第四話 友達 (遥菊)
僕たちは結構仲良くなったと僕は思ってる。いつも2人っきりだからかな?そんなことを考えていると、桜成が質問をしてきた。
「ねえ、はるき。高校って行くの?」
どこか踏み込んだ質問を桜成がしてきたので、少し戸惑ったが、聞きにくいことを聞ける仲にはなれたんだなと、少し嬉しく思ったりもした。
「一応受かった高校があるから、僕はそこに行くよ」
「へぇ、なんて高校?」
「えっと、確か都立じゅうとく? 高校だったと思う。お母さんがジェンダーレス制服を導入している高校って言ってた」
正直行きたいとは今も思ってない。でも、いつまでもこのままじゃ良くないことも分かってる。だから、その高校に行くことにした。
「重徳高校ね。私もそこに行くんだよ。」
やっぱり、さっきのは撤回します。行きたいから行きます。
「やったー。さくなと同じ高校に行けるのはとても嬉しい。一緒のクラスになれるといいね」
僕は遥菊に微笑んだ。
「あっ、そういえば今日だよ。入学式」
遥菊が思わぬことを言った。
「えっ、入学出来ないじゃん。どうしよう」
「大丈夫だよ。遅れて入学するだけだから」
「えっ、そうなの? 知らなかった」
そんなこと出来るんだ、すごい。
そうしていると、先生が来た。「もうだいぶよくなったね。明後日には2人とも退院出来るよ」と言われた。正直もっと入院しておきたかったけど、遥菊と学校に行けるのが楽しみ過ぎて、そんなことどうでもよくなった。