聴覚障害者の日常 〜残念?〜編
アタシの夫は健常者だ。
学生の時、クラスメートで同じ係の仕事をやっていて、話しやすかった。真面目で落ち着いた大人な考えをする人だと思い、講義のノートテイクを手伝ってくれたりしてくれたので、自然と慕うようになった。
アタシは、男子と話すのは慣れていなかったが、夫とは安心して話ができたのだ。顔がどうとか、スポーツができるとかではなく、手の温かさ、人柄に、初めて恋愛感情をもった。
卒業後は高知と神奈川と離ればなれになったが、時々は連絡をとりあっていた。(遠距離恋愛編参照)
ある日、アタシの住む部屋に健常者の友人が遊びにきた。ちょうどその時に、夫から電話があった。友人は感心しながら見ていたが、話をしたいというので電話をかわった。
しばらくして、受話器をおいた友人が、アタシに向き直り、
「声がすっごく素敵!!声だけで惚れそう!アナタ、すんごく残念よッ!」
と言ったのだ。
夫の声がどんな声なのか聞こえないから興味はなかったのだが、そう言えば、昔、合唱コンクールの選抜に選ばれたらしく、喉自慢していたなぁ。
素晴らしいという歌声も、友人がいうには落ち着いた安心できる素敵な声らしいのだが、それも知らなくてなんだか気まずかったけれど、新たに知ることができて良かったと思うことにしよう。
友人にいいなぁといわれれば、悪い気はしないのだから…。