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「なんだ、お前、う、動かねえ」
バッドを動かそうとするが、びくともしない。
「は、離せえ!」
コスモスはなにも言わなかった。無表情をただ中年に向けるだけ。
「くそ!」
中年はバッドを離して、悪態をつきながら逃げていった。
温水は男を見送る。倒れているロボットに目をやった。
「かわいそうに」
ロボットはおかしな日本語を発していた。
温水はコスモス見る。
「この子、どうすればいいかな」
「プラントに私が連れて行きます。マスターは帰っていてください」
コスモスはロボットをひょいと担ぐ。
温水はコスモスを見送った。
3 エゴ
インターホンの音。
家に清恵が来た。
「どうしたの?」
「少し話があって」
「え?」
リビング。
コスモスがお茶を出す。
奥さんがコスモスを見る。
「買ったの? これ」
「コスモス? いや、商店街の抽選会で当たったの」
「そう……」
「ワン!」