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リョウリノキジン その1

「これは?」

「植物型アニマルイーターの臼肝でバターソテーだよ」

「うん。おいしい。また作ってね」

「ええー、自分で作りなよー」

「私、料理作ってくれる人と結婚するし。これは、イネビカリだよね? 私も健康のために食べてるんだ。プチプチとした触感でおいしいし良いよね」

「もー。自分で努力しなよ」

飲み物を買いに帰った所で、僕はそんな会話が聞こえてきた。

何というか――慣れた。ここにいる以上、気がつかない所で諦めている部分があったのかもしれないけれど慣れた。

「おさきでーす」

「あ、おかえりなさい。ありがとうございます」

「私、これで」

カンカンの入ったレジ袋が食事をしているテーブルの上にあるのが何だか落ち着かなくて、飲まない分は冷蔵庫に入れにいった。


昼食は滞り無くごちそうさまですときれいに平らげた。

少しだけ濃い味付けのお弁当は美味しくはあったが、僕の口には合わなかった。

それと、この状況も箸が進まない要因の一つである。

なんか、気を使う。

交流は上手では無い。けれども一人ぼっちでいたという訳では無くて、そこら辺はいい加減のなあなあでやってきた。だからこの状況は僕が必要であるのかと思わされる。

努力で何とかなると心の底では分かっているが『今すべきことなのか』それが分からなかった。考えられなかった。思いつかないまま、今日まで進んでいた。


数日前の昼食。

始まりは僕の質素な食事から。

それを見るや否や弁当を作ると言ってきた。

その時は忙しさが優先されて食べていたのが食パンだった。

毎日こんな質素な食事では無いですよ? たまたま偶然、それが目に入ったからカバンに詰め込んで昼食にしただけです。

食パンが悪いという訳ではなく、周りの目を気にしなかった僕が悪かった。そして、何も入っていない冷蔵庫が悪かった。後、コンビニが休みなのと時間が無かったのも悪かった。つまりは『タイミングが悪かった』その一言に尽きます。

「よかったら、明日からお弁当作りましょうか?」

明日から……ね。


僕は食べ物に好き嫌いというものが昔から無かった。

あるとしたら、バックグラウンドは考えないようにしている。

根底に殺すという事がダメと言うのが染みついているのだと思う。

だからこそ合わないということも刻まれているし、思っている。

家畜化されているものも心の中では割り切れない所は思い当たる程度にはある。

出来れば現場は見たくは無い。


でもそれは他者や他の生き物に対してだけで、自分に対してはどうなのかな?

自分だって大切なはず、……はずだよな?

話が脱線しました。

余計な事は相変わらず無駄に頭の中は巡るようです。

そんな事を久しぶりに買った美味しい缶コーヒーを飲みながら考えていた。

また、買おう。


有難迷惑であったりなかったり。有難さ半分ぐらいかな?

有難さは誰かが思うようなそんな感じの事で、それ以外が半分くらい圧迫している。

申し訳なさと――うん、その挑戦的な中身がね。

料理は程々にできるとたちが悪くなる。

何かに挑戦したくなると言いますか、新しい物を見つけると調理してみたくなるといいますか。とにかく試してみたくなるのです。

飽きさせない工夫とかなら許されますが、予想を上回っているといいますか、そこに至るのは速いといいますか――上手く表現できませんで。

味は悪くは無い。悪くないのが厄介で断れない。

そして毎日作ってくるのが、困りもので。

ジャンキーなフードを食べたい訳でも、手造りが嫌ってわけでもないです。

食に強いこだわりが無いので――無いからかもしれない。

言える立場ではないのですが、いろいろとなんか違うのです。


ささやかなお返しとかは別にストレスというストレスになって無いのではあるが、少しだけ頭を悩ましている。

始めのうちは何か消耗品、あとくされが無い奴とあげていたが、限界は来る訳で。

僕はどうやってそれを返せばいいのか、それを返せるのか。

そして、次の日のお弁当が待っている。


最近はこんな毎日です。


アニマルイーター。

植物型。

臼肝、植物が進化したものなので歯の様に細かくする器官が無いため臓器が発達したもの。臓器で食べ物を磨り潰す姿から。美味。

なるほど。

知らない事は調べる様にしている。役に立ってはいないが、気にはなるので。

無駄に貯まっていく知識は底にある物から消えてゆく、それは古い物から消えるのではなくて思いが薄い物から無くなって行くのだから、きっとシャボン玉の様に飛ぶ物なのかな? なんてポエムどうでしょうか?

ぐりぐりとボールペンで塗りつぶす。文字にするとダメですね。

イネビカリは数週間前に調べたが途中でやめた。

昆虫食は僕の中で無い文化ですので、考えない方がいいと判断しました。

そんな無駄な事を調べつつ、今日のお弁当が僕をじっと見ている気がして、落ち着いて仕事ができなかった。

お弁当箱の中身は時間停止しているのでそんな事はあり得ないのだけれど。僕が勝手に威圧感を感じているだけなのだけれど。

なんとこのお弁当箱、味移りがしないし、作った時そのままの温度で、何と言っても雑菌が増殖しないので普段お弁当に使えない食材でも大丈夫。まあ、時間停止しているから当たり前なのだけど、半分驚いたのを覚えている。相方がうざったらしく自慢してきたので半減しましたのもしっかり覚えております。


終わりの見えないこれはまだ続きそう――いえ、まだまだ続くのです。




○イネビカリ

イネヒカリという米にテンという昆虫が卵を産みつけたもの。高栄養食品として学会に発表されて以降、育成方法が確立されて大衆向けに販売されるようになった。

テンは食用目的で飼育されていたが成虫になるにつれ栄養価が減少するとされており、嗜好品としての食用とされている。

卵を産みつけたか判断するために遺伝子組み換えで、暗い所で発光するようになっている。

プチプチとした触感で好まれており――

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