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六時限目:試験

表情や仕草に出やすいと最近自己分析したので、なるべく気をつける。

気を引き締めるための、座り直し。

ただ座っている、何をするでもなく。その上暇で、どうしようもない。

少しの音でも生徒の集中力を乱すのだから、真面目にやっている人に申し訳ない。

暇で暇で仕方が無いが、あくびを出さないように精神を研ぎ澄ます。

終了のチャイムと同時に教室に入り、解答用紙を回収。

入口の受付ですが、そういった心持ちでいるって事です。


なるほど、マークシートだったのか。

どおりでペンの音が特殊でシャリシャリって感じだった。

僕が作った物もマークシートの方が良かったかなと、少し後悔。

何だか、横文字の響きがカッコいいじゃありませんか。

それでもまあ、点数が取れるように、選択問題と宿題や授業でやった問題をそのまま出しましたとも。

意地悪で一問だけ長文の解答を入れてみたのは、これで生徒の実力を測り、これからの授業に生かす、うんぬん。という手抜きを誤魔化す建前。

これを無回答でも優、良、可の三段階評価で、全員が優を取れるようにしてあるくらいです。

高校時代のベストオブらくちん先生から学んだ方法を混ぜてみました。

当時のそのテストでギリギリ二ケタの点数の生徒がいたのは、未だに謎です。解く気は毛頭ない、なん事件ですが。

なんの興味の無い事件の何と、難しく解決に至らない事件の難を掛けた掛詞です。最近の僕の中で一、二を争う出来でした。

そんな下らない事どうでもいいですが、結論は将来の為に少しでも良い評価をあげたいと思っていますということです。

来年からはその一概には入りませんけれどね。


と言いつつ採点はもう終わっているから、こういった思考になっています。

計算ミスや部分点の減点を合わせても、十以下の生徒はいませんでした。

ほぼパーフェクトと言っても過言ではありません。

減点理由もまた特殊で『余計な事を書いたから』なのである。

多少の蛇足程度なら見逃す心構えで臨んでいたが、取り違えをしているのが何とも言えなかった。

僕自身は授業で余計な事を言わない、書かないように注意はしているつもりです。

もしかして無意識に言っていたかもしれないので、教科書を何回も読み返し、授業も彼女から映像を借りて何回も見返しました。

おかげさまで採点に時間がかかりました。ええ。


点数はドアに貼りだしておくつもりです。

人数が少ないので何もしなければ、モチベーションの低下につながりますので。

対抗心は向上心にもつながりますから、プラスを狙っているといった寸法です。

ストレスのはけ口という訳ではないですよ。高得点しかいませんし。

自慢というのには、ノーとは言えません。

そういえば『希望者にテスト返却します』と書いてしまったので、『コピーを』と付け加えておきましょう。


そんなこんなで約五分。テスト用紙とマークシートの両方を回収も完了。

素早く数を確認して報告。一人の欠席で人数間違えなし。

解散。ここまで約十分。

今日の仕事、もとい今週の仕事は合計三十分未満で終了した。

時給換算すると、何とも素晴らしい。

換算の必要性は全くありませんけど、無意識的にしてしまいました。


これで、学期の仕事納めとはいきません。

なにせ、数日後には夏期講習が待っているのですから。


「試験どうでしたか?」

なんだか、勢いで聞いてしまった。

いや、聞きたくないって訳ではなく、そのー、良い言い訳が思いつきません。

素直に気になります。

「聞かないでください。今までで、一番に最悪です」

満点で何を言い出すのだ、こいつは。

それにしても直接的にそう言われるのは、かなり来る。

一生懸命までいかずとも、時間を割いたものをこう評価されるとは。

「……コーヒーを」思わずコーヒーに走る。

聞いてしまった自分が悪いと真摯に受け止めよう。

「久しぶりに来ましたね。そう思って、用意していたんですよ。とっておきの奴」

思わず椅子の背にもたれかかり、天井を見る様に反る。まだ、少しだけ引きずっています。

ぐつぐつと音を立てている中、話しかけてくる。

「酷いですよね。満点取らす気の無いテストなんてありえないです。それでも満点取る奴がいるんですよ。例のアイツです。それに合わせて作ったんじゃないかというほど難しくて、問題を破りそうでした。それが一人だったらまだ許せますが、三人もいたんですよ。三人。おかげで私の平均点が十五も低くなりました。そいつら全員、学年平均低くなって評価下がればいいと思います」

絶望に打ちひしがれていなくて良かった。そうか、複数受けているものな。試験は一科目では無く、全体の事を示すのか。そうだよな。言葉足らずだったよな。うん。

安心したせいか、次々に言葉が思い浮かんでくる。


「コーヒーどうぞ」

「どうも」

少し濃いめですね。

香りがお口に合わなくイマイチですが、勿体無いのでとりあえず飲みましょう。

「対して教授のテストは暇でした」

暇って感想は、一体どうなのだろうか?

「簡単過ぎて、時間余るし。初めて作ったから仕方ありませんが、つまらなかったです。バランスって大事ですね。それとも学科の一期生だから評判上げようとして、点数取らせようとしましたか? がっかりです」

さっきの教授の評価といい、毒舌が抜けていませんようで。

「お言葉にならって、次回の試験は今回とのバランスを取るために、半分取れればトップってレベルの難しさにしましょうか? もちろん八割以下は追試ですが。それと追試ですが、簡単にするつもりは無いですので、頑張ってくださいな」

さっきの気持ちをぶつけてしまいました。大人気無いですか? 子供なので許してください。

「ごめんなさい。ヤメてください」

綺麗なお辞儀を見た。

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