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アクティブアフタースクールレコード  作者: プリンシプル
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第四話

実際考えていた部分はほんの一部分だけで後はかなりの大増量で書き加えました。真ん中の授業風景は必要ないんだけどここで書かないともう書くところがないので足しました。無駄じゃないですよ!

 初夏、朝の風は夏の暑さを忘れさせる。涼やかなほんのひと時。

 

 朝の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込む、体に染み込ませるように。


 いつもより、少し早めに家を出た。気分がいいから今日は早い、ワケではない。俺の家から隣にミカの家、浩平の家と、俺たち幼馴染三人の家は並んでいる。これは新谷家がここに引っ越してきた時からできた並びだ。

浩平の家へと向かうため、真ん中に位置するミカの家の前を見つからないようにこっそり通る。一応ね。


 歩いて十秒と掛からないこの近さ、これでお隣さんとの仲が悪いと大変なことになるところだ。

昔から俺たちの格好の遊び道具の一つとして利用していた小さいブロック塀を乗り越え、庭を横切り玄関へとショートカットをする。あまり意味はなさない、ただの癖みたいなものだ。

 玄関にたどり着くと呼び出しベルも押さず扉を開け、挨拶もなしに浩平の家へと上がっていく。昔からの付き合いだからいつものことだ。

 こんがりといい焼き具合のパンの匂いを辿り、食卓のあるキッチンへと誘われる。


 テーブルの上半分に新聞を大きく広げ、食パンを食べている学生服の後ろ姿が見えた。


 まったりしてるな。朝食をとりながら新聞に目を通している浩平。背後からその様子を覗き込む。

テーブルの上には、こんがり食パン、野菜ジュース、ボイルウインナー、トマトに黄色いパプリカにサニーレタス、そこに卵、この半熟卵みたいなのはポーチドエッグというやつか? そんな感じの色鮮やかなサラダ。

 

なんだこのオシャレ空間は!!?

日本人なら米だろ! 米! 俺なんて朝からお握り三つに味噌汁だぜ!

思わず口に出てしまったが気にしない。


浩平が背後の気配に気づき、こちらに体ごと顔を向けてきた。


「珍しいね、真太朗が先に来るなんて? 何か用?」

視線を新聞からこちらに移し、俺の話を聞く姿勢になってくれたが左手に持っているパンは離すつもりはないようだ。

まぁいいけど、俺は目があった浩平と軽い挨拶を交わし要件を切り出した。


「今日生徒会に行くからミカには言わないでくれ、面倒だから」

こちらの言葉をパンと共に飲み込み、少し考え込むように斜め上を見ている浩平は、体の向きをテーブルに戻し、手についたパンの粉を皿の上で払い野菜ジュースの残りを飲み干した。


「もう文句言ったりしないでしょ? 決まったことなんだし」

食べ終わった食器をまとめながら背中で話す浩平。


「だとしても話し合いにはいないほうがいいだろ」

動きが少し止まり、何かを考える素振りをして


「わかったよ、今度なにか奢ってよ。」


「へいへい」

了解したようなしていないような、そんな適当な返事しておく。


全く、天下の生徒会長様が集りとは嘆かわしい。俺の軽口を浩平は、ハッハッハと軽い笑いで返してくる。

浩平が流し台へ食器を運んでいると、キッチンの勝手口より浩平の母が入ってきた。


「あら、しんちゃん? 朝に見るなんて久しぶりね」

ゴミでも捨てて来たのだろう浩平の母は、俺のことを未だにちゃん付で呼ぶ。


「おばさん、もう子供じゃないんだから『しんちゃん』はやめて下さいよ」


私にとっては幾つになってもしんちゃんはしんちゃん、みかちゃんはみかちゃんよ! 

ミカは女だからそれでも構わないだろうけど俺にはそれはちょっと困る。


「こ~んな小さい時から知っているのよ、あなたたちのこと。あのやんちゃ坊主だったしんちゃんを今でも忘れていないわよ」

フフフと含み笑いをするおばさん。ミカの母もそうだが、おばさんとは厄介な生き物だ。


「やんちゃなのは今もあんまり変わんないよ」

新聞の地域情報欄に目を通しながら言った浩平の言葉に、そうなの? っと嬉しそうに反応する浩平の母。


しんちゃん、あんまりみかちゃん困らしちゃダメよ! 

