表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

第一話 卒業式 (遥菊)

 僕の中学校生活はもうすぐ終わる。

 この地獄も今日終わる。

 こんな僕にも友達になってくれる人がいて、とても幸せ“だった”。そう幸せ“だった”んだ。

 それは突然だった。僕の机に“キモい“や“ウザい”という言葉が書いてあった。別に何かしたつもりもなかった。だから、ほおっておいた。そうしたら今度は“死ね”と書かれた。流石に気になったから、書いた人を聞き出して、本人になぜこんなことするのかを聞いたら、「そんなの、お前がみんなと違うからだろ」って言われた。それからいじめが増えた。

 たしかに僕はみんなとは違う。

 体は女に産まれたけれども、心は男として産まれてしまった。ただそれだけなのに、、、


 卒業証書の授与が始まった。


「1組 浅井孝太

 池 雄斗

 ・

 ・

 ・

 吉村陽菜

 以上38名

 代表 浅井孝太」


 こうして、卒業証書の授与は進んでいき、僕の名前が呼ばれた。


「大野遥菊」


「はい」


 声が裏返えることもなく返事ができた。


 こうして卒業式は無事に終わった。

 そして今チャイムが鳴り、最後のホームルームが始まった。みんな泣いている。いつも怖い先生でさえも涙を流していた。


「みんな卒業おめでとう。私は決して良い教師だったとは言えないけれど3年間付いてきてくれてありがとう…」


 あぁ、これが最後かぁ。もう誰とも会えなくなっちゃうな。そう思うと涙が出てしまう。でも、もう決めたことだ。親が僕に合った学校を探して紹介してくれたから、そこを受けて、受かったけどどうせ行かない。もう僕の未来に希望も絶望もないんだ。そう思うと少しだけ気が楽になった。


「みんなこれからも精一杯“生きていけ”!」


 こうして最後のホームルームは終わった。

 僕は最後に僕の友達になってくれた2人にお別れを言いに行った。予想以上に話し込んでしまったけど、これで後悔なく旅立てそうだ。


 2人と別れて僕は1人で屋上へ行った。

 いじめられていた事実を遺書に書いて、

 “飛び降りた”


 意識はだんだん薄れていき、最後に赤い何かを見て目を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