偉大なる召喚術
遂に僕は偉大なる召喚術を身につけた。
この秘術を使えば世界を滅ぼすほどの力を持つ魔物であろうとも呼ぶことが出来る。
人間の持つ魔力ではたった一度きりしか使えないだろうが一度でも使えるなら十分だ。
何せ、僕が召喚しようとしているのは一度呼びだせば生涯主に服従をしてくれる魔人なのだから。
さて。
僕は意を決して全魔力を解放し召喚術を使う。
最早、発音するのさえ難しい呪文を唱え、かの魔神の名を呼ぶ。
辺りに黒煙が漂う。
部屋をすっかり闇に包む。
以前に学んだ通りだ。
この闇が消えると同時に魔人がその場に姿を現す。
僕は期待に胸を膨らませて煙が消え失せるのを待ち続けた。
そして。
「は?」
僕は困惑の声を漏らす。
煙が消え失せた後にあったのは一枚の紙きれだったのだ。
「なんだ? これ……」
そう思って僕はその紙を拾い上げる。
するとそこには以下のように書かれていた。
『混雑中 ただいまの待ち時間は7331年』