ほらみろ、結局ここにたどり着くんだ。浩平め、余計なことを言いやがって。



 浩平に口止めしてすぐに行こうとと思っていたのに、すっかりおばさんのペースに巻き込まれて時間が経ってしまったようだ。玄関の扉が開き、ミカがやって来た。


「おはようございます、コウちゃん準備できててる?」

挨拶はして入ってきたのもののミカも遠慮はない。いつも通りだ。ミカがキッチンへとやって来ると、我が目を疑うという顔をしてくれた。


「どうしたの真太朗? 熱でもあるの?」

俺が迎えに来る前にやって来たんだ素直に喜んで欲しいものだ。


みかちゃん、おはよう。今日も可愛いわね♪

やだ、おばさん。いつもと変わりないですよ~♪


面倒な女同士の会話か始まった……巻き込まれないうちに退散するとするか。


「今ちょうど、みかちゃんが最近ますます大人っぽくなったって話していたところよ」

してないしてない。何処からそんな話が出てきたんだ? これは話が長くなるかも知れない、と察知した浩平は素早く行く準備をして俺とミカに出発を促した。


「母さん、もう行くから話はそのぐらいにして」


はいはい。皆、車に気をつけて行ってらっしゃい。


おばさん、行ってきまーす。

まだ話し足りないといった感じのミカの腕を引っ張りながら、俺は手だけ降って挨拶しておいた。



 「コウちゃん、傘持ってかないと今日は何降るかわかんないよ!」

浩平の家を出て最初のミカの発言がこれだ。


「シンタロウがここにいる時点で異常事態なんだよ! これはもう何が降ってもおかしくないよ! コウちゃん!!」


失礼なことを言うな、俺はいつも寝坊しているわけじゃないんだぞ。時間を有効活用する為、二人が来るまで待っているんだ!


胸張って言えることではないと思うよ。浩平のやんわりツッコミが入る。


向かう方向から言えば、本来はシンタロウがこっちに来るべきなのよ!

ミカの攻撃が続いているが俺はめげない。こちらも応戦の構えだ!!


