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温水はモモをなでる。
「私に譲ってくれないかしら」
「は?」
「離婚の慰謝料代わりに」
「なにそれ」
「考えといて」
そう言って清恵は席を立った。
温水はただ清恵の後ろ姿を見ていた。
朝。
「出かけてくる」
「私も」
「あ、いや、今日は一人でいいや」
「はい」
温水は玄関を出た。
コスモスは温水が出たあと、玄関にしばらく立っていた。
街路でロボットと人間を見る。
(なんだかロボットに依存してる人ばっかりになってる……)
温水はロボットに疑いの眼差しを向けていた。
ロボット達の無表情の顔。
「なんだか怖いな」
温水が歩いていると。
「おい」
誰かに声をかけられた。
ふり向くと、先日ロボットを破壊していた中年がバットを引きずって目を血走らせて立っている。
「あなたは……」
「あのロボットは」
「え?」