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4 新天地
「それじゃあね」
「うん」
「わん!」
温水はモモを撫でる。
「じゃあね、コスモス、清恵のお世話を頼むよ」
「はいマスター」
温水はキャリーバッグを持って玄関から出ていった。
清恵はリビングに戻る。
「どうしたのー」
「いえ」
コスモスは玄関のドアを見ていた。
太陽がさんさんと降り注いでいる。
畑で温水はキュウリを沢山抱え、カゴに入れる。田舎に来て、畑仕事をしていた。野菜の収穫をしている。ロボットはここにはいない。
温水は太陽を見る。
「あっちいい」
と、首にかけたタオルで汗を拭っていた。
ぼろい木造住宅に温水は住んでいた。
温水は肌着とパンツ一丁の姿でもりもり、ご飯を食べている。扇風機が回る。食べ終わって、鼻歌を歌いながら皿を洗う。
鶏が朝を告げた。
温水は洗濯物を干す。パンパンと洗濯物を叩いて伸ばした。
ゴミ捨て場にゴミを捨てる。
野菜の入った段ボールを大量に倉庫に入れる。
温水は野菜の取引業者とやりとりをしていた。業者は車に乗って車を発進させた。
「また、お願いしまあす」
温水は業者を笑顔で見送った。
牛の餌箱に餌をやる。
牛がもーと鳴く。
厩舎の掃除をする。
汗をふく。
「ふー」
温水は家の周りを草刈り機で刈っていた。
青臭い。
「マスター!」
草刈り機を止める。
誰かの声がしたと思った。
「マスター」
「え」
温水は声の方を見た。
コスモスは微笑んでいる。
「来ちゃいました」