 朝から騒がしい三人の登校風景。近所でもさぞ有名なのであろう。




 授業とは季節に関係なく眠気に誘われるものだ。

よし、それでは素敵な睡眠タイム! としたい所なのだが、隣の女子から熱烈アタックを脇腹に打ち込まれる為それはできない。

仕方ない、教科書を立てて読書タイムとしよう。


「シンタロウ、授業聞いてなさい!」 

ヒソヒソとしゃべるも語尾はキツい話し方でお隣さんが何かを言っている。


授業とはわからない人が聞くもんだぜ! 俺はビシッ!っと右手親指を立ててキメ顔をした。

お隣にはなんのことやら伝わってはいないだろう。


「新谷! ちゃんと授業聞いてるのか!?」

こちらの怪しげな行動が教師に感づかれたようだ。全く、ミカが話しかけるからだぞ。


「ハイ! 先生。授業中に授業を聞かずに何を聞くというのですか?」

誠意を見せる為、立ち上がって返答するが相手がどう思うかまでは考慮していない。


 上下二面移動させて使えるタイプの黒板の上段を使いきり、下段に何か長い数式を書き込んでいた美墨先生。手に持っていた白のチョークが指の圧力で粉砕された。


クールビューティー美墨はご立腹のご様子であります。


「それなら、この問題に答えなさい!」

粉砕されたチョークで汚れた手を払い、新たなチョークを掴み数式を書き終え黒板を示す。

美墨先生の目が鋭くこちらを睨んでいる。

仕方ない、と俺は黒板に歩み寄り形状を留めているチョークを掴んだ。


「先生、この数式では答えはでませんよ。ほら、ココとココ直して……」

おもむろに黒板に書かれた数式を直して正解を書き加えた。


これでいいですか? 顔の表情だけで先生に意思表示をした。当然文句はないだろう。

黒板を確認し、少しムッとしたような険しい顔をこちらに向け、戻ってよし。とお墨付きを頂き席へと戻った。


自分の席に戻ると、ミカは頭を抱えていた。

声をかけると一蹴されそうなのでそっとしておき、自分の席に着いた。



 放課後、浩平に今日使うプリントのコピーを任し一足先に生徒会室へと向かった。


生徒会室には既に、生徒会長を除いた生徒会主要メンバー四人揃っていた。副会長、書記二人に会計。


生徒会には主要メンバー以外にサポートメンバーが大多数いるが、会議等ではこの五人だけが集められ物事の有無を決めている。


いつも同じ並びで座る三人。名前は順番で覚えていても構わないだろう。


「よう、川原、原田、田崎」


「新谷先輩、自分達はそんなしりとりみたいな名前じゃないですよ」

眞鍋は書類に向けていた目をこちらに向け訴える。

書記の眞鍋は三人の中では先輩にあたる二年生、必然的に抗議する代表となる。


「冗談だよ、眞鍋、三吉(みつよし)、そんで和合美依。俺は一度覚えたことは忘れない主義だぜ!」


「なんで和合だけフルネームなんですか?」

書記一年、三吉が疑問を投げかける。だがそんなものは決まっている。


「そりゃあ、女子のパーソナルデータは重要だからに決まってるだろ!」

三吉にこちらの自論をぶつけながら、生徒会メンバーと相向かう場所に腰を掛ける。


続けてご自慢のデータを披露していく。


「和合美依。七月三日生まれ、かに座のO型、スリーサイズは上から~」

チラリと和合に目を向け、わざと語尾を伸ばし様子を伺ったことを見事に受け止めて和合が反応を示してくれた。


ちょっと待ってーーー!!!


勢いよく立ち上がったせいで椅子が後ろに倒れる。


「なんで先輩が私のスリーサイズ知ってるんですか!!」

俺はきわめて真面目な眼差しを向け和合へ語りかける。


「和合よ、どこの学校にも一人はいるんだよ。服の上からでも目視で女子のスリーサイズを見極める職人(プロ)がな。」


「そんな危険な人今すぐ退学にしましょう! 副会長!!」

和合、残念ながら生徒会の一存で一生徒を退学できる権力はないよ。眞鍋の言葉に、副会長立花真弓はとても残念なことだけど。と首を横に振った。

 

 面白いのでもう少し遊んでみるとしよう。


「ちなみに立花のスリーサイズは上から~」

やめて下さい! バンッ! と机を叩き怒りをあらわにする立花。とてもいい反応をしてくれる、さすが立花! 期待通りだよ。



「真太朗、まさかそのデータ全部覚えたの?」

いつの間にか生徒会室へと入ってきていた浩平が俺の後ろに立っていた――。




 コピー機は職員室と図書室に設置してあるが、どちらも教師の許可を得なくては使用ができない。頼まれた紙をコピー機にセットして赤いスタートボタンを押す、機械が動くのを確認したら職員室での用事を済ませに向かった。


 職員室の前の廊下を突き当たりまで行けば生徒会室がある。

そんなに長い距離ではないがこれがなかなか辿り着けない、なぜなら……。


「生徒会長、この前指摘してただいた所直してみたので見てもらえますか?」

ええ、いいですよ。


「ああ、会長ちょうどいいところに。これ頼まれてくれるかな?」

はい、分かりました。


「かいちょう~! 聞いてくださいよー!」

はいはい、なんですか?


 この短い距離で色んな人たちに呼び止められてなかなか前へと進めないのである。親しみがる、人気があるということはとても光栄なことだけど、多分自分が無下にお願いを断われない性格だとわかっているからなんだろうな。


 道行く人たちにやっと解放され、生徒会室の扉の前に辿り着いた。廊下からでも扉越しに賑やかな声が聞こえてくる。

真太朗が来ているといつも生徒会室が賑やかになり、皆楽しそうにしている。ムードメーカーとなれる。これだけでもすごいことだと思う、僕にはできないことだ。


やっぱり真太朗は生徒会に向いていると思う。人の先頭に立ち、人を率いてる姿が似合っている。


ミカと真太朗と三人で生徒会してみたかったな……。


今の生徒会メンバーに不満があるわけではない、ちょっとした希望。そんなことを想いながら生徒会室へと入っていく。


「――いるんだよ。服の上からでも目視で女子のスリーサイズを見極める職人(プロ)がな。」

また何か変な話ししてるな。


「そんな危険な人今すぐ退学にしましょう! 副会長!!」

和合さんまで怒らせてる。


「ちなみに立花のスリーサイズは上から~」

最後はやっぱり立花さんにいくんだね。


「真太朗、まさかそのデータ全部覚えたの?」

おう、来たか! 顔だけこちらに向けて話す真太朗。


「浩平も知りたいよな? 女子のスリーサイズ!」

自分を含め男性陣全員に同意を求めているが、この状況下では誰だって同意はできないよ真太朗。


「会長! 全員揃ったのですから早く始めしょう。」

副会長立花さんより圧力がかかったので、素早く席へと向かった。



 副生徒会長、二年の立花真弓。耳が隠れる位のサラサラショートボブ、俯くと髪が下がってきて気になるのかよくヘアピンを使用して書類整理をしている。

同じく二年、書記の眞鍋幸哉。細身の体だけど身長は真太朗といい勝負である。生徒会メンバーの中で一番冷静沈着な性格。後輩の面倒みもよく、先輩である自分もよく助けられている。立花さんと共に自分を支えてくれる大切な存在だ。

