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初投稿です。
勢いに乗って書いたものを投稿してみました。のっけから下ネタで申し訳ありませんが多分ずっとこういう作品です。
突然だが、下着の話をしよう。
ああ、まあ待ってほしい。
理由があるんだ、ちゃんと理由が。
だから白い目で見るのはやめてくれ。
俺は下着に偏執的な想いを抱いているわけではない。
下着と言えばまず、ぱんつである。
ああ、中には褌と答える人もいるかもしれないが、一般的ではないし、下腹部に装着する下着のことは今はぱんつとさせていただきたい。
さて、ぱんつの他の下着となると、ブラジャーが挙げられる。
女性の胸部に装着する下着だ。
下着にも色々種類があるが、まずぱんつとブラジャーがあれば、下着が揃ったと言っても良いのではないか、と思う。
靴下やタンクトップのようなものは、外部に露出しても良いし必須ではない、ということで今回は除外させていただきたい。
ところで、先程も述べたとおり、ブラジャーというものは女性専用の下着である。
男性に関して言えば、下着一枚とはぱんつ一丁と等しい。
ぱんつさえあれば男性の下着は事足りるのである。
つまり、当たり前の事を言うようだが、男性にブラジャーは必要ない。
では、今俺の足元にあるこの物体は……何なのだろうか?
すまない。
少しばかり混乱しているようだ。
おかげでこのような益体もない駄文を言い連ねるという無益な行為をなしてしまった。
ああ、益体もないと無益の意味がかぶっている。
よし、今更だが現状を端的に説明しよう。
俺の足元にブラジャーが落ちている。
句点を含めてたった十七文字で終わってしまった。
なんだかラノベのタイトルっぽいな。
ここはもうひとつひねって、「俺の足元にブラジャーが落ちているけど関係ないよねっ」というのはどうだろう。
うん。
いい響きだ。関係ない。
つまり俺とこの物体は関係がないので見なかったことにして立ち去るのがいい、ということだ。
いや、分かっている。
そういう訳にはいかないんだ。
なにせ、この物体は、俺の部屋の扉の前に落ちていたんだから。
仕方がない。
この物体の持ち主を考えよう。
最初に断っておくが、当然これは俺のものではない。
この家にはブラジャーを装着する人物――つまり女性が一人存在する。
言うまでもないが、母だ。
では、このブラジャーは母の物なのか?
俺はこの疑問に、否と答えたい。
そもそも、初めから母の物だと思っていたら、洗濯物を片付けた際にうっかり落としたのであろうと考えて母に渡すだけであり、こんなに悩む必要はないのだ。
まず、母の胸は大きい。
Eくらいある。
自分の母親のバストサイズを評価するとか何やってるんだと言いたくなるが、とにかくそれが証拠になるのだから仕方ない。
対して、このブラジャーはせいぜいBカップぐらいの控えめなサイズだ。
つまり、どうあがいても母の胸は入らない。
しかも、母がいつも干しているブラジャーは肌色の地味な物――たまに黒のレースとかもあるけど――だが、このブラジャーは赤のチェック柄にリボンと白フリルをあしらった、可愛らしいデザインだ。
おわかりいただけたであろうか。
つまり、サイズ的にもデザイン的にも母のものではありえないのだ。
この家の住人はあと二人。
つまり、父と弟である。
二人とも男なので除外して良い。
すると、残る可能性は、外部犯しかない。
外から誰かが侵入して、ブラジャーを置いて、あるいは落として立ち去った。
いやいや、どういうことだそれは。
下着ドロの逆パターンか。
いくらなんでもありえないだろう。
待てよ?
下着ドロ?
まさかと思うが、父か弟のどっちかがどこかの家から盗んで――待て待て、まず弟を考えろ。
多分女の子におっぱい揉ませてとか言ってもOKされそうなイケメンだぞ?
盗む必要はないだろう。
父は――この歳でも母にべた惚れだからな。
母の下着には喜んでもわざわざ他人のブラジャーを盗むなんて……。
他の可能性――これが第三者の物であり、謎の下着ばら撒き魔の犯行ではないのなら、持ち主は合法的に我が家に入り、下着を忘れていった、ということになるのではないだろうか?
つまり、この家の誰かが第三者を招き入れ、下着を外すようなコトに及んだ可能性である。
俺ではない。
自慢ではないが俺は以前彼女はいたがそういう体験をしたことがなく、今現在そういう相手もいない。
すると、父の浮気や母のそれ以上に背徳的なナニカを想像するより前に、疑うべき対象は決まっている。
弟だ。
弟は現在中学二年生。
思春期ど真ん中である。
世間一般の中学生と比べるとやや特殊ではあるだろうが、イケメンだし女には苦労しないタイプだ。
癪だが。
そうすると、彼女の一人二人いてもおかしくないし、年頃であるからそういう行為に及んでもおかしくはない。
だからといってブラジャーを落として行くなとは思うが、避妊さえきっちりやっているなら文句は言うまい。
両親にバレたらまずいかもしれんが。
さて、以上の検証の結果、このブラジャーの処分は弟に一任するのが一番であると思う。
まさか今まさに最中であるなんてことは――ないだろう。
来客の様子はなかったし、それがあったとしても俺が帰る前に終わっているはずだ。
というわけで俺は足元のブラジャーを拾い上げ――ん?
これ詰め物が入っている。持ち主はまな板だな。
俺はほんの少し持ち主に憐憫を抱きつつ、俺の部屋の隣――弟の部屋の扉を、ノックもせずに開けた。
「きゃああああああ!」
開けた瞬間、中から黄色い悲鳴がした。
中にいたのは、上半身裸で胸を押さえた、ツインテールの美少女一人。
それをぽかんとした間抜け面で眺める、ブラジャーを握りしめた男(俺)。
「ご、ごめんっ!」
俺は反射的に謝って扉を閉めた。
って、なにそれ。