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Secret1. 魔法少女と悪の秘密結社

ここはどこにでもある普通の街。

ここでもどこにでもある普通の悪の秘密結社と、どこにでもいる普通の魔法少女が戦っていた。


「悪の秘密結社ダーク・ライト首領マテラス!お前の好きなようにはさせない!この街の平和は私が守って見せる!!」

ピンクの髪に大きな瞳、フリフリの服に純白のステッキ、気のせいか周りが輝いて見える。

老若男女問わず応援したくなるような、かわいらしい見なりと幼さの残る顔だち。

彼女がステッキを一振りすると、キラキラの光の粒子をまき散らしながら、いくつもの光の弾がはなたれる。


「チィー!」

「チィー!」

「チィー!」

弾はマテラスと呼ばれた男の周りを取り囲む、全身黒タイツで仮面をかむった戦闘員たちに直撃すると、戦闘員は全員痺れて動けなくなってしまった。


「チッカーたち皆やられちゃったじゃない。どうするのよ、マテラス」

マテラスの隣から声をかけたのは、黒ローブに黒のフードを目深にかむった小柄な人物。

声色から判断すると年端もいかない少女だと思われる。

「ヴィオレ、心配するな。策はある」

自信満々に答えるマテラスは、ブロンドの長髪にスリムな顔立ち、華奢な体に長い脚。身長はそれほどでもないが、なかなかの男前だ。

黒のマントを羽織り、漆黒のスーツにグレーのシャツ。リラックスにボタンを外した白い首筋がセクシーだ。


「なかなかやるな、ラフェド・セリシール!しかし私の攻撃を受けてまだそのようなセリフが吐けるかな?」

紫の切れ長の目が怪しく光ると、崖の上からジャンプした。

「くらえ!必殺・飛び蹴り!!」

「まさかの物理!!!」(ヴィオレ)


男の体は見事な一直線の姿勢を保ち、体重の全てを足先に集中させ、完璧な飛び蹴りを食らわす。

「危ない!!!セリシール」

魔法少女の肩にのった愛くるしいライオンのぬいぐるみのようなマスコットキャラが叫ぶ!

「キャ!」

魔法少女がすんでの所で何とかかわす。

男の着地した場所には、小さなクレーターが出来ていた。


「さすがマテラス!物理攻撃に慣れない私には辛い攻撃ね」

「えっ、有効なの?ただの飛び蹴りが?」

崖の上ではヴィオレが叫んでいる。


「もういっちょゆくぞ!!」

マテラスはそういうと立ち上がろうとして、ふと動きを止めた。

「足を挫いた...」

「バカ?!」(ヴィオレ)

「撤退だ!命拾いしたな!セリシール!」

そういうとマテラスはふわりと浮き上がり、崖の上に戻ると周りの空間が歪み、彼らを包んでいく。


「待ちなさい、マテラス!せめて一撃受けてから立ち去りなさい!!」

そういうと魔法少女はステッキを一振りした。

杖の先から出たビームのような物はマテラスに見事にクリーンヒットした。

「ギャァァァァァ!!!」

次の瞬間には空間の歪みが閉じ、その場には魔法少女とマスコットだけが残されていた...


「また逃げられたね。」

マスコットが話すと少女は笑いながら答えた。

「大丈夫よ、レオポン。何度来ても追い返してやるんだから」


・・・


ここは同じ街のとある建物。

「大丈夫?ひかる」

そこでは超美形の少女が、同じくらいの年頃の少女の看病を受けていた。

「・・・し♡び♡れ♡る♡」

陶酔しきった表情で幸せそうに答える少女。

普段は美しいであろう黒髪は、静電気のせいだろうか、少し縮れて焦げている。

大きな瞳にきめ細かな肌。しかし焦げた美顔が痛々しい。

「セリシール様。いつ見ても凛々しくて可愛くてお強くて...毎回魔法を頂くたびにうれしさで痺れてしまいますの...」

「それって、電気で痺れてるんじゃ...」

「あら、すみれもセリシール様の魔法を受ければ分かっていただけますわ♡」

「まあ、うらやましいかうらやましくないかと言われると、ちょっとうらやましいかも...」

すみれと呼ばれた紫髪の少女が答える。

「そうでしょ、あ、痛」

「まだ動いちゃダメ!明日、学校大丈夫?」

「大丈夫に決まってますわ。だって...」

普通の魔法少女物ではたとえ命に係わる怪我を負ったとしても、次の登場時には完全に直っているのだから...


「普通って何?」(すみれ)

......哲学的な問いを残しながら夜は更けていった


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