書記補佐、一年の三吉翔馬。小柄な体格とは裏腹に結構なスポーツマンで体力自慢。生徒会の仕事は思った以上に体力がいる、ひとたび行事ごととなれば呼び出され学校中を走り回らなくてはならない。そんな時は彼の存在はとても大きい。いち早く目的地について作業を始めていてくれる。

会計、一年の和合美依。肩にかかるゆるふわセミロング。くせっ毛で湿気が多い日は髪が広がるとよく嘆いている。ギャルっぽいとでもいうのか、ちょっとゆるい感じにみえる話し方をすることがある彼女だが、一年生なのに一人で会計を任せられるのはそれだけの能力を有しているからだ。



 先程コピーしてきた用紙の一枚を真太朗に渡し、残りは立花さんから順に回してもらう。


「会長! コピーなら私に言ってくれればやりましたのに!」

立花さんが身を乗り出してまで訴えてくれるのは嬉しいけど、真太朗と同じクラスで職員室に用もあった自分が行くのは必然的である。


「ありがとう、いいんだよ。ついでに職員室に用もあったし、わざわざ立花さんに負担かけなくても済むからね」


「私は、会長の頼みなら負担だなんて思ったこと一度もないですよ」

語尾は声が小さくなり、ごにょごにょとなりながら再び椅子に収まる立花さん。

自分以外の目線が立花さんに注がれていた。


? 。


「それじゃあ、始めようか。説明お願い、真太朗」

お、おう。真太朗は何かを気にしているように見えたが気を取り直して説明を始めた。


「頼んでおいた場所は取れたか?浩平。」

真太朗が自分に顔だけ向けて聞く。


「指定通り、三日目後半、映研の後すぐに入れるように手配できたよ。」

よし、なら問題ない。と再度説明が始まった。


「まず、今回は映研と共同でやることになった。というか必要だからそうしたんだけど、あっちも快く受け入れてくれたよ」

持ちつ持たれず、こっちも映研に協力する条件付きでだけどな。


「映研の協力を得て一つショートムービーを撮ります、それを問題として参加者には犯人を見つけていただきます。簡単な犯人当てゲームです。参加資格は、この学校の生徒であれば参加は基本的に自由。ただし、時間の都合上回答はクラブごとに一つとしてもらいます。賞品が部室の使用権利ですから当然ですが。答えを考えるのは所属クラブの部員とその他協力を仰いでも構いません。あと個人での参加は認めないということで、どうでしょう?」


大体のルールは用紙に書いていあるが、改めて口頭にて説明をして皆の意見を求める真太朗。


「正解者が複数になる場合がありますよね? その時はどうしますか?」

問題点をしっかり見抜き提言するのは和合さん。こうゆう一面が彼女の頭の良さが覗えるというものである。


「一応、回答には説明の文章を含めて正解とするので、全く一緒の答え。というのは出ないと思っていますが、その場合は答えに近いものをこちらで判断します。」


他には? それじゃあ……あっ、後一つ。

真太朗は人差し指を上げ、追加でお願いしてくる。


「当日は、立会人として生徒会のこのメンバーの誰か、一人でもいいから参加してほしいんだけど? できる?」


当日にならないと誰が入れるかわからないからそれはこちらに任せて。

他のメンバーにも目だけで確認をとる。それで問題なさそうだ。


それじゃあ説明はこんなものだな。と話を締める真太朗。



「はい! 女子のプライバシーを侵害する者の処分がまだ決まってません!」


和合、それはもういいだろ?


和合さんの今更な抗議にうなだれる真太朗。それが可笑しくて、笑いが起きる。


生徒会室が和やかな笑いに包まれた。









この先出てくるか決めていない脇キャラたちにも設定を付け加えました。

おかげで予定より長くなってしましたが、後悔はしてませんよ! 必要になるかもしれないですから!

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