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三時限目:合同授業

合同授業というのは名ばかりで、足りない授業を補うための魔法陣学という名目の基礎魔法学。

必修科目なので遅れた分はどこかでやらないといけないということだ。

自分としては授業数は余っていたので問題ないのである。

仲の良い教授に断られたためここに来たらしい。

ぺーぺーなので最初に頼みに来たというわけだ。

頭を下げられたからには断るわけにもいかず許可したっていう状況。

魔法陣学と違って大変だなとチープな感想。

生徒の反対があればそういうわけにもいかないが、反対したのは一人だけなのでそのまま強行した訳である。

その生徒も言いくるめられたわけだけれども。

合同授業というのだからここで一緒に講義を受けなければならない。

久しぶりに授業というものを受ける事に面倒くさく受けたくないという嫌な気持ちと参考にしようという意欲と緊張が混じった複雑な気持ちで一杯だった。


「一緒に受けられるのなら、授業の一つや二つ潰れても安いものです」と隣の席に座るものだから、「一番後ろの席は教員関係者だけだから前行って、前」と耳打ちした。

忘れていたらしい。

色々ありましたが授業が始まるので空いていた窓際の席へと向かっていった。

自分の勘違いだとか、もうどうなるでもないもどかしさやらなんやらのストレスの行き場として、直前に殴られた右肩は痛かった。


受講の感想としては板書が懐かしかった。

一番後ろの席で授業を受けていた経験がないのでメガネが無いと受けにくかったが、中々濃密な授業であった。これだけ濃い内容な物を普段からやっているとなると僕自身もしっかりしないといけないと少しだけ奮起した。

僕はレポートを後でまとめて今日中に教務課と教授用に渡さなければいけないのが悩ましいが、まあ何とかなるでしょう。


教授の荷運びを手伝う。

「今日はとても勉強になりました。自分がまだまだだという事も思い知りました」

「そんなことないよ。よくやっている方だ」

「いえ、そんな。今日はとても有意義な時間になりました。ありがとうございます」

「御礼を言うのはこちらの方で、いきなりの事だったがありがとうね。お茶でもいかがかね?」

「はい。喜んで」

失礼の無い様にある程度話をして部屋を出た。

入った瞬間、すごかった。

スリッパはふかふか。

研究室は目に入った程度だが、設備も何もかも自分の所より充実していそうである。

そして何より、応接間。

マンガとかドラマで見る社長室のようだった。

大人っぽくシックな雰囲気のインテリアを見て、少しは自分の所も模様替えしたいと変な意欲に掻き立てられたのであった。


「おかえりなさい」

「鍵閉めてあったよね?」

「ええ。合鍵です」

こちらにチラチラと振りながら見せつけた。

こう言った事には慣れていた気がしたが、未だに適応力は無い事を思い知らされた。

「教授、張り切っていましたねー。普段だったらスライド垂れ流しだったけれどね。君が来てから他の教授も少しやる気というか全体の士気が上がっているみたいだし。私的には前みたいの方が楽で良かったけれどねー」

雑誌を読み、バリバリと煎餅かじっていてルーズな彼女は僕の寝室を占領していた。

仕事机の前に座り電源を入れようとすると「仕事ですか?」と問われたので「そうだ」と答えると「ふーん」と興味なさそうに姿勢を変えずに言われたので、よほどその雑誌が気に入ったと見受けられる。これも段ボールの荷に入っていたものだ。

妹が兄をモテる為にお節介で入れている雑誌らしいが、こちらから送っている土産を貰う口実みたいなもの。読みもしないので、本の山の肥やしとなっている。

こうして活用されているのだから決して無駄ではなかったとも言えるのだろう。


行き詰ったのでちょっとコーヒーブレイク。今日中には終わりそうだが、学生課は明日でもいいだろう。流石に両方は無理そうだ。

「コーヒー淹れるけれど飲むかい?」

「私がやります。貴方が淹れるとなんか違うんで」

インスタントコーヒーに淹れ方など無い様な気がするのだが、自分が淹れると不味いらしい。時間が少し空いてしまったので少しボーっとすることにした。

「雑誌、また貰っていきますよ」

「雑誌気に入った?」

「可愛いですけれど、ここでは安っぽくって着けられませんね。こういったのを結構読んでいましたが、当時に欲しかったのを買えなかったので大人買いみたいなのは魅力的ですけれど、買っても邪魔ですし」

「ならなぜ持っていくの?」

「食堂に置いとくとエロ本買いに来た中学生みたいに群がって面白いんですよ」

うすら笑いを浮かべて言い放った。

「いい性格している」

「そりゃどうも」

中々にえげつない性格をしている事を知りたくはなかった。

僕も影響されてか多少興味が出たが同類とは思われたくないので押し殺した。

それが本質と合わなかったのだ。

レポートの文章に影響を出さないためにも本を読まないようにしていたのだが、変な所で変な影響を受けてしまった。

気付けただけでもまだましといったところかな。

最初から文章を読み直しまたレポートに取り掛かった。


後日食堂にて顔見知りがいたので声をかける。

後ろ手に何か本を隠していた。

「ち、違うんです」

よく意味が分からず「え、えっとー」と言葉に詰まっていると「違うんですーー」と駆け出して行ってしまった。

なるほど。

持っていた雑誌で何となく理解した。


「どうでしたか?」

「どうといわれても?」

「興奮しましたか?」

「そっとしといてあげよう」

「放置プレイですか? 中々にいやらしい」

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