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神崎が温水にお礼を言った。
「いえ、たいしてお役にたてませんでした」
「いいえ、そんなことないですよ、温水さん来てくれてとっても助かりました!」
「いやあ、僕なんてロボットの足元にもおよびませんよ」
「そんなこと言ったら私もです、というか世の中の人みんな及ばないですよお、あははは」
温水は苦笑いをした。確かにそうなのだ、そうなのだが。
「また、良かったらお願いしますね!」
「はい」
「これ、今日のお礼です」
神崎は紙切れを数枚、温水に渡した。
「これは?」
温水は紙に書かれている文字を見た。
「天城商店街福引き券、ああ近所のやつだ」
「これで特賞でも当てちゃってください!」
「当たれば嬉しいなあ。ありがとうございます」
二人は手を振り合って帰った。
「んー」
帰りながら温水は福引き券を眺めていた。
冷えた弁当を食べながらTVを見る。ロボットのCMが流れていた。
「よし、今度は間に合ったぞお」
朝のゴミ捨て場に温水はいる。
積まれているゴミを見た。
燃えるゴミじゃなくて、燃えないゴミの日だということに気づいた。
温水はじっと自分のゴミを見つめる。
燃えるゴミだ。
ゴミ収集車が来た。
「ゴミ大丈夫ですか?」
ゴミを回収し終わった回収員が話しかけてきた。
「あ、はい」