第二話 入院 (桜成)
わたしは走っていた。
もう戻らないと思っていたのにこんなにも早く戻ることになるなんて思ってもいなかった。そう思いながらわたしは学校へ向かっていた。正直わたし以外にも生きづらさを感じていた人が同じ学校にいたことに少しだけ親近感を感じた。
事件のせいだろうか、いつもよりも車が多く走っている。それに一台一台のスピードも速く感じる。そんなことを考えながらわたしの横を通り過ぎていく車を見ていたら、全身に衝撃が走った。そしてわたしは目を閉じた。
目を覚ますと、そこは2人部屋の病室だった。まだわたししか患者はいなかった。
「桜成、目が覚めた?」
そこにはママが立っていた。そして、その目からは涙が溢れていた。
「うん、ママごめんなさい」
「本当に無事でよかった」
ママは心から安心しているようだった。
「桜成、あなたは車にはねられて何カ所か骨折したのよ。高校の入学式には間に合わないみたいなの」
本当に自業自得だ。見に行こうとしなければよかった。でも、もう遅い。体がいたくて動かないし、声も出しづらい。何より入学式に間に合わないのがつらい。具体的にどれくらい遅れるのかは分からないけども、クラスに馴染めないことだけは決まった。わたしは中学の3年間まともに家族以外と話した記憶がないから、人との接し方が分からない。
そして、このまま死んでしまいたいと思って寝た。
事故から2日経った今日、僕の入院している病室にもう一人の患者が入ってきた。
それがわたしと彼女の
いや、彼との初めての出会いとなった。