ち位置ぐらいの感覚だと思います。規模的には大学選抜をちょっと大きくした位なのですけど。最大規模です。


「ほら、始まるよ。花形競技の団体戦。先輩カッコいいなー」

花形競技はいくつあるのか問いたい位の乱用具合です。派手な事は間違いではないのですが、空気に熱せられているにちがいないですね。

自分がこんなにも盛り上がって無いのは奴が激しく周りが盛り上がっているからでしょうか。

元々そういうタイプではないのもあるが、一様空気位は読みます。深読みし過ぎて失敗した経験があるくらいです。


視たくない理由も無きにしも非ず。

「あれって魔方陣?」

「そうだね」と僕はお茶をすする。

お茶が美味しいです。


飽きた。

一方的な暴力に見えてきました。試合的には接戦風なので盛り上がっていますが、金がものをいう世界だなと思ってしまうぐらい勝っています。

偶の勝利が他の学校の白熱に拍車をかける悪循環はすでに出来上がっていたのでこういう盛り上がり方になっていたのですが、それを断ち切るレベルです。

出来レースの方が面白い気がする今日この頃でした。


歓声と共に「おおー」とか言ってしまう空気の読みっぷりです。

後は適当に相槌と繰り返しておけはおっけーです。完璧ですね。

早く終わってくれませんかね? もうテレビから離れる手段はお昼まで尽きてしまいましたので。



昼食はお久しぶりの食堂です。

今日に限ってはスピーカーが設置してある次第です。

想像より人がぽつぽつといますね。

食い入る様に観ているのが特徴です。行きたかったのでしょうね。行けない理由があるにせよ――そんな事より限定ランチが美味しくないですか? 結構薄暗いのと映し出されるものがチカチカ目障りな点を抜いても満足です。

悦状態の僕に対して「続きは研究室で見たいので、速めに食べてくださいね」と水を指す奴がおります。

ゆっくり味わいたいのだがほどほどに早足位に食べましたとも。



完勝でした。

まさかの全勝で本日は終わりました。

テンション低かった方の彼女もワーキャー言っている次第です。


「魔方陣学ってやっぱりすごいですね。やっていて良かったです」

「むー。そうだね。今回のエムブイピーはそれといっても過言ではないかなー」

「そうだよ」

「何かふに落ちないけど……。うん、そうですね――」

偉そうに解説している素人曰く、十を十で無効化できるのは革新的らしい。

ゼロコンマ以下のズレは発生するらしい。それを完璧に調整できるのはごく一部のコントロール超越者とデバイス適合者とか一部だったのが、紙の束十数枚でほぼ全員可能になってしまった。

そしてなにより――急発展がまずかった。

一夜で城を建てたレベルの驚きです。――あ、歴史小説にハマっているのバレてしまいましたか?


魔方陣学のプチブームがありましたから簡易なものは誰でも描けるわけです。

武器の持ち込み可能な場合、最悪書けるものがあればできちゃいますし。

召喚術の競技なんかひどかったですよ。銀ペンのみの持ち込みで準決勝まで行った人もおります次第です。


そして何より、ほぼ無制限でした。

ルールなんて昔のままですし、すぐにでも改正されそうな状態でしょう。


「明日の一般の部に出ないなんてもったいないですよね。いい線まで行けそうなのに、もったいない」

新人という名の免罪符。いえ、盾でごまかせました。

出たくありません。この一言に尽きますよ。

「本当に行かないんですか? せっかく明日のチケット三枚取れたのにー」

「私も人が多い所、苦手なんだけど……私の意見は却下だよね」

「助手さんは出るのにねー」

助手さん出る? 聞き間違いではないですよね?

「前回の準優勝チームにまた呼ばれたみたいだよ」

それか、封筒の中身は。


確か貰った封筒がここら辺に……あったのをゴミと一緒に捨てました。思い出しました。

まずいですね。

非常にやばいです。

何がイケないかといえば心ですかね? 説得力は無いのはわかっていますが、薄情な奴ではないんです。中身を知っていたら……彼女たちにあげました。――冗談です。行きました。


「ちなみに席はどこら辺?」

「もちろん一番いい席だけど? 行く気になった?」

僕は正直に言いました。ええ、それはものすごく正直に行きたいという事をつたえましたとも。

捨てたことに関しては言う必要はないですので省きましたとも。はい。


見に行った感想としては、さほどうるさく無かった。

ガラス張りのビップルームでしたもの。

案内された瞬間はさすがにビビりましたが、なんか納得してしまったのでスル―しました。

ルームサービスは何でもできたらしいことが一番驚きました。やれませんでしたが。

助手さんの試合は午前中の早めの部でしたので、終わったら帰りたかった。

それだけしか記憶にございません。


助手さんのチームの結果ですか?

助手さん大活躍で優勝しました。

そんで今は、メダルと賞状が研究室に飾られています。

雑誌取材に隣の部屋は適さないそうなので終わるまではここに置くそうです。


身近な人がやると心は動かされますね。



……。



――え? 「それだけですか?」って? それだけです。

今の自分にとって、それだけで十分なんです。

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