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光と闇の狭間であいつは笑う  作者: 紅・ロエム
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林檎の樹

こんにちは!

ロエムです。

またまた異世界転移系です。

面白い展開に出来るか不安です。

 俺の親友がある日突然姿を消した。この事件は大々的にニュースとなった。

 行方不明から数日後、警察が防犯カメラを調べると親友の居場所はすぐに予測された。

 それは川である。

 親友は行方不明になった日、川に身を投げたのだ。

 親友は悩みがある事を自分に相談もしてくれなかった。そして家族も知らなかったらしい。

 だが、家族がいう原因は学校での孤立だったらしく、クラスでは友達が一人も居なかった親友は休み時間以外は孤立をしていたそうだ。

 俺とは違うクラスでそんな事は全く知らなかった。

 俺は親友の事をなにも分かってあげられなかったと後悔しかなかった。もちろん家族の方々も原因ははっきりしていなかったとはいえ親友に話も聞かなかったことを悔やんでいた。

 そしてここからが本題だ。

 それなりの高さがあり、水量が少ない川に身を投げた親友はもちろん即死だと予想される。 だが不思議な事に親友の死体が発見されないのだ。

 死体が海に流されたという可能性も大いにある。だが我々が気になったのは一人のネットに公開された映像だった。

 それは親友が身を投げた瞬間が捉えられた映像だ。

 投稿者はただ街中で面白い動画を撮ろうとしていたのだが、その映像の中には偶然、親友が映っていたのだ。

 そしてその投稿のコメントにはこんなものがあった。

「あれ、奥の橋から飛び降りている人、途中で消えてない?」 「空中で姿を消してる!?」などの不思議なコメントだらけだった。

 確かにその映像の奥をよく見てみると、親友は川に落ちる前に姿をふっと消していた。

 そのこのはニュースとなり、世間では「神隠し」と言われていた。




―――親友が行方不明になったから一年ほどの月日が経った頃、俺はいじめに遭うようになっていた。

 原因は分からない。 毎日のように罵声を浴びせられ、暴行を受ける。 分かることはただ理不尽なだけに苦痛を味わわされているということだけだった。

 敵は多かった。 そのせいで歯向かうことも出来ない。

 いじめは収まることを知らない。 もうすぐ三年生になるが、そこでもいじめは止まらないだろう。

 あと一年もこんな苦痛を味わわないといけないのだ。

 呆然と歩いていた時、ふと辺りを見渡すとそこには親友が身を投げた橋があった。

(あいつもこんな苦痛を受けたのかな…)

 橋の手すりに手をかけて綺麗に輝く夕日を見つめていた。

(俺が死んだら悲しむ人はいるのかな…。 母さんも父さんも俺の事はほったらかしてホテル三昧だからなぁ…)

 そんな事を考えているとふふっと笑みが浮かぶ。

「夕夜…今行くよ」

 そう言って男は橋から飛び降りた。




「―――なんやこれ、死体…ではないようやな」

「とりあえずギルドに持ってって聖職者プリーストに見てもらっとく?」

 そんな関西弁が微かに耳に届いた。

 声量がバカみたいに大きいせいで俺は目を覚ます。

「あ、気がついたらしいわ」

「おぉ…! 水持ってくるわ!!」

 そう言って男は走り去った。

 意識が朦朧とし、視界がグラグラしている中、周りを見渡すと、一人の女が俺の傍に寄っていた。

 そして、男は数秒という速さで帰ってくると俺に水を差し出した。

「ほい、体が悪い時は水、飲みぃや。」

 そう言われて俺はぼんやりとしたまま水をゆっくりと飲み干す。

「あ…あり…」

「お、おい!」

 水を飲んで安心したのか、俺の視界は再び真っ暗になった。



「――んっ…?」

 柔らかいベットの上で頭痛の共に目を覚ますと、そこは綺麗な部屋だった。

 一つだけの小さな窓からは綺麗な月光が入ってきていた。

(俺は…橋から飛び降りたはず…。 なんでまだ生きて…)

 難しいことを考えると頭痛が襲ってくる。

(もう少し寝てから考えるかな…)

「おい、そろそろ起きろ!!」

 再び睡眠をとろうとした俺の邪魔をしてきたのは関西弁の男だった。

「…あ、あの…」

「はよ起きて飯食わんと! 病は飯で吹き飛ばすんや!!」

 頭に響く大声は俺に吐き気を覚えさせた。

「ほら、林檎持ってきたんねんから! …おい、林檎はまだか〜!?」

「もうすぐで切り終わるから待ってて!」

 声の聞いた感じでは遠くから言っているように思えたが、言葉ははっきりと聞き取れた。それほどまでに声が大きいのだ。

「じゃあ、もうちょい寝といていいわ」

 そう言って男はその場から立ち去った。

(なんなんだよあいつ…)

 気を失うように目を閉じた。




「――おい、そろそろ起きんかい!」

「…んっ…」

 ゆっくりと目を開くとそこには知らない天井、見覚えのある男が俺の顔を上から覗き込んでいた。

「ほら、林檎切ってきたんやからはよ食わんかい」

「う…うん…」

 困惑しながらも俺は林檎に爪楊枝を刺して口に含む。

「う…美味い…!」

「やろ? この世界での林檎の神話はな神の与えた果実って言ってな、それを食した者には神々からの力が授けられるっていうんやって」

 そんな豆知識を楽しそうに教えてくれる男。

「ってか、ここはどこなんですか?」

 俺は何でも教えてくれそうな男にそんな事を聞いてみる。

 すると男は手をポンっと叩きなにか納得したような顔になった。

「そっか、お前はここに来たばっかりやもんな。 教えたるわ」

 その言葉に俺はなにか違和感を覚えたが、頭が痛い中で深く考えるのは難しい。

「ここはハップロードっていう街や。 で、ここでは魔法と剣が交じり合うところや!」

 そんな事をウキウキと言ってみせる男。

(ってことは異世界…なのか…)

 元々アニメが好きだった俺は異世界という単語が来たとしても受け入れが早かった。

 科学では証明できなくとも非現実的な事はあるからだ。 親友の神隠しもそうだ。

「で、お前はこれからどうすんねん」

 男はそんな事を聞いてくる。

 どうすると言ってもこれからは転生者であるからして魔王退治しかないだろう。

「ギルド的な所はありますか?」

 すると男は嬉しそうにニカッと笑った。

「お前はそう来ると思ったわ!」




「――一晩泊めて貰ったにも関わらず、ギルドの場所まで教えて頂き、ありがとうございます。」

 そう言って住人である二人に頭を下げる。

「いいんねんで、私は面白そうやから連れてきただけやし」

「そうそう、お前が面白い事になりそうやから連れてきただけや」

 二人は同じ事を言って大笑いをしていた。

「…じゃあ、改めてありがとうございました。」

「「気ぃつけてな! 」」

 そんな見送りの言葉を背に複雑な感情のままギルドにへと向かったのだった。

読んでくださりありがとうございます。

感想等をくださるとやる気が出ます。

これからも頑張っていきます!!

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