三題話 【湖・プロポーズ・ゆがんだヒロイン】
「夜景って好き?」
「大っっっっ嫌い。」
僕の質問に、彼女は顔をこれでもかというほど思い切り歪めて吐き捨てた。
「あんなのただの人工の光の塊じゃん。人間の余計な発達の結果。いずれ絶滅するサイン。綺麗だって言ってる人の感覚が分からないよ。星空の方がよっぽどましだね。っつっても、寒いの嫌いだから星空だって見に行こうとは思わないけどさ。」
「じゃあ、湖は? 遊覧船とか。」
「目的もなくブラブラすんのは主義に反する。」
一刀両断だった。
「そもそも、基本的に船は嫌いだよ、酔うから。遊覧船なんて以ての外。ただ乗って景色見て流れていくなんて、何が楽しいんだか。まったく意味が見えないっての。乗り物っていうのはどこかに行きたいって目的を果たすために開発されたものでしょう? どうしてその本分を果たしてやらないんだか。同じ理由で、ドライブも嫌い。反吐が出る。」
「んー・・・じゃあ、遊園地は?」
「あの場所で使う金で、いったい何日分の生活費が賄えると思う。」
僕には返せる言葉が無い。
「理由もなく恐怖心を煽ったり、無駄に回転するアトラクションばっかり。絶対にあれの所為で何年か寿命縮んでると思うんだよね。どうしてあんなところに好んで行く奴らがいるんだろうか。スリルなんて求めるもんじゃないよ。まぁある意味ではね、欲求不満のこれ以上ない平和的な解消法なのかもしれないけど。わざわざ心臓を委縮させるためだけに金を使おうとは思わないな。」
「じゃあ、僕は?」
「・・・嫌いだよ。」
一瞬の間があった。
「嫌いだ。意味のない質問ばっかり繰り返して、私のことばっかり聞きたがって、鬱陶しいことここに極まれり、って感じ。その上、私がどんなに否定しても、どんな暴言吐いても、どんな酷いことしても、全然離れていってくれないんだもの。いったい何が目的なの? 何のためにここにいるの? ・・・たまには、あんたも何か言ってみたらどうなのよ。人のことばっかり聞いてないでさ。」
「うーん、そうだな・・・」僕は少しだけ悩んで、「僕のプロポーズって聞きたい?」
「あー、もう、ほんっとあんたってば質問ばっかり! そんなこと聞くまでもないでしょう⁈」
そう言ってそっぽを向く歪んだ彼女が、僕はこの世の何より好きなんだ。
空きコマ中に暇してて勢いで書いた。
17分と32秒のクオリティ。
お読みくださいましてありがとうございました